自民党の高市早苗前経済安全保障担当相が16日、派閥パーティー収入不記載事件に関係して自民から非公認にされた旧安倍派の細田健一前衆院議員=新潟2区=の演説会に参加し、衆院選の応援行脚をスタートさせた。高市氏は9月の総裁選で善戦し、自民議員から応援依頼が殺到している。衆院選は「ポスト石破」を見据えた党内の基盤固めの好機となる。
応援依頼120カ所超
16日昼、新潟県燕市内のホテル。細田氏の演説会会場に高市氏が到着すると、集まった約500人から大きな拍手が湧いた。
「(細田氏は)公認が得られなかったが、私にとっては大切な同志だ。新潟県を強く豊かにできる人だと確信するから、絶対に勝ってほしくて来た」
高市氏は自身の総裁選でのキャッチフレーズ「強く豊かに」を使いながら、こう強調した。非公認となった細田氏が比例代表での復活当選もできないことを念頭に「後がないから力が出る。いろいろあったかもしれないが、日本にとって、新潟県にとって必要な人間だ。国政に戻してほしい」と呼びかけた。
細田氏は、総裁選の1回目の投票は小林鷹之元経済安保担当相に票を投じたが、決選投票では高市氏に投票した。細田氏は演説会終了後、記者団の取材に、非公認が決定する前から高市氏に応援を依頼していたと明かし、「(自身が非公認になっても)高市氏は変わらず明るく『必ず行くから』と言ってくれた。知名度も高く、党を引っ張っている方が来てくれることはありがたい」と感謝の言葉を述べた。
新潟2区には無所属での出馬となった細田氏のほか、立憲民主党の前職の菊田真紀子氏、日本維新の会の新人の井上基之氏も立候補している。
総裁選で高市氏を支援した議員だけでなく、林芳正官房長官や河野太郎前デジタル相の陣営にいた議員からも依頼があり、高市氏周辺は「次」への足がかりになるとみている。
「次の総裁選始まっている」
とはいえ、高市氏の足元も盤石ではない。総裁選の推薦人20人のうち14人を占めた旧安倍派は、高市氏の重要な支持基盤といえる。しかし首相は、政治資金収支報告書に不記載が確認された旧安倍派などの議員12人を非公認にし、公認した場合も比例代表との重複立候補を認めないなど厳しい対応を取った。高市氏は自身を支えてくれた多くの仲間を衆院選で失う可能性がある。
細田氏の応援演説の後には、新潟県内で別の旧安倍派の前職を応援。同日中に長野県に移り、ここでも旧安倍派の前職の応援演説を予定している。両氏はいずれも不記載があり、比例代表との重複立候補が認められなかった。