中国共産党政権によるウイグル迫害は近年に始まったことではない。1949年の「中華人民共和国」建国後、70年にわたりウイグル人の「中華民族」への同化を図ってきたと言っていい。ただ、2017年以降、迫害が異常なレベルで行われるようになったため国際問題として注目されるようになった。 習近平政権は、同化が思うように進まないことに焦りを募らせ、ウイグル人を力で滅ぼす方向へ大きく舵(かじ)を切ったのだろう。300万人超と指摘される大規模な強制収容、強制労働、不妊手術の強制、親子の強制的引き離し。AI(人工知能)による監視システム、ウイグル人宅に100万人規模で政府職員を寝泊まりさせるなど想像を絶する監視も常態化した。著名な知識人や経済人らが一斉に収容され、行方不明となる悪夢の事態も起こっている。 外国に暮らすウイグル人らは故郷に残る家族との通信が遮断され、生き別れを強いられている。私自身も17年夏に、父や弟を含む親族12人が強制収容されたことを知ったが、その後、消息が確認できていない。翌年3月、地元警察から、収容所で撮影された父のビデオが送られてきて、「中国共産党への忠誠心を示し当局に協力すればお父さんを出してあげる」と告げられたが、断った。それ以降、一切の通信は断ち切られたままだ。
産経新聞