石川県能登地方で1日午後4時10分ごろ発生したマグニチュード(M)7・6、最大震度7の地震は、同地方で令和2年12月から3年以上継続している群発地震活動の一つとみられ、一連の活動で最大規模となった。
政府の地震調査委員会の委員長を務める平田直東大名誉教授(観測地震学)は「阪神大震災の地震(M7・3)を超えるような非常に大きい規模の地震になったため、広範囲で揺れが起きた」と話す。
同規模の地震が続く群発地震は、大きな本震の後により小規模の余震が続いて減衰していく、東日本大震災の地震のようなタイプとは異なる。しかし、平田名誉教授によると、今回のように大きな地震が起きた場合には、通常の群発地震に加え、大地震の直接的影響で地震の発生が増える。このため、昨年5月のM6・5の地震以降は、能登地方で地震回数が増加した。この直接的影響は時間とともに減衰し、同年10月ごろにはM6・5の地震が発生する前の状況に戻っていた。
平田名誉教授は「今回も、最低でも1カ月、または数カ月間はM7・6の大地震の直接的影響によって地震回数が増えると考えられる。またしばらくは強い揺れをもたらす地震が発生する可能性が高いとみられ、警戒が必要だ」と述べた。
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石川県能登地方を震源とする地震で、多くの被害情報が寄せられていることを受け、警視庁災害対策課の特殊救助隊が1日午後、石川県に向けて出発した。
警察庁は関東、中部、近畿の管区警察局から、「広域緊急援助隊」を被災地に派遣する準備を進めており、警視庁の特殊救助隊もその一環で派遣された。
特殊救助隊は平成25年、東日本大震災を教訓に創設された。災害救助に特化し、自然災害や水難、山岳救助などで救出救助活動を行う。隊員らは重機や船舶の資格を持ち、これまで国内外のさまざまな大災害に派遣されてきている。
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1日発生した能登半島地震で、石川県輪島市の地元消防によると、輪島市内でビルが倒壊したとの通報があった。ほかにも建物が倒壊したとの通報が多数あり、消防などが状況を確認している。
石川県を1日に襲った震度7の地震で、京都府内では最大震度4が観測され、舞鶴港では同日午後7時40分までに少なくとも高さ20~30センチの計4回の津波が観測された。「近年まれに見る揺れだった」。沿岸で津波注意報が出される中、自治体職員は情報収集に追われ、住民らも不安な一夜を過ごした。
府は1日、災害警戒本部を設置。日本海に面する京丹後市や舞鶴市は災害警戒本部を、第八管区海上保安本部(舞鶴市)も対策本部をそれぞれ設置し、警戒を続けた。
府災害警戒本部などによると府内では長岡京市で最大震度4を観測したほか、舞鶴市、宮津市、京丹後市、伊根町で津波注意報が発令された。一方で1日午後8時現在、府内で地震や津波による人的・物的被害などの報告は入っていない。文化財への被害などの情報もない。
舞鶴市の職員は「近年まれにみる揺れだった。家族は(平成7年の)阪神大震災のときよりも長い時間、揺れを感じたと話していた」と話した。舞鶴港では1日午後6時19分に高さ20センチの津波が観測されたほか、同7時39分までに少なくとも計4回の津波が押し寄せた。一方でいずれも津波に伴う被害報告はなかった。自主的に高台に避難していた人たちは徐々に帰宅しているという。
住民らも不安な夜を過ごした。京丹後市網野町の草木染作家、堤木象さん(66)は自宅で被災したといい「横揺れがゆらゆらと始まり、今までに経験したことのないくらい、ずいぶん長い時間揺れていた。余震もずっと続いていた」と振り返った。ただ余震については「ドーンとくるような衝撃はなくて、落ち着いていられた。家の中の物が落ちたり倒れたりすることはなかった」と話した。
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防衛省統合幕僚監部によると、石川県能登地方で最大震度7を記録した地震を受け、同県輪島市の航空自衛隊輪島分屯基地に住民ら約千人が避難している。自衛隊が毛布や水、食料を配布して対応している。
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木原稔防衛相は1日、能登半島地震の発生を受け、陸上自衛隊金沢駐屯地の部隊が石川県珠洲、輪島両市で人命救助にあたっているほか、陸海空自衛隊の航空機約20機が上空から被害状況などの情報収集活動を実施していると明らかにした。自衛隊への災害派遣要請に備え、陸自9500人が待機しているとも説明した。防衛省で記者団に語った。
林芳正官房長官は記者会見で、石川県の馳浩知事から自衛隊に対し、災害派遣を要請されたと明らかにした。
木原氏は地震発生を受け、陸海空自衛隊が緊密に連携し、人命救助を第一とした活動を実施することや、早急に被害状況を把握するため、あらゆる手段を講じて情報収集活動を実施することを指示した。自衛隊は石川、富山、福井3県の県庁に連絡員を派遣した。
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1日午後に石川県で最大震度7を観測した能登半島地震で、震度6強の揺れに見舞われた同県七尾市。同市役所の男性担当者は「市内の被害状況の把握は追いついていない。これから夜間になるので情報収集はさらに難しくなる」と焦りを募らせている。
男性担当者は車で移動中に大きな横揺れに見舞われ、すぐに勤務先の市役所へ向かったという。
「到着するまでに信号機は消え、電線が垂れ下がっている場所や家屋の塀が倒れてしまっている場所もあった」と説明。午後6時25分現在、市内2300戸が停電しているとの情報があるという。
市役所は避難してきた住民らでごった返している状況。会議室などを開放して対応にあたっているが、「市内の各避難所の状況などはまだ把握しきれていない」と男性担当者は話した。
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