食品のカラクリと暮らしの裏側

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エンゲル係数が急上昇なのはアベノミクス失敗で収入減と食品価格がアップ/食品のカラクリ・食べ物視点

2016年08月23日 | 食べ物視点
Ntpkarakuri

食品のカラクリシリーズ エンゲル係数/食べ物視点
エンゲル係数が急上昇なのはアベノミクス失敗で収入減と食品価格がアップ
高齢化と共働き世帯の増加から中食依存・食への偏重も上昇の要因に

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■バブル崩壊後25年ぶりにエンゲル係数が高い水準に
皆様も遥か昔に、学校で「エンゲル係数」を習ったと思います。19世紀にドイツの社会統計学者エンゲルが見出したもので、消費支出に占める食費の割合です。そのため生活水準が下がると数値が上がり、逆なら下がります。さて直近の総務省「家計調査」によると、エンゲル係数が26.8%に上がり、バブル崩壊後25年ぶりに高水準(生活面が低水準)なのです。戦後の混乱期には60%もあったそうですが、その後、徐々に下がり、2005年がボトム値の22.9%でした。しかしここ数年は家計に逆風が吹く経済政策の失敗によって、数値が急上昇しているのです。

上昇の原因はいくつかあり、(1)所得の減少 (2)食品価格のアップです。これらは、まさしくエンゲル係数上昇の見本のようなものです。現在の主なるエンゲル係数の上昇は、もちろん消費税増税後の消費低迷がベースになっています。しかしそれだけではなく、(3)高齢化などによる世帯や家計の構造変化 (4)食費の位置付けの変化など、本来のエンゲル係数である生活水準の高低とは別の要因によって起きており、係数の意味合いが変わってきているのです。そのため数値の上昇は生活水準が下がったことと、他の要因を加味する必要があります。順に、説明していきます。

■経済政策の失敗から労働者は実質賃金が低下し食品価格アップの生活苦
まずは(1)所得の減少~家計調査(2人以上の勤労者世帯)による月平均収入は、1997年時点で59.5万円。そこから税や社会保険料などを差し引いた可処分所得が49.7万円でした。しかし2015年には、42.7万円と約14%も減少しています。別のデータを見れば一目瞭然で、GDP(国内総生産)統計の6割を占める個人消費が2014年度・2015年度と2年連続でマイナスでした。1997年に消費税を3%から5%へ、リーマンショック後の2008年度も個人消費はマイナスになりましたが、それでも翌年にはプラスに転じているのです。2年連続マイナスは、戦後初めての異常事態なのです。また労働者の実質賃金もここ5年間連続のマイナスで、5%もダウンし、例えば年収400万円のサラリーマンは20万円も給料が目減りしているのです。

次に(2)食品価格のアップ~消費者にとっては大変な痛手です。消費税が8%になった2014年から生活品の消費者物価指数が急上昇し、2010年比では5年間に6.5%も上がっているのです。安倍首相は給料を上げると言いながら逆に5%もダウンし、食品の価格だけが急上昇なのです。これは明らかにアベノミクスの破綻、政策の失敗が原因と言えます。所得が減れば、家計は自ずと消費を控えます。また、もともと節約しにくい食品が値上がりし、支出割合が増える構図です。従ってエンゲル係数が急上昇するのも、当たり前の話です。

■日本は食べることしか楽しみがなくなった?目立つ食への偏重の原因は?
今までは、定番的?なエンゲル係数が上がる原因を説明してきました。しかし昨今は、他にも上がる要因があるのです。(3)高齢化などによる世帯や家計の構造変化~高齢化と共働き世帯の増加です。高齢化が進みシニア世帯は、収入が大きく減りました。しかし食の質を下げることは中々難しく、エンゲル係数を押し上げています。また共働き世帯は忙しさや時間のなさから、どうしても外食・弁当・惣菜に頼る傾向が強いようです。1980年には、食費に占める外食+調理食品の割合は2%程度でした。それが現在では共働き世帯の食費の3割を占め、同じくエンゲル係数を上げる要因になっています。

最後が、(4)食費の位置付けの変化です。食費は、“生きるための食事”から、家族・知人とのコミュニケーション・楽しみ場の意味合いが強くなっています。また、グルメ志向も高まっています。このような傾向からエンゲル係数は、過去のように生活水準だけでは計れないようです。とは言っても大手スーパー・イオン社長は、決算発表時、「日本は食べることしか楽しみがない社会になった」と嘆きました。野村総研の「積極的にお金を使いたい費目」・1万人調査でも、裏付けされています。2003年と2015年比では、食料品24→39%、外食11→16%、人との付合い22→30%にアップ。一方、自動車・家電・趣味・レクリエーション・住宅設備・貯蓄などは横ばい、あるいは微減でした。旅行費に至っては、47→36%に大幅減に至っています。

この結果を見れば、明らかに消費はバランス良く伸びていません。本来なら車や家電、住宅、旅行、趣味やレクリエーションなどにお金を使いたくても、残念ながら回せないため、せめて家族や知人との食事や交際を楽しみたい心境なのではないでしょうか!何だか寂しいけど、そうエンゲル係数は言っているように思えます。アベノミクスに期待しても、けっして給料は上がりませんよ。アベノミクスは大企業を儲けさす政策であり、儲かれば「内部留保金」(2017.12修正400兆円以上)を貯め込むだけです。そんな大企業の利益が、やがて「トリクルダウン」~滴り落ちることを待っても、中小企業や労働者は潤いません。だから「アベコベノミクス」「アホノミクス」と揶揄され、またアベノミクスを逆さに読むと「竦(すく)みのベア」(給料が下がる意)なのですから。

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