トランスボックスの配線を行い、一応完成させました。
大した配線ではないので、30分もかかりませんでしたが、1次側にいくつかタップがありますので、これをスイッチで切り替えできるようにしておけばよかったかなと思いましたが、あとの祭りですね。
配線時、またシャーシを傷つけてしまいました。
早速音質確認です。
プリアンプを外して、CD→トランスBOX→パワーアンプという構成にし、音質確認しました。
出てくる音は案外艶っぽい音で、やはり弦楽器の音がきれいに思えます。ギターやバイオリンなどが、良い感じです。音的には満足いく音でした。
以前、安物のトランスで試した時とは大違いです。
さて、結構いい音がする、という結果だったのですが、特性的にはどうなのか気になるところです。そこで早速測定してみました。その結果が下記です。
1次側に520Ωの抵抗をつなぎ発振器の出力インピーダンス50Ωを加算して、約600Ωの入力に対し、出力側(2次側)は負荷抵抗なしの場合と、680Ω(≒600Ω)の負荷抵抗ありの場合の2つを計測してみました。
上図(縦軸の単位はdB)のように負荷抵抗ありなしで結果はほとんど同じでした。下は15Hzから、上は100kHzを超えて電圧が増大している感じです。まあしかし、この辺りは耳に聞こえませんので、20kHzまでだとほとんどフラットな特性です。やはり以前の安物のトランスとはえらい違いでした。
ところで、この手のトランスをなぜ信号回路に入れるのでしょうか。以前から少し疑問に思っていました。
たぶん我々のような素人的には、下記の効果を狙っているのかと思います。
- トランスの歪を利用して倍音効果を利用(響きが良くなる?)
- トランスの周波数特性を利用して耳障りな高域を抑制
- トランスによる音色の違いを楽しむ
- 飾り、見栄えの良さによる満足感
人によっては、インピーダンスの整合(マッチング)という意見もあるかもですが、だいたい素人が作るアンプの入力側のインピーダンスは数10kΩ~数100kΩなので、600Ω:600Ωのトランスでマッチングのしようがありません。
では、マッチングしないとどうなるかですが、恐らく家の中で聞くオーディオでマッチングについて気にする必要はないと思います。インピーダンスのマッチングは信号を通す線路と、信号の波長が大体同じくらいの長さになった時に影響してきます。その際にマッチングしていないと信号が反射して定在波が発生したり、というような現象が出るようです。
放送局などは、建物内での配線が長くなったりした場合に影響があるので、バランス伝送などを行っているのでしょう。
電力網などは、たとえ50/60Hzであっても伝送線路の距離が数㎞にも及ぶので、影響があるようです。この辺りは専門書をご参考に。
ところで学生時代になりますが、マイクを使用した実験を行うため、ソニーの販売子会社にマイクの在庫をおたずねに行ったことがあります。屋外(山の中)で使うので、多少の雨なら大丈夫という製品がソニーにあったからです。その当時は世間知らずで、何の連絡もなしに突然訪問しました。
その際、実験でこういうことをするので、この機種のマイクが欲しいという説明をしたのですが、マイクのマッチングについて指摘されました。一応、分布乗数については若干勉強済みだったので、600Ωの抵抗で受けると説明したのですが、それではダメ、やはりトランスで受けないと、とのご指摘でした。
しかし、結局予算があるので抵抗受けにしましたが、今思えば、たいていマイクの入力部を持つアンプには、マッチングトランスが付いています。これはインピーダンス不整合が起きないようにするものと思いますが、やはり、マイクの配線が長くなると、反射等で何を言っているのか聞きづらいというような現象が起きるのでしょう。
ということで、ようやくトランスボックスが完成しましたが、しばらくこれで遊んで見たいと思います。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます