岸田文雄政権は必死だ。内閣改造で支持率の回復を狙ったが、世論はまったく評価しなかった。世論調査の中では逆に支持率が下がったところもあった。LGBT理解増進法などでコアな保守層が離れたという見方もある。他方で、解散総選挙が近いとの見方もある。岸田政権は人気がないが、立憲民主党などの野党にも支持が集まっていないからだ。
総選挙を多分に意識したのだろう、先日の補正予算を利用した経済対策は、スローガンだけは実に「立派」だった。経済政策の目的を「経済成長の成果の適切な配分」と「コストカット型経済からの30年ぶりの転換」にしたことは大いに評価されるべきだ。
前者は、過去最大に膨れ上がった名目国内総生産(GDP)からもたらされる税収増を利用しようというものだ。この3年間の税収の予想からの上振れは平均して約4兆円だ。消費税に換算すれば2%分に該当する。
もちろん「隙あらば増税」と批判されて久しい岸田政権が、ただひとつ本格的に増税を決めた防衛増税1兆円などは簡単にカバーできる。実際にこの税収増を受けて、防衛増税は先送りだ。経済が成長することで、国民生活の負担を減らすという発想は、これからの日本経済を考える上できわめて重要だ。
いまや先進国の中で、米国に次いで日本は高い経済成長率を期待されている。成長の果実を積極的に還元すれば、アベノミクス超えも夢ではない。もちろん今後の経済対策がうまくいけばだが。
「コストカット型経済からの転換」もいいスローガンだ。要するに小泉純一郎政権での構造改革主義や市場原理中心主義を脱するということだ。この点は、岸田政権は「新しい資本主義」という別のスローガンを掲げているところでもある。不況の時に社会全体でリストラだけを進めていけば縮小再生産になる。不況には大胆な金融緩和と積極的な財政支出が必要だ。市場だけに不況対策を任せないという発想だ。 産経新聞
尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海外側にある接続水域で7日、中国海警局の船1隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認した。尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは64日連続。
産経新聞