お社の製作依頼
普段は注文家具屋なのですが、時々家具以外の製作依頼を受けることがあります。
今回ご依頼いただいたのは「お社」。
現在あるお社の老朽化により、新たに作り直すことになりました。
お社の寸法は、高さ(千木含め)約90cm・幅(屋根幅)約80cm。
随分と昔、お客様のご依頼で家庭用の神棚の修理をしたことがありましたが、
この大きさのお社を一から製作するのは初めての試みとなります。
まずは設計から
製作するのが初めてなら設計も初めてなので、さて、どこから手をつけていけばよいのか?
漫然とインターネットでお社の写真を眺めているだけでは設計できません。
ということで、お社の元となる神社建築について調べることから。
神社(社殿)建築には大きく分けて二つの様式があり、
一つは伊勢神宮に代表される「神明造」、
もう一つは出雲大社に代表される「大社造」。
神話には詳しくないのですが、「天津神」・「国津神」で様式がわかれるのかな。
お祭りする神さまは
ククノチ神。
「古事記」では 久久能智神、「日本書記」では 句句廼馳と表記。
ククノチ神は、イザナギ・イザナミの間に「木の精ククノチ」として産まれた神さま。
また、ククノチの「チ」は、男性的な神霊を表し、ククノチ神は「木の男神」であるとする説がありましたのでこれを参考に。
社殿屋根の「千木」と「鰹木」
「千木は屋根の両端で交叉させた部材であり、鰹木は屋根の上に棟に直角になるように何本か平行して並べた部材である。
どちらも古墳時代には皇族や豪族の邸宅にも用いられたが、今では神社の屋根にのみ特徴的にみられる。」
『Wikipediaより引用』
細かい話になりますが、「千木」と「鰹木」は、男性神を祭るのか、女性神を祭るのかで様式が分かれるようです。
千木は外削ぎと内削ぎ、鰹木は偶数と奇数のそれぞれ二通りあります。
一説によれば、
千木が内削ぎで鰹木が偶数の場合・・・女性神
千木が外削ぎで鰹木が奇数の場合・・・男性神
今回の様式は、ククノチ神を男性神とみなして、外削ぎ・奇数でつくることに。
その他にも、
設置場所の環境を考慮し、メンテナンスしながら、できるだけ長持ちするよう設計していきました。
最終的に落ち着いたのが、シンプルな折屋根宮を基本に神明造の千木と鰹木を合わせた様式。
完成イメージ図
材料選び・墨付け
お社にはご神体をお祭りしますが、ご神体そのものは神さまでなく依り代という考えがあります。
そのご神体を安置する入れ物がお社。
神さまの依りやすい自然素材でつくるのが大事。
また、見えない部分ですが、つくり手の気持ちも大事と思います。
・・・身が引き締まる思いです。
適材適所で材料を吟味して選び、
間違いがないよう何度も確認しながら慎重に墨付け作業を進めます。
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