「チケット買ってきちゃろうか。おまえも好きなんじゃろ?」たしか高校2年になってまもなく,まだあんまり話もしてなかった桑田君という同級生が私に声をかけた。デビューしてまだ間もないアーティストの福山でのコンサートチケットがまだ残っているということだった。そういえば,以前彼がよく休憩中に一人でウォークマンを聴いていたので,一回だけ「何ききょうるん?」と尋ねたことがあった。「俺もそれもっとるでぇ」とか会話を交わしただけだったのに,それを覚えてくれていたのだった。
なんとか小遣いの算段をして彼にチケットを買ってきてもらい,コンサート当日を迎えた。そのアーティストはのっけからハイテンションで,もう最初から総立ち。私も最初から最後まで大声をはりあげていた。そのアーティストから湧き上がるパワーは凄まじかった。唄に対する一生懸命さが何よりも魅力的だった。何回アンコールに応えてくれたか忘れるくらい,何度も何度も応えてくれた。最後は観客の中に飛び込もうとするのをスタッフが必死に制止していた姿はいまも忘れられない。その日以降,私もいままで以上に彼にとりつかれたような高揚感のある日々がつづいた。
どうしてここまで人を惹き付け,興奮させることができるのだろう。当時は不思議だった。いま振り返ってみれば,彼の生み出す音楽とコトバで一生懸命に会場へ向かって語りかけるその生の姿から,「一生懸命」な姿が人を動かす,という価値を学んだのだろう。ただただ大声で叫びながらも・・・。
そのアーティスト「尾崎豊」のコンサートはこのときが最初で最後だった。
尾崎本人もその会場だった福山市民会館ももう存在しない・・・・。
桑田君には今でも感謝している。
なんとか小遣いの算段をして彼にチケットを買ってきてもらい,コンサート当日を迎えた。そのアーティストはのっけからハイテンションで,もう最初から総立ち。私も最初から最後まで大声をはりあげていた。そのアーティストから湧き上がるパワーは凄まじかった。唄に対する一生懸命さが何よりも魅力的だった。何回アンコールに応えてくれたか忘れるくらい,何度も何度も応えてくれた。最後は観客の中に飛び込もうとするのをスタッフが必死に制止していた姿はいまも忘れられない。その日以降,私もいままで以上に彼にとりつかれたような高揚感のある日々がつづいた。
どうしてここまで人を惹き付け,興奮させることができるのだろう。当時は不思議だった。いま振り返ってみれば,彼の生み出す音楽とコトバで一生懸命に会場へ向かって語りかけるその生の姿から,「一生懸命」な姿が人を動かす,という価値を学んだのだろう。ただただ大声で叫びながらも・・・。
そのアーティスト「尾崎豊」のコンサートはこのときが最初で最後だった。
尾崎本人もその会場だった福山市民会館ももう存在しない・・・・。
桑田君には今でも感謝している。