八重山で中国軍の動き活発化 米依存は限界「自国は自国で守る」の原点回帰を 仲新城誠
沖縄が危ない
日本人客を拒否...政府「動画はデマ」
中国で日本人の知人から聞いた話である。ある街でタクシーを拾うと、運転手がスマホで小説を聞き始めた。内容は骨董に関する話だった。突然、「日本人」と言う言葉が聞こえて、聞き耳を立てた。
掘り出し物の「お宝」を買うか買わないかで、日本人が突然現れて、中国人と争うことになった。その日本人が無礼な態度で、横柄に中国人を蔑視する言葉を連発。あまりに衝撃的だったので、知人は終始、言葉を発しなかった。日本語なまりの中国語で話せば、降ろされてしまうことを危惧したからだ。
今年の4月8日に、一本の動画が中国のSNS「抖音」(ドウイン=中国語版TikTok)」などで広く拡散され、大きな話題を呼んだ。動画のタイトルは「南京のネット予約タクシー運転手が日本人客を拒否した」。動画をみると、運転手が乗ってきた客に国籍を尋ねた。日本人だと聞くと、客に「降りろ」と要求した。
この動画は、大きな論争を引き起こした。運転手の態度を支持する人もいれば、反対する人もいた。あまりの騒ぎに、4月14日に南京市がコメントを出した。南京市の公認「微博」で、<当該動画は南京で起こったことではなく、デマである>と明言。出所不明の情報を信じないよう呼び掛けた。
日系企業の撤退を懸念したのだろう。南京市政府だけでなく、中央テレビ(CCTV)などの政府系マスコミも、「動画はデマ」と報じた。
しかし検索をすると、その動画や写真は、いまだに多く見つかる。「又一村」というハンドルネームのユーザが「抖音」で、この話題を人寄せパンダにして、字幕付きで南京大虐殺の残虐シーンの写真や、福島第一原発の処理水の写真などを流している。
歴史問題と福島処理水の問題は、日本をよく知らない中国人たちに悪用され、デマや嘘まで作られ、誤った日本のイメージが形成されている。そして、中国政府もそれらを放任している。
旧日本軍に対してではなく、現代の日本人に恨みを向けさせているのだ。かつての日本の中国侵略は、大きな過ちで弁解の余地はないが、それを利用して、現代の日本人を敵視すべきではない。逆に中国政府に、現代の日本人への蔑視を防ぐ措置を取らせるよう促すべきだろう。中国政府がその気になれば、日本人への蔑視や差別をなくすことはできるのだ。
日本側も、こうした現象をあまり重視していない。日本を訪れる中国人が増えれば、中国人は日本の真の姿を知り、日本ファンになるだろうと、楽観視している。
実際、訪日経験のある中国人は、極端な民族主義者よりもかなり少ない。中国ではいまだに、反日的な発言や行動をとれば、喝采を浴びる可能性が高いのだ。
9月7日、「亜人」と名乗る中国人が「微博」(ウエイボー=中国版X)に動画をアップし、北京の観光地の園明园で、日本人に場所を譲ることを拒否した様子を流した。「写真を撮りたいので、そこをどいてくれませんか」と頼んだ中国人の通訳に、「日本人には永遠に席を譲るものか!」と、「亜人」は大声を上げたのだ。
8月27日の晩には、湖南省長沙市の「雅湖湿地公園」で、ある中国人女性が和服のような衣服を着て、写真を撮っていた。すると数人の市民に囲まれて、「着物を着てここにくるのはふさわしくない」と説教された。
翌日の28日には、公園の管理事務所が発表した。
<この公園内で着物など奇異な服装してはならない。管理員が見れば注意する。昨日のことはすでに警察に通報し、「網信弁」(中国共産党中央ネット安全・情報化委員会弁公室)にも通報済みである>
今年4月にも、重慶で中国人女性が着物を着たことで、嫌がらせを受ける事件があった。2022年8月には、蘇州である女性が着物を着たところ、警察が強引にその場で、着物などを押収した。警察は翌日、押収した着物と靴などを返却したが、その影響は大きく、日本のものは中国では批判の対象だと、改めて印象づけた。
さらに、今年6月に江蘇省蘇州の日本人学校のバス停前で、殺傷事件が勃発。9月には広東省深圳で、日本人学校に通う10歳の児童が、母親の前で刺殺された。これらの事件の犯人や犯行動機について、中国当局から詳しい説明はない。
