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忘れえぬ女 -(その9 分水嶺)

2014-11-23 09:47:58 | 小説
不思議と気持ちに迷いが生じると、悪魔が心の隙間に入り込んで来てしまう。
達也が母にゆみと結婚したいと告げたところ

 「仲人は二番目に話のあった地方政治家に頼まないといけない」と言い出し、
恩師の仲介で二人が会ったのに、“あちら立てればこちらが立たぬ”の状態になってしまった。             達也は、このことをゆみには言い出せず一人心を痛めるのであった。   
 ゆみとの結婚に何の迷いも無かったなら、ゆみに対するエネルギーの強さでこんな障害は乗り越えたであろうが。


 そのころ、紹介してもらった恩師からは先の段階への展開を問われるし、ゆみにも「私達そろそろハッキリしないといけないね」と言われる状況に至ってしまった。
ゆみとの縁談は親が同席しなかったものの、恩師宅で紹介されておりお見合いという分類になるのであろうか?お見合いでなかったら、結論を急がずにもっと気楽にゆみとお付き合いが出来たのに。

 達也は自分一人では結論を出せず、当時のゆみを知る同じ教育界の方の意見を求めたりした結果、別れることにしてしまった。
 別れた日のことについて、達也は行動から会話の内容まで詳細に記憶している。
それは達也が別れた直後から喪失感に見舞われ、深い悔悟の念を抱き続け、当日の過ちを反芻してきているためである。まさに、「覆水盆に返らず」になってしまった。
 この日のことについては、余りにも辛く敢て読者の想像に委ねることにする。


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