米国における特定の人種や宗教に対する憎悪が原因のヘイトクライム(憎悪犯罪)が2022年に前年比約7%増の1万1643件に上ったことが、16日の連邦捜査局(FBI)の発表で明らかになった。1991年の統計開始以降で最多を記録した。
14日にはパレスチナ自治区ガザ地区を支配するイスラム組織ハマスのイスラエル攻撃が引き金となり、中西部イリノイ州でパレスチナ系の6歳の男児が自宅で刺殺される事件が発生。バイデン大統領は16日の声明で「ヘイトクライムは米国の魂についた汚点だ」と非難した。
FBIは、米国内の1万8888カ所の法執行機関のうち1万4660カ所からの報告をまとめた。統計によると、人種・民族に関する憎悪(6570件)が最多で、宗教(2044件)、性的指向(1947件)が続いた。
人種に対する憎悪で標的になったのは、黒人(3424件)▽白人(966件)▽中南米系(738件)▽アジア系(499件)の順に多かった。宗教に対する憎悪は、ユダヤ教(1124件)が半数以上を占め、シーク教(181件)やイスラム教(158件)が続いた。
男性の同性愛者(1077件)や、LGBTQなど性的少数者全般(622件)が標的になる事件も多かった。犯罪の態様は、脅迫や器物損壊、襲撃が多く、自宅での被害が最多だった。【ワシントン秋山信一】 毎日新聞
米CNNテレビは16日、米軍が海兵隊員ら約2千人で構成する即応部隊を東地中海へ派遣すると報じた。イスラエルに展開する可能性もある。イランのほかレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラといったイスラエルの敵対勢力への抑止力を高めると同時に、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの地上侵攻にも備える動きとみられる。
オースティン国防長官が15日、後方支援などのため約2千人のイスラエル派遣準備を命じた。もしイスラエルに展開した場合も、戦闘任務に就くことは現時点で想定していないという。
米軍は2隻目の空母の東地中海配備を決定。イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が地域紛争に拡大しないよう、イスラエルの敵対勢力をけん制している。
(共同) 産経新聞
【ワシントン=大内清】イスラエルを訪問中のブリンケン米国務長官は現地時間17日未明、バイデン大統領が18日にイスラエルを訪問すると発表した。イスラム原理主義組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザに対するイスラエル軍の地上侵攻が近いと見られる中、同国への連帯を示すと同時に、紛争の不拡大を目指す。
産経新聞
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ガラス瓶製造大手「日本山村硝子」(兵庫県尼崎市)の独自技術を中国企業に渡すため不正に入手したとして元社員ら夫婦が逮捕された事件で、山村硝子と中国企業の契約が打ち切られた後に技術情報が持ち出されていたことが16日、関係者らへの取材で分かった。また、夫婦とも元中国籍で日本に帰化していたことも判明。中国企業が元社員に漏洩(ろうえい)を持ちかけた疑いもあり、兵庫県警が詳しい経緯を調べている。 県警生活経済課などが不正競争防止法違反容疑で逮捕したのは、山村硝子元社員の小鷹瑞貴容疑者(57)=懲戒解雇=と、妻でガラス製造技術コンサルタント会社「アズインターナショナル」社長、青佳(せいか)容疑者(51)。平成28年6月、山村硝子のサーバーにアクセスし、ガラス瓶軽量化の技術に関するプログラムを私用メールアドレスに転送した疑いが持たれている。 山村硝子や関係者によると、瑞貴容疑者は平成15年に入社。25年5月~29年7月に海外チームに所属し、中国で技術契約に関する営業、通訳などに従事していた。もともとは中国籍で中国語が堪能といい、中国での営業を長く担当していたという。 同社は事件前、情報の流出先とされる中国のガラス瓶メーカーと技術支援契約を締結。瑞貴容疑者が担当していたが、契約が打ち切られたという。その後、瑞貴容疑者らが持ち出した情報は、ガラス瓶の超軽量化を図るためガラスを薄くする特殊な計算式で、二酸化炭素(CO2)削減などにつながる山村硝子の独自技術とされる。瑞貴容疑者は営業職として技術情報へのアクセス権限があった。 一方、青佳容疑者もかつて中国籍で、社長を務めるコンサル会社が事件約1カ月前の28年5月、この中国メーカーとライセンス契約を締結していた。同8月~令和3年4月には、中国メーカー側から20回にわたって計1億8960万円相当の入金があったという。営業秘密はコンサル会社を通じて中国側に提供されたとみられる。 山村硝子は東証スタンダード上場で、国内のガラス瓶生産シェアトップとされる。外部からの情報提供があり、社内調査で不正が発覚した。
相次ぐ流出、スパイ活動に高まる懸念
日本企業の営業秘密が中国などに持ち出される事件は度々起き、政府は近年、先端技術の海外流出を防ぐ経済安全保障対策に力を入れている。外国スパイによる情報流出も懸念されるが、日本にはスパイ活動自体を取り締まる法律がない。警察幹部は「流出は日本の技術的優位の低下を招く。企業は意識を高め、対策してほしい」と話す。 警察庁によると、全国の警察が昨年摘発した企業情報持ち出しといった営業秘密侵害事件は29件で、統計を取り始めた平成25年以降で最多。中国などは先端技術などを獲得するため、民間人も活用した「情報戦」を展開しているとみられる。 令和2年、液晶技術に関する情報を中国企業に漏洩したなどとして積水化学工業の元社員が書類送検された事件では、中国企業側がビジネス向けSNSを通じて元社員に接触。国立研究開発法人「産業技術総合研究所」の研究データを持ち出したとして今年6月、逮捕された中国人研究員は、研究所に20年近く勤務する一方、中国人民解放軍と関係があるとされる「国防7校」の一つ、北京理工大教授にも就いていたと指摘される。 経済安全保障に詳しい明星大の細川昌彦教授は「技術力の高い日本は、特に半導体や基幹部品といった先端技術が狙われやすい。大企業だけでなく中小企業も警戒すべきだ」と指摘。漏洩対策について、「(情報に)アクセスできる人を限定するほか、重要な技術の管理サーバを他の情報と別にするなど、経営者らはコストをかけてでも対策に取り組むべきだ」としている。
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