人妻を夜這いする”風俗で19歳少年はなぜ犯行に及んだのか「アイマスクで無防備な状態で…」
6月1日の15時45分頃、東京都立川市のホテルで、派遣型風俗店に勤務している31歳の女性従業員と25歳の男性従業員が包丁で刺される事件が起きた。
男性従業員が「刺された。助けて」と119番通報し、駆けつけた救急隊によって2人とも病院に搬送されたが、女性は搬送中に死亡が確認された。男性は意識不明の状態が続いているという。そして翌6月2日、事件の容疑者として東京都あきるの市に住む19歳の少年が逮捕された。
事件現場は、立川駅から徒歩5分ほどの繁華街にあるホテルの一室。少年が待つホテルに女性従業員が入室すると、すぐに事件は起きた。
「少年と被害女性に面識はなく、店の利用も初めてだった。女性は少年の待つ部屋に入って間もなく店に助けを求める電話をかけたが、10分も経たないうちに少年に襲われてしまった。少年は刃渡り20センチほどの包丁で女性を70カ所もメッタ刺しにし、さらに電話を受けて駆けつけた男性従業員の腹部を深く刺して逃走した。女性は下着だけの状態でベッドの脇に倒れた状態で発見された。
少年は警察の取り調べに『人を殺す動画を見て刺激を受け、無理心中を撮影しようと思ったが、女性に断られケンカになった』と供述しているようだ」(社会部記者)
「人妻を夜這いする」というコンセプトの店
被害女性が働いていたのは、「人妻を夜這いする」というコンセプトの派遣型風俗店「X」。事件後、「X」のホームページは閉鎖され現在は営業を中止している。「X」の関係者が匿名を条件にその内情を語る。
「“夜這い”を売りにした風俗は近年人気で店舗も増えていますが、『X』は10年以上前からある老舗。“人妻”とうたってはいるが実際に働いている女性の中で既婚者は少数で、30代前後の離婚歴がある女性やシングルマザーの女性が多い。
システムとしては、ホテル近くの雑居ビルで受付をして女の子を選び、ホテルへ案内されるというもの。“夜這い”のリアリティを出すためにサービスの流れも凝っていて、男性が先にホテルへ入室し、女の子が到着したらドアを細く開けて顔を見ずに鍵を渡す。そして男性が1人でシャワーを浴びている間に、女の子は全裸やシャツ1枚など指定された服装に着替えて、アイマスクをしてベッドに横たわる。男性がシャワーを終えると、部屋には無防備な女の子がいるので“夜這い”する、という流れ。無料オプションの手枷などもあり、会話をしなくていいのも人気の理由だ」
盗撮は日常茶飯事、時には…
“夜這い”のリアリティを出すためとはいえ、女性がアイマスクを着用するうえに手枷などの拘束具も使用できるため、接客時のトラブルは絶えないという。
「女の子は部屋の様子が見えないので、男性がやろうと思えば何でもできるのが実情。カメラを回されて盗撮されたという話は日常茶飯事です。中には行為が始まってしばらくしてから違和感を感じ、アイマスクを外したら男性が2人いたというケースもあった」(同前)
働く女性にとってもリスクの高い業態だが、危険なサービスには理由もあるという。
「『X』の事務所が入っているビルは賃料が周辺の相場より高く、かつては飲食店が多く入っていましたが現在はほぼ“風俗ビル”になっています。他店舗との競争に加えてコロナ禍で売り上げが落ちた店も多く、お客さんを増やすためにどうしても過激なサービス競争になってしまうんです。とはいえ、メッタ刺しは理解の範疇を超えています……。同様のサービスを提供する店は都内にも多数ありますが、今回のことで怖がって出勤を控える女の子も多いでしょうね」(近隣の店舗関係者)
そして、リスクは現実のものとなってしまった。
女性と従業員男性を刺した少年は、凶器の包丁を廊下の壁に突き刺してホテルを出ると、立川駅まで徒歩で移動し電車で逃走した。取材班が入手した写真には、全身黒ずくめの服装に黒いリュックサックを背負って、昼下がりの繁華街を走る少年の姿が写っている。駅までの道中には血も垂れていたという。
立川駅から電車でJR拝島駅まで移動し、さらに原付バイクで逃走したが、事件の翌2日に羽村市内で逮捕された。
「少年がバイクで走行しているのを捜査員が発見しました。両手に犯行の際に負ったと思われる傷があり、絆創膏を貼ったりトイレットペーパーを巻いたりしていたようです。バイクを降りたタイミングで捜査員が話しかけると『ツーリングをしています』と答えたものの、さらに追及され事件との関与を認めました。そのまま任意同行され、男性への殺人未遂容疑で逮捕されたようです。その後の取り調べでは容疑を認めています」(前出・社会部記者)
“無防備な女性を襲う”がコンセプトの風俗店で起きてしまった凄惨な事件。真相の究明が待たれる。
(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))