天地を 照らす日月の 極みなく あるべきものを 何をか思はむ 

わびぬれば 今はたおなじ 難波なる みをつくしても あはむとぞ思う

おもしろいと思う気持ち

2010年04月10日 | 林成之
感覚は、脳の深い所へ情報が行ってA10神経群を通ると、感情がひとりでに生まれます。感情には、「好き」とか「おもしろい」とかの正の感情と、「嫌い」とか「おもしろくない」とかの反対側の負の感情が必ずついています。負の情報は前頭葉へ行くと、忘れる仕組みになっています。神経細胞は3日目まで機能しているので、4日たつと忘れるようになっています。ところが、「おもしろい」とか「好き」と思うと、自己報酬神経群で「やってみたい」という気持ちが生まれてきます。ここで、感情から気持ちに変わります。理解することによって感情が気持ちに変わってきます。「おもしろい」とか「こうしてみたい」と思った瞬間に、頭の中に素晴らしい気持ちが生まれる仕組みになっています。「おもしろくない」と言うだけの場合は、感情だけで終わります。達成したいという気持ちが生まれると、そこから考える仕組みが生まれてきます。それについて考えると、そこに心がはぐくまれてきます。心というのは考えることで生まれてくる現象なのです。
記憶力がいいということは、どれだけおもしろく興味を持ったかということが引き金になって起こるひとつの現象です。「好き」になることが、人間の感情から気持ち、気持ちから考えとか記憶を生み出していく、そういう仕組みになっています。その手順が大事です。
人間の脳は、新しいことを考えると新しい神経シナプスができます。シナプス形成によって新しい神経伝達の伝動路が出来てくるので、脳はどんどん若返ってきます。脳は新しいものを生み出すときに新しい回路も生まれます。同じものをワンパターンにやってると衰えてきます。若返るには、新しい趣味を持つことなどが有効です。

ヒトの本能

2010年04月10日 | 林成之
 人間の神経核は動物の4倍くらいあって、人間の考え、記憶、感情の仕組みは、動物とは違います。脳に神経細胞は150億。150億1個1個の神経細胞がみんな自分が生きたいとか、まわりの細胞と仲間になって機能したりとか、情報を知りたいという機能を持っています。ひとつひとつの細胞から本能が生まれています。
 本能というのは3層になっています。1番目は細胞から出てくる本能。赤ちゃんが最初に生まれて好きになるのがお母さん。赤ちゃんの目が見えるようになって、表情が出てくるのは生後3ヵ月。3ヵ月たつとお母さんを好きになります。人間の考える回路が生まれたときに、最初に好きになるところで機能するのが「これは危ない」とか「おなかが減った」とかいう扁桃核。赤ちゃんはおなかがすくと生きていけないので、泣きます。その泣き声を聞きわけながらお母さんは、判断して、意志疎通をはかる。そのときに、赤ちゃんは自分を守りたいという本能が生まれます。そうすると、2番目に、考えるときに筋が通っていないと嫌なので、一貫性という本能が生まれます。こうやって次々に組織由来の本能が生まれてきます。この自分を守りたいという本能と仲間でありたいという本能が合わないときがあります。ここで考える仕組みが動き出して、核が集まって機能する脳の仕組みのところに、3番目の本能が生まれてきます。違いを認めて、ともに生きる仕組み、愛という現象です。こうして、脳の機能のバランスが取れるようになっています。違いを認めて、その人たちも満足するように考えるという脳の仕組みになっています。「ともに幸せになる幸せ」というのは、人間の本能ですから、それは当たり前のことで、これがわからない人は頭がおかしい。本能がおかしい。そういう仕組みになっているのですから、そのことを私たちはよく理解していくと、人間というのはあっという間にすごい力を発揮するようになっています。発揮するかどうかは、私たちの努力次第です。
 本能っていうのは、人間の本能なので、鍛えられます。本能のままに生きている、などというのは、動物と同じ。人間は本能を基盤としてものを考えたり行動したりしています。細胞由来と組織由来とその間のバランスを取る3つの本能によって機能するようになっています。それに逆らうと、うまく力を発揮できない現象が起こってきます。緊張してだめだったとか、失敗したとか……。頭がよくなりたいと学校や塾で勉強をします。でも思ったようにはなかなかなりません。脳が考える仕組みにおいて何を求めているかを知らないからです。やっていることと脳がマッチングしないため、やってもやっても頭がよくならないということが起こってきます。相手を知らないと正確に機能を発揮することができません。

よい習慣

2010年04月10日 | 林成之
よい習慣を身につけると、ものすごいことをやっていても本人はものすごいことをやっていると思わなくなります。他の人がそんなこととてもできないと思っていても、本人は当たり前だと思っているようになります。人間の脳は、そういうふうにして力を発揮するためによい習慣を身につけます。悪い習慣は絶対身につけません。よい習慣は、A10神経群でよい感情を生みます。まず、例えば、先生をとにかく好きになるように子どもに教育してあげてください。先生にほめてもらうようにお願いしてください。子どもは、先生を好きになった途端にすごい力を発揮するようになります。2番目には、人の話を感動して聞くようにすること。何を聞いても「知ってる」「おもしろくない」では、すぐぼけてくることになります。3番目、人間の考えはぐるぐるまわって鍛えられるので、繰り返し考えることが大事です。失敗を失敗だと思わず、繰り返しがんばることがステップアップになります。そして、繰り返し考えるときに大事なのは素直な性格を磨くこと。何事にも興味を持つ習慣を身につけるだけで、子どもの能力はあっという間に伸びていきます。そうすると、自己報酬神経群が働いて、「自分からヤッテやる!」という概念が生まれてきます。

何事も自分からやるって言わせるいい質問をしてあげます。言われたとおりにばかりやっている子は、「自分から!」という概念が生まれてこないので、考える力が弱くなってきます。いま、世の中で弊害が起きているのは、マニュアル人間。それは確かに効率がいいけれども、マニュアルどおりにやっている人は、「自分から考える」というのが生まれてきません。考える能力が落ちていってしまいます。 自分からヤッテやるという概念が育つようにいい質問をしてあげること、決して叱ってはだめです。叱ると嫌いになります。そうやって、仲間を大切にして、ともに生きるという感情を育てると、子どもはどんどん能力を発揮する仕組みになっています。脳の神経核で同期発火を起こします。「気持ちを込めて話す、相手に興味を持つ、相手を好きになる、相手を尊敬する」ことで、考えが伝わっていきます。どれひとつ外してもだめだと思います。人間の考える仕組みは、お母さんからかわいがられ、お母さんを好きになることから形成されます。お母さん、お父さんを好きになる、先生を好きになる、何事にも興味を持つ習慣、話は感動して聞く習慣、おもしろい、好きになる習慣を身につけ、前向きな明るい素直な性格にする。たとえ、いま成績が悪くても、大人になったら必ず光ってきます。損得抜きに、必ず全力投球する人。その人は必ず光ってきます。北島 康介選手は、素直です。どういう方とでも対話できます。ところが、5m先のスタート台にのった瞬間に人間が変わります。素直に集中します。練習が練習じゃありません。もう全力投球。だから土壇場ですごい力を発揮します。

