食品のカラクリシリーズ ファストフィッシュ(骨なし魚)/魚介類
水産庁のファストフィッシュ作戦は骨なし魚を助長し却って魚離れに
魚離れを食い止めたくても長い眼で見れば魚の加工食品は逆効果
秋刀魚は加工食品ではなく鮮度の良いものを食べたい
■骨がない秋刀魚スティック(骨とりさんま)に味覚の秋は来ない!?
日本人の魚離れが言われており、現に2000-2010年の10年間に摂取量が26%も減少しています。魚離れは成人・子供だけではなく、意外にも人生を魚中心に食べてきた高齢者にも進んでいるのです。そこで魚の需要を増やすために水産庁が打ち出したのは、ファストフードにならい「ファストフィッシュ作戦」です。
予め魚の骨を加工場で抜いておけば、消費者に手間が掛からず食べやすいと考えた点です。秋刀魚を、頭部・尾・内臓を取り除いた“骨なし魚”(骨とりさんま)にして、数本の身肉だけの秋刀魚スティックにして、オシャレなパッケージで販売します。スパイシー・バジルなどの味が付いており、フライパンで焼けばそのまま食べられるものです。また水産庁が勧める数々ある魚製品も、要するに加工食品化されたものです。フライパンで焼く・レンジでチンするだけで食べられる、魚調理の簡単化を目指しています。
しかし加工食品化すれば元々の魚の食べ方から遠退き、魚本来の味からも掛け離れてしまいます。また余分な添加物も加えられ、健康にも良いとは言えません。本末転倒なやり方であり、良識ある消費者に理解を得られないでしょう。長い眼で見れば、こんなことで魚の消費量が増えるとは思えません。
■魚の加工食品化は魚そのものの美味しさを分からなくするだけ
農水省の調査では、6割の方が肉類より魚介類のほうが健康によいと回答しています。調査からは魚を食べたい意識はあっても、実際に食べられていない実態が見えます。ある専門家は、魚離れといっても魚そのものを避けているのではなく、家庭での「魚の調理離れ」が原因と指摘します。
現在の若い親は魚の捌き方や調理方法を知らず、あるいは知っていても忙しさから面倒で調理しないことが原因です。そうした背景で、水産庁が進める「ファストフィッシュ作戦」の骨子は、到底、魚料理と言えない~魚の加工食品を食べ続けさせることです。これでは親が子供に、その子が親になったら、ますます子供には魚調理をしなくなるでしょう。一方、魚の加工食品化が進むと、「規格魚」と言われる一定の大きさの魚しか採用されなくなり、規格外の小さい魚・大きな魚は捨てられてしまうのです。
この作戦による魚の消費量増加は、極めて一時的・限定的と考えられます。それよりも基本的に、骨のある新鮮な魚を調理して食べることを認識させることが、親と水産庁の役目ではないでしょうか!加工食品化が進めば、魚本来の美味しい味が分からない人間が増え、却って「魚離れ」が進むことは間違いありません。
バカ親達への給食クレーム対策がきっかけで骨なし魚が大ヒット
スーパー・弁当店が増えれば同じ大きさの規格魚ばかりが求められる