医療費控除(還付申告)シリーズ17 国税庁HPで作る確定申告書
Part3/源泉票と医療費の領収書準備編5 ■ここから還付申告の実務が始まります
引き切れない?正しい補てん金の引き方を知らないと損/補てん金の差し引き②
医療費の合計額から差し引かず各個人の同一病気間で差し引きすること
■家族全体の医療費の総合計から補てん金の合計を差し引きすると「損」しますよ
支払った医療費のうち、生保などから「補てん金」が戻ってきた場合は、差し引くと申し上げました。でも間違った引き方をして、多くの方が損をしています。また「補てん金」のほうが多く、引き切れないで困っている方もいるでしょう。この2つについて、お答えします。まず言えることは、家