間違う

2010年04月10日 | 林成之
脳には間違う仕組みがあります。例えば、フィギアスケートのジャンプのときに、ジャンプできて「やった!」と思ったときに、コーチから「笑顔で滑れ」と言われた途端に転ぶ。脳は、新しい情報にすぐ反応します。2階に上がって何しに行ったのか、わからなくなることがあります。いくら考えてもわからない、不思議なことに下りてくるとわかる。途中で違ったことを考えるからそうなります。脳はそうやって新しいもの新しい情報に瞬時に反応していきます。
自分の身近な上司や親が叱ったり怒りっぽい人だった場合に、それに対してめげずに、自分の能力を発揮するためには、まず堪え忍ぶことです。どんな変な上司でも好きになったら、その部門で才能を発揮します。上司はどんな変な部下が入ってきても、その部下を好きになったら、上司はその部門で力を発揮します。だから、どんな変な上司でも、いいところを見つけて、堪え忍ぶこと。そして、俺の力で変えてやろう! と。そういう考え方でやってくと変わってきます。そのときに、損得抜きにその人のことを思って、対応していくという……。何のためにその部署にいるか、原点に立ち返って、勝負脳をかけていけば上司も変わってきます。暗い上司であれば、明るい話をすれば変わってきます。
人間はまわりのことを考えながら行動、判断する習慣になっています。原始的な思考は、そうなっています。だから、みんなが同期発火するというか、数の多い方が間違った仕組みをとっていれば、知らないうちにはまってしまいやすい。世の中の指導的立場にいる人たちが、違ったことをやってしまうと、それが普通になってしまいやすい。人間というのは、数が多い方に統一、一貫されます。これも脳の間違う仕組み。だから、どう対応するかじゃなくて、よくない行動は変えることも大事。「それは、いけないことなんだ」と。教育においても、「成果、成果」というのではなくて、もっと才能を発揮するためには、好きになり、お互いの違いを認めて、みんながワクワクやっていくことで、すごい才能を発揮します。

空間認知能力

2010年04月10日 | 林成之
男と女は、まず目から違います。女性の目は、ものを見たときに網膜が3層になっていて、分析がちゃんとできます。近くのものは非常に正確に見えます。男の網膜は非常に薄くて、全体像はよく見えていますが、目の前のことがよくわかりません。男の脳は、形、色だけではなく、ものの流れとか道理とかを含めて空間認知していますので、非常にロジカルにものを考える仕組みになっています。これに対して女性の脳は、空間認知の細胞がそこにあるのではなくて、言語中枢にあります。だから女性はしゃべることによって、アイデアが出てきます。

人間の脳はどこを使って才能を発揮しているのかと言うと、第1段階は「空間認知中枢」という、正確にものを見る水平目線。多くの方は右利きなので、ちょっと体が傾いています。それを脳の中で補正しなくてはなりません。才能がある人は、立っていても座っていても運動していても、その姿が美しい。第2段階、A10神経群、好きになる、興味を持つ。第3段階は前頭前野で正確な判断をして、第4段階、自己報酬神経群で、勝負が決まります。「自分からヤッテやる!」という神経が働いて、第5段階、繰条体・海馬・リンビックで繰り返し考える習慣と記憶……、こういう仕組みになっています。自分の気持ちや考えを鍛え、いい性格をつくり、それを磨くことによって、何事にも手を抜かない習慣を鍛えていくと、必ず将来すごい光るような仕事をする頭になっていくようになっています。

超一流選手は、目が傾きません。水平目線でいちばんすぐれているのは王 貞治さん。構えているときも、目線だけは水平、傾きません。イチロー選手は、バッティングフォームで目線を水平に戻してからバッターボックスに入るようにしています。ところがWBCのときだけ、傾いていました。そして、最後の日だけ元に戻っていました。なぜ、戻ったかというと、イチロー選手らしい逸話をつくっていて……。「ただいまからイチロー選手、バッターボックスに入ります。何球目かでこういうふうになってこういうフォームで構えます」と自分で解説することによって言語の空間認知能力を使って元に戻しました。空間認知能力は、視覚中枢のほかに言語中枢にもあります。空間認知能力というのは、それくらい影響します。普通はボールを投げた瞬間に「入る」とわかるのが空間認知能力ですけど、マイケルジョーダンはドリブル中に「入る」と言いだします。そうすると、もう目線が全然傾きません。飛び上がっても傾きません。