魚を大事にしない日本人シリーズ R1-7
ROUND1 江戸前から繋がる世界の海 Part2築地市場を全て新築してこの地に残そう
昭和の名残り国鉄東京市場駅の円形エリアが存在する築地市場
築地市場/フリー素材
現在の築地市場は、写真や地図を見ただけで分かるように建物・敷地の南側一帯が円形にカーブしています。これは、良き時代の鉄道線の名残りです。現在のようにトラック搬入オンリーではなく、S59年まで築地市場内に国鉄・東京市場駅が存在し、旧・汐留貨物駅(今の汐留エリア)から貨物線を通じて、貨物車で水産品を大量に運んでいました。残念ながらS62年の国鉄民営化と共に、廃止されてしまいました。市場の一部の鉄骨はヨーロッパ調の造形美が見られ、歴史的価値があるそうです。築地市場の見所を鉄骨の造形美なんていう奴は、変人の私ぐらいでしょう(汗)。
さらに関心を持ったのは、場内を走る小さな運搬車両です。「ターレ」と呼ばれ、正確にはターレット・トラックです。これが築地の主役なのです。電動エンジン部分の上に輪っか(ハンドル)があり、ハンドルを切るとそのままエンジン本体も旋回する例の小型運搬機です。狭い場内では小さくて小回りが利き、かつ電動なので排ガスを出さないので衛生的です。最大スピードが15km/Hで、場内は2,600台が走り廻っているそうです。築地だけでなく、様々な分野に使われています。人生に一度、できればこのターレに乗ってみたいですね。
1日54t ものゴミが出て、その多くが発泡スチロールです。魚を氷で冷しながら移送する、よく見掛けるあの白い箱です。場内には再生工場があり、その日のうちに山となった白い箱が樹脂に戻されます。前号で、築地市場は1つの都市だと申し上げました。場内には、郵便局・診療所・宿泊施設・理容室・図書館(民間)・宝くじ売場も用意されています。場外市場もにぎわっていますが、1つだけ皮肉を言えば、人気がある店はあまり築地市場内の魚介類を使っていません。“魚河岸のオニイサン達”はそんな店には眼も触れず、昔から続いている本当に美味しい場外市場店で食事をしているのです。