暑いな…
この溶鉱炉並みの暑さで俺の思考回路とやらは
完全に溶けてしまったようで全く機能しない
それなら少し涼しい事でも考えてみようか…
う~ん まとめるとこう
次の角でタクシーを降りる
積もり始めたばかりの雪を気にしながら(まるで自然!)
ランチタイムで賑わっている食堂
早口で吐き出される殺人事件のニュース
汚れた口をナプキンで拭き取る強欲そうなマダムを
のぞき見る自慢話ばかりの小男(加齢臭が酷いっ!!!)
そう全てがいつも通り
そして微かに震える両手はポケットに入れたまま
「ご注文はお決まり?」
相応しくないミニスカートを履いた
年齢不詳のそばかす女…
「…シェリーを1杯」
「えっ!? それだけ? 食事はしないの?」
『それ以上聞くならお前のその目から眼球を
引きずり出して だらしないその口に押し込んでから
お前には必要のない脳みそをこの小汚い床にぶちまけてやるが…』
と言いたかったし 行動に移したかったが
大事な仕事を控えているんだ 無駄な時間はない
「あぁ… とにかく寒いんだシェリーだけでいい」と
呟いてみせた(なんて完璧っ!!)
「………りょ~かい~っ!!」
くるりと振り返り厨房へ向かう女
いつだってそうだ 俺はうまくできるんだ(そうだ!)
今までだって失敗なんてしたことないんだ
だけどそうだ いつもなんだ
どうしたってそうなんだ
そうだ 手が震えるんだ…
寒いからじゃないのは俺が一番知ってるんだ
分かってるんだ だけど…
いや俺は失敗したことなんてないんだ
少し落ち着いた…
そう俺は誰よりもうまくやれる
さて そろそろ始めるか…
「お待たせぇ~」
女がシェリーの入ったボトルと
グラスを持って戻ってきた
先にボトルをテーブルの真ん中に置いた
次にグラスへ手をかけた時だ
女の目からすっかり白目がなくなっていた
漆黒の眼球で俺を見て薄ら笑っている…
だらしなく開いた口からはヌメヌメしたどす黒い
触手のようなものが無数に伸びて俺の方に
向かっていた(ここまではセオリー通り!)
もう少しすると触手が俺の頬から額へと生臭い臭気を
放ちながら舐め回して味見をする(不合格なら即死だ!)
当然黙ってる訳にはいかない
俺はポケットから右手を出して
中指にはめた かぎ爪を象った純銀製の指輪で
女の上唇から眉間までを引き裂いた
触手は濁流のように女の顔から溢れた
ここまでわずか10秒ほどの出来事
ようやく他の連中が尋常でないことに
気づきだしたが 当然 硬直…
あとは下あごを完全に引き裂いて
そのまま下へ…
ちょうど人間なら胃の辺りまで切り裂くと
勝手に裏返って死んでしまう
が その断末魔の暴れようときたら(!!)
俺は素早く胃の辺りまで切り裂いて
床に大量の血と生臭い触手をばらまいた
そして断末魔…
コンピューターで合成したような叫び声と共に
狂った猛獣のように店の中で暴れだした
振り回した触手が客の顔を切り裂き
次の一降りで頭蓋骨を粉砕した
首は千切れ内臓はミキサーにかけられたように
店中に飛び散った
気付けば何人いたか分からないくらい
肉片と内臓と汚物とで溢れかえった店内は
いつもの匂いが漂っていた
刑事ドラマなら 新人刑事が吐瀉する場面だ
そして10秒
断末魔の悲痛な叫び声が少しずつ弱くなっていく
動きも のたうつ程度だ
黙っていても死が訪れる
見ているだけだ
いや見届ける義務がある
それが俺の仕事なんだ
死
目的… 不明
意味… 不明
そして生存者… 俺
ニュース
「平日の昼間という食堂が最も混雑する時間帯を
狙った大量殺人の犯人が無罪を主張」
この溶鉱炉並みの暑さで俺の思考回路とやらは
完全に溶けてしまったようで全く機能しない
それなら少し涼しい事でも考えてみようか…
う~ん まとめるとこう
次の角でタクシーを降りる
積もり始めたばかりの雪を気にしながら(まるで自然!)
