少数派シリーズ/東京オリンピックの危うさVOL.93
ROUND7 国民の命を守るため東京オリンピックの中止を!編 18
東京五輪開催まで50日を切り最後は菅首相の判断・責任で「中止」を決断せよ
■開催を強行すれば負の遺産として残る・アスリートや五輪への反発につながる
投稿はしんぶん赤旗を活用しております/開会式(7月23日)まで50日を切り、東京五輪の中止を求める声が大きく広がっています。メディアの世論調査は「中止」の回答が多数を占め、日本弁護士連合会の宇都宮健児元会長が呼びかけた中止要求オンライン署名は42万人直前です(投稿時点)。感染拡大が深刻化するコロナの対策と五輪が両立しないことは、誰の目にも明らかです。しかし、菅義偉首相は「五輪ありき」で突き進む姿勢を変えようとしません。これでは国民の命と健康をコロナから守れません。日本政府の責任で五輪中止を一刻も早く決断すべきです。新聞・テレビの世論調査結果は、国民多数が今夏の五輪は中止しかないと考えていることを浮き彫りにしました。「読売」は「中止する」が59%にのぼりました。緊急事態宣言の対象となった6都府県の平均では6割を超えています。NHKも中止49%で、無観客23%、観客制限19%を上回りました。JNNでは「延期」「中止」を合わせて65%に達しました。
宇都宮氏が5月に開始したオンライン署名は、わずかの期間に急速に賛同を集め、広がりを見せています。署名は「ただでさえ深刻な不足に直面している医療資源を五輪に回すことは、コロナ禍で疲弊している医療従事者の方々をさらに苦しめ、住民および参加者の命と暮らしを危険にさらす」と訴え、菅首相や小池百合子東京都知事、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長らに中止宣言をすることを求めています。「医療は限界 五輪やめて!」と記した立川相互病院(東京)の窓の張り紙は話題を集め、コロナ禍で医療がひっ迫する中で看護師に五輪派遣を要請する政府に対する抗議のツイッターデモも行われています。日本オリンピック委員会理事で女子柔道のメダリスト・山口香さんは、開催を強行すれば「負の遺産として残る可能性がある」とし、「結果として感染拡大につながれば、アスリートや五輪への反発につながりかねない」と強く警告します。
■開催国が国民の命を最優先にする立場から中止を決めればIOCは覆すことはできない
しかし、菅政権は国民の不安や批判にこたえません。5月の国会審議では、ワクチン接種の大幅な立ち遅れや、医療従事者を現場から引き離し五輪に振り向ける余裕がない問題、選手を受け入れるホストタウンの地方自治体に大きな負荷を強いることなどが取り上げられました。これに対し首相は「安全・安心の大会が実現できるように全力を尽くすことが私の責務だ」と同じ言葉を繰り返すばかりです。首相の政策アドバイザーの高橋洋一内閣官房参与がツイッターに、日本の感染拡大を「さざ波」と投稿し、五輪中止の声を揶揄(やゆ)したことも不問に付しました。首相の認識と任命責任が問われます。首相が、開催権限はIOCにあると自分の責任逃れを図っていることは大問題です。開催国の政府が国民の命を最優先にする立場から中止を決めた場合、IOCはそれを覆すことはできません。主権国家として日本が主体的に判断し、中止の決断をしてIOCに伝え、関係する諸団体と協議に入ることが急がれます。東京都の小池知事にも開催都市のトップとしての責任があります。国と都は五輪の中止を決断し、コロナ対策に力を集中する時です。
投稿者補足/オリンピックの取り決めは、IOCと開催都市の東京都にある。返上(中止)の権限は小池都知事にあるが、今や世界的な国家行事であり実際の主導権・責任は菅首相と言える。
■菅首相は分科会まで斬り捨てて東京五輪開催を強行する姿勢に寒いものを感じた
ここからは投稿者の文章/6月2日の国会では尾身会長が答弁し、「今の状況では普通は(開催は)ない」「やるのなら強い覚悟が必要である」と重ねて強調した。これでもかなり抑えた表現であり、分科会の言うことを聞かぬ菅首相へ内に秘めた精一杯の抵抗と思われる。尾身会長は、腹をくくったのだ。ところで分科会の仕組みは、政府の諮問がないと独自の検討に入れない。菅首相は「安全・安心」発言の繰り返しばかりだが、驚いたのは分科会に大事な「五輪リスク」を諮問していないことだ。五輪による感染を懸念する分科会は業を煮やし独自で提言を進めたものの、政府は分科会の開会を拒否した(潰した)ことだ。つまり諮問すれば、「五輪中止」を言われる。さらに驚いたのは政府は別の専門家2人に打診し、開催のお墨付きを貰ったと言う。分科会は今までコロナ感染の対策や状況判断をしてきており、菅首相は国家的行事の五輪開催について正しい判断を求めるべきなのに、この期に及んで分科会とアドバイザリーボードを斬り捨てたことだ。典型的な「チェリー・ピッキング」=数多くの事例の中から自らの論証に有利な事例のみを並べ立てること(つまみ食い・不都合なことを排除)。コロナ対策や学術会議などと同様、菅首相の科学的根拠に基づかないこんな出鱈目なやり方で、東京五輪開催を強行する姿勢に寒いものを感じた。己の政権欲だけで国民の命を守ろうとしないこんな冷淡男は、さっさと退陣に追い込むべきだ。
投稿者によって、タイトル付けを行いました。
次号/ハゲタカ著者・真山仁氏◇五輪中止を!命を守る決断は顰蹙を買ってでも政治家の役目
前号/文春「天皇に会わせろ、バッハよ何様だ」「菅首相・IOCには逆らえない」と報ずる
