学会発表してきた。Nさんに応援してもらったので報告します。
全腹腔鏡下子宮全摘術における子宮動脈結紮の有効性について
【目的】大きな子宮に対して腹腔鏡補助下膣式子宮全摘術を行う場合には腹腔鏡下での子宮動脈の結紮が術中出血量の軽減に有効であると報告されている。しかし、全腹腔鏡下子宮全摘術(TLH)におけて基靭帯処理に先行して子宮動脈を結紮するのがどうであるかについての報告はない。そこで今回、大きな子宮筋腫に対するTLHにおける子宮動脈結紮の有効性を検討した。
【方法】平成14年10月から平成17年9月までに当院で施行したTLH160例のうち子宮重量が500g以上であった32例について子宮動脈を結紮したもの(結紮群)18例と結紮しなかったもの(非結紮群)14例の術中出血量について比較検討した。
【成績】子宮重量は結紮群740.4±141.0g、非結紮群は660.6±146.8g、手術時間は結紮群201.3±49.3分、非結紮群149.4±31.7分、術中出血量は結紮群175.2±119.7g、非結紮群275.2±162.4gであり、結紮群では手術時間は延長していたが出血量は有意に少なくなっていた。
【結論】大きな子宮に対してTLHを行う場合には、基靭帯処理に先行して子宮動脈を結紮した方が術中出血量は軽減する。安全にTLHを行うために子宮動脈結紮が有効であると思われた。
正直のところ、自分の中では終わってしまった(結論が出た)ことなのである。しかし、いろいろと質問されたので(発表の時以外も)驚いた。
今回のpaperは残念ながらRCT(randomized controlled trial)ではない。結紮で行くか、非結紮で行くかはMRIや腹腔鏡所見で決めている。頚部筋腫があったり子宮の可動性が悪い場合には子宮動脈を結紮している。つまり、難易度が高い症例は結紮群になっている。だから結紮群では手術時間が延長し、子宮重量も重くなっている。それにもかかわらず、出血量は結紮群が有意に少なくなっているのだ。ということは時間については延長するが、術中出血量は子宮動脈を結紮したほうが少なくなることが期待できるのである。
全腹腔鏡下子宮全摘術における子宮動脈結紮の有効性について
【目的】大きな子宮に対して腹腔鏡補助下膣式子宮全摘術を行う場合には腹腔鏡下での子宮動脈の結紮が術中出血量の軽減に有効であると報告されている。しかし、全腹腔鏡下子宮全摘術(TLH)におけて基靭帯処理に先行して子宮動脈を結紮するのがどうであるかについての報告はない。そこで今回、大きな子宮筋腫に対するTLHにおける子宮動脈結紮の有効性を検討した。
【方法】平成14年10月から平成17年9月までに当院で施行したTLH160例のうち子宮重量が500g以上であった32例について子宮動脈を結紮したもの(結紮群)18例と結紮しなかったもの(非結紮群)14例の術中出血量について比較検討した。
【成績】子宮重量は結紮群740.4±141.0g、非結紮群は660.6±146.8g、手術時間は結紮群201.3±49.3分、非結紮群149.4±31.7分、術中出血量は結紮群175.2±119.7g、非結紮群275.2±162.4gであり、結紮群では手術時間は延長していたが出血量は有意に少なくなっていた。
【結論】大きな子宮に対してTLHを行う場合には、基靭帯処理に先行して子宮動脈を結紮した方が術中出血量は軽減する。安全にTLHを行うために子宮動脈結紮が有効であると思われた。
正直のところ、自分の中では終わってしまった(結論が出た)ことなのである。しかし、いろいろと質問されたので(発表の時以外も)驚いた。
今回のpaperは残念ながらRCT(randomized controlled trial)ではない。結紮で行くか、非結紮で行くかはMRIや腹腔鏡所見で決めている。頚部筋腫があったり子宮の可動性が悪い場合には子宮動脈を結紮している。つまり、難易度が高い症例は結紮群になっている。だから結紮群では手術時間が延長し、子宮重量も重くなっている。それにもかかわらず、出血量は結紮群が有意に少なくなっているのだ。ということは時間については延長するが、術中出血量は子宮動脈を結紮したほうが少なくなることが期待できるのである。
先生の研究を、我々患者が知る事ができる事に感謝しております。
やはり、出血量の少ない手術には、それに伴なう丁寧な工程が必要なのですね。
それは、手術時間が長くなったり、その手術に見合うだけの手術費用(医者側から)でなかったりする。
まさに、先生のご苦労が我々患者側のリスクを少なくする。私はそう感じました。
これからも、先生のすばらしいご研究、素人ながら応援しております。
わたしは現在40歳で、出産経験はありません。
30歳の婦人科検診で子宮筋腫がすでにあるとの診断をうけました。3年前にしょう膜下筋腫が8×5センチを越えました。現在、しょう膜下筋腫が9センチになり、4×4の筋層内筋腫が1個と2センチ代のものが数個と多発性子宮筋腫の状態です。
ただし、月経痛も軽く、薬が無くても暮せますし、ヘモグロビンも12をこえています。このような場合、手術はどのようなタイミングですべきなのでしょうか?病識がないと手術する必然性が見出しにくいので判断が難しいです。今も一年に一度の成人病検診のほかに、手術施設のない個人のクリニックに半年に一度、検診に通っています。そこの先生には「手術するなら紹介状を書きますが、どうしますか」と聞かれましたが、先生が具体的な手術方や病院おっしゃらないのでどうしたらいいのかが判断しにくいです。お時間がありましたら、アドバイスをお願いします。
ご質問ありがとうございました。
メルマガのほうに回答しましたのでご参照ください。
http://blog.mag2.com/m/log/0000150967/107269177?page=1#107269177
先生の回答を拝読し、自覚症状の薄い筋腫の場合、ある意味で何通りかの選択が可能であることがよく分りました。もしかしたら、そのためにクリニックの先生は、エコー検査のほかに具体的なアドバイスをしてくださらなかったのかもしれないと思いました。ただ、患者としては、クリニックの先生には、クリニックに3年以上も通ったので、「手術をしたければしたら」という意見だけでなく、先生のように「指標だけでも教えてくださればよかったのに」という気持ちもあります。
先生のプログに書き込ませていただいたあと、インターネットで患者としても自分の病気について調べ始めていたところです。インターネットでは、子宮動脈塞栓術、集束超音波治療については「切らずにすむ手術」としてメリットを強調するものが多かったので、先生の回答からデメリットもあることが分り、大変に参考になりました。
わたしのところから、大阪は遠すぎるので、先生に診察していただけないのが残念です。ですので、クリニックの先生にばかり頼らずに自分で対処してくれそうな近くの病院を探そうと思います。
本当に回答、ありがとうございます。