中国では、反日的な行動と発言は、愛国心と結びついて極端になっている。1980年代、改革開放の初めのころの中国では、政府の意向もあって、中国人が日本を排斥した例はなかった。
習近平の「愛国心」思想
しかし、習近平政権になって、愛国心および反西側諸国の姿勢が好まれ、民族主義的な発言が主流となった。いまや、理性的で西側の価値観を唱えることは、異分子とされる。これは、習近平主席の個人の考え方が深く影響している。
9月1日、習近平主席の教育に関する重要講話が、中国共産党の機関誌『求是』に掲載された。その中でこう述べている。
<愛国主義は中華民族の心と魂だ。社会主義の建設者と後継者を育てるには、まず学生の愛国心を教育すべきだ>
<社会主義の破壊者と、社会主義の墓を掘る人間を育ててはならない。中国人の顔をした人が中国人の心がない、中国人らしい感情がない、中国的な振る舞いをしない。このような(中略)教育面での歴史的な過ちを犯しては、絶対ダメだ>
習近平主席の教育理念がまとまって公表されたのは、初めてのことだった。これを読めば、世界の人々は中国への幻想を捨てなければならないと悟るだろう。
反日、反西側を「愛国心」とするような空気を放置している、というより促している習近平主席。10月9日の岩屋毅外相と王毅外相の電話会談、及び10日の石破茂首相と李強首相の会談でも、日本人男児の刺殺問題は話し合われた。だが、日本政府は中国政府に対して、中国を覆う反日、排日の空気、そしてその背景となっているトップの「頭の是正」を強く求めていく必要があるだろう。
【北京=三塚聖平】中国の藍仏安(らん・ふつあん)財政相は12日に北京で記者会見し、中国政府には「債務拡大や財政赤字の余地がかなりある」と表明し、財政出動を伴う経済対策の方針を示した。不動産不況を背景とした景気減速により財務状況悪化が懸念される中国の大手国有銀行に対し、特別国債を活用して資本注入を行う。
中国メディアによると、中国政府が特別国債を発行して大手国有銀行に資本注入を行うのは、アジア通貨危機の際の1998年以来になるという。藍氏は、資本注入で大手国有銀行のリスク対応能力を高めて融資能力を引き上げることにより、実体経済を支えると狙いを表明した。注入の規模などは明らかにしなかった。
また、財政出動により債務問題を抱える地方政府の財政悪化を防ぐ。不動産市場対策としては、地方政府が「専項債」と呼ばれる債券の発行を通じて不動産会社が開発せずに放置している土地の買い取りなどを行うことを認める方針を示した。
中国共産党・政府は9月下旬以降、景気下支えの姿勢を鮮明にしている。金融面では、中国人民銀行(中央銀行)が大規模な金融緩和策や不動産市場支援策を打ち出した。
中国政府の景気対策への期待感から、中国・上海の株式市場では代表的指標である上海総合指数が今月8日まで10営業日連続で値上がりした。ただ、その後は様子見ムードも広がって上げ下げを繰り返している。ロイター通信は9月、中国が2兆元(約42兆円)規模の特別国債を発行する予定だと伝えていたが、藍氏は会見で具体的な規模は明らかにしなかった。政府の景気対策をにらんで株価が乱高下を続ける中、週明けに市場がどう反応するか注視される。
【ニューヨーク=金子靖志、ワシントン=田島大志】メキシコ湾で発生した大型ハリケーン「ミルトン」が9日夜(日本時間10日午前)、米南部フロリダ州に上陸した。地元当局が700万人以上に避難命令を出し、暴風などへの警戒を呼びかけている。
米当局によると、ミルトンの勢力は8日、5段階で最も強い「カテゴリー5」を観測したが、9日夕には「カテゴリー3」に勢力を弱めた。上陸地点は同州西部シエスタキー付近で、タンパやオーランドなど人口の多い都市を通過し、大西洋に抜けるとみられている。
大統領選を控え、バイデン政権は対応に神経をとがらせている。9月に米南部を襲ったハリケーン「ヘリーン」を巡り、共和党のトランプ前大統領は「史上最悪の対応」などと政権や民主党のハリス副大統領への批判を強めている。
ハリス氏は9日、CNNに出演し「大惨事になる」として最大限の注意を呼びかけ、「危機の状況で、政治的駆け引きはやめなければならない」とも訴えた。