ROUND7 国民の命を守るため東京オリンピックの中止を!編 18
東京五輪開催まで50日を切り最後は菅首相の判断・責任で「中止」を決断せよ
■開催を強行すれば負の遺産として残る・アスリートや五輪への反発につながる
投稿はしんぶん赤旗を活用しております/開会式(7月23日)まで50日を切り、東京五輪の中止を求める声が大きく広がっています。メディアの世論調査は「中止」の回答が多数を占め、日本弁護士連合会の宇都宮健児元会長が呼びかけた中止要求オンライン署名は42万人直前です(投稿時点)。感染拡大が深刻化するコロナの対策と五輪が両立しないことは、誰の目にも明らかです。しかし、菅義偉首相は「五輪ありき」で突き進む姿勢を変えようとしません。これでは国民の命と健康をコロナから守れません。日本政府の責任で五輪中止を一刻も早く決断すべきです。新聞・テレビの世論調査結果は、国民多数が今夏の五輪は中止しかないと考えていることを浮き彫りにしました。「読売」は「中止する」が59%にのぼりました。緊急事態宣言の対象となった6都府県の平均では6割を超えています。NHKも中止49%で、無観客23%、観客制限19%を上回りました。JNNでは「延期」「中止」を合わせて65%に達しました。
宇都宮氏が5月に開始したオンライン署名は、わずかの期間に急速に賛同を集め、広がりを見せています。署名は「ただでさえ深刻な不足に直面している医療資源を五輪に回すことは、コロナ禍で疲弊している医療従事者の方々をさらに苦しめ、住民および参加者の命と暮らしを危険にさらす」と訴え、菅首相や小池百合子東京都知事、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長らに中止宣言をすることを求めています。「医療は限界 五輪やめて!」と記した立川相互病院(東京)の窓の張り紙は話題を集め、コロナ禍で医療がひっ迫する中で看護師に五輪派遣を要請する政府に対する抗議のツイッターデモも行われています。日本オリンピック委員会理事で女子柔道のメダリスト・山口香さんは、開催を強行すれば「負の遺産として残る可能性がある」とし、「結果として感染拡大につながれば、アスリートや五輪への反発につながりかねない」と強く警告します。
■開催国が国民の命を最優先にする立場から中止を決めればIOCは覆すことはできない
しかし、菅政権は国民の不安や批判にこたえません。5月の国会審議では、ワクチン接種の大幅な立ち遅れや、医療従事者を現場から引き離し五輪に振り向ける余裕がない問題、選手を受け入れるホストタウンの地方自治体に大きな負荷を強いることなどが取り上げられました。これに対し首相は「安全・安心の大会が実現できるように全力を尽くすことが私の責務だ」と同じ言葉を繰り返すばかりです。首相の政策アドバイザーの高橋洋一内閣官房参与がツイッターに、日本の感染拡大を「さざ波」と投稿し、五輪中止の声を揶揄(やゆ)したことも不問に付しました。首相の認識と任命責任が問われます。首相が、開催権限はIOCにあると自分の責任逃れを図っていることは大問題です。開催国の政府が国民の命を最優先にする立場から中止を決めた場合、IOCはそれを覆すことはできません。主権国家として日本が主体的に判断し、中止の決断をしてIOCに伝え、関係する諸団体と協議に入ることが急がれます。東京都の小池知事にも開催都市のトップとしての責任があります。国と都は五輪の中止を決断し、コロナ対策に力を集中する時です。
投稿者補足/オリンピックの取り決めは、IOCと開催都市の東京都にある。返上(中止)の権限は小池都知事にあるが、今や世界的な国家行事であり実際の主導権・責任は菅首相と言える。
■菅首相は分科会まで斬り捨てて東京五輪開催を強行する姿勢に寒いものを感じた
ここからは投稿者の文章/6月2日の国会では尾身会長が答弁し、「今の状況では普通は(開催は)ない」「やるのなら強い覚悟が必要である」と重ねて強調した。これでもかなり抑えた表現であり、分科会の言うことを聞かぬ菅首相へ内に秘めた精一杯の抵抗と思われる。尾身会長は、腹をくくったのだ。ところで分科会の仕組みは、政府の諮問がないと独自の検討に入れない。菅首相は「安全・安心」発言の繰り返しばかりだが、驚いたのは分科会に大事な「五輪リスク」を諮問していないことだ。五輪による感染を懸念する分科会は業を煮やし独自で提言を進めたものの、政府は分科会の開会を拒否した(潰した)ことだ。つまり諮問すれば、「五輪中止」を言われる。さらに驚いたのは政府は別の専門家2人に打診し、開催のお墨付きを貰ったと言う。分科会は今までコロナ感染の対策や状況判断をしてきており、菅首相は国家的行事の五輪開催について正しい判断を求めるべきなのに、この期に及んで分科会とアドバイザリーボードを斬り捨てたことだ。典型的な「チェリー・ピッキング」=数多くの事例の中から自らの論証に有利な事例のみを並べ立てること(つまみ食い・不都合なことを排除)。コロナ対策や学術会議などと同様、菅首相の科学的根拠に基づかないこんな出鱈目なやり方で、東京五輪開催を強行する姿勢に寒いものを感じた。己の政権欲だけで国民の命を守ろうとしないこんな冷淡男は、さっさと退陣に追い込むべきだ。
投稿者によって、タイトル付けを行いました。
次号/ハゲタカ著者・真山仁氏◇五輪中止を!命を守る決断は顰蹙を買ってでも政治家の役目
前号/文春「天皇に会わせろ、バッハよ何様だ」「菅首相・IOCには逆らえない」と報ずる