ランチタイムで賑わっている食堂
早口で吐き出される殺人事件のニュース
汚れた口をナプキンで拭き取る強欲そうなマダムを
のぞき見る自慢話ばかりの小男(加齢臭が酷いっ!!!)
そう全てがいつも通り
そして微かに震える両手はポケットに入れたまま
「ご注文はお決まり?」
相応しくないミニスカートを履いた
年齢不詳のそばかす女…
「…シェリーを1杯」
「えっ!? それだけ? 食事はしないの?」
『それ以上聞くならお前のその目から眼球を
引きずり出して だらしないその口に押し込んでから
お前には必要のない脳みそをこの小汚い床にぶちまけてやるが…』
と言いたかったし 行動に移したかったが
大事な仕事を控えているんだ 無駄な時間はない
「あぁ… とにかく寒いんだシェリーだけでいい」と
呟いてみせた(なんて完璧っ!!)
「………りょ~かい~っ!!」
くるりと振り返り厨房へ向かう女
いつだってそうだ 俺はうまくできるんだ(そうだ!)
今までだって失敗なんてしたことないんだ
だけどそうだ いつもなんだ
どうしたってそうなんだ
そうだ 手が震えるんだ…
寒いからじゃないのは俺が一番知ってるんだ
分かってるんだ だけど…
いや俺は失敗したことなんてないんだ
少し落ち着いた…
そう俺は誰よりもうまくやれる
さて そろそろ始めるか…
「お待たせぇ~」
女がシェリーの入ったボトルと
グラスを持って戻ってきた
先にボトルをテーブルの真ん中に置いた
次にグラスへ手をかけた時だ
女の目からすっかり白目がなくなっていた
漆黒の眼球で俺を見て薄ら笑っている…
だらしなく開いた口からはヌメヌメしたどす黒い
触手のようなものが無数に伸びて俺の方に
向かっていた(ここまではセオリー通り!)
もう少しすると触手が俺の頬から額へと生臭い臭気を
放ちながら舐め回して味見をする(不合格なら即死だ!)
当然黙ってる訳にはいかない
俺はポケットから右手を出して
中指にはめた かぎ爪を象った純銀製の指輪で
女の上唇から眉間までを引き裂いた
触手は濁流のように女の顔から溢れた
ここまでわずか10秒ほどの出来事
ようやく他の連中が尋常でないことに
気づきだしたが 当然 硬直…
あとは下あごを完全に引き裂いて
そのまま下へ…
ちょうど人間なら胃の辺りまで切り裂くと
勝手に裏返って死んでしまう
が その断末魔の暴れようときたら(!!)
俺は素早く胃の辺りまで切り裂いて
床に大量の血と生臭い触手をばらまいた
そして断末魔…
コンピューターで合成したような叫び声と共に
狂った猛獣のように店の中で暴れだした
振り回した触手が客の顔を切り裂き
次の一降りで頭蓋骨を粉砕した
首は千切れ内臓はミキサーにかけられたように
店中に飛び散った
気付けば何人いたか分からないくらい
肉片と内臓と汚物とで溢れかえった店内は
いつもの匂いが漂っていた
刑事ドラマなら 新人刑事が吐瀉する場面だ
そして10秒
断末魔の悲痛な叫び声が少しずつ弱くなっていく
動きも のたうつ程度だ
黙っていても死が訪れる
見ているだけだ
いや見届ける義務がある
それが俺の仕事なんだ
死
目的… 不明
意味… 不明
そして生存者… 俺
ニュース
「平日の昼間という食堂が最も混雑する時間帯を
狙った大量殺人の犯人が無罪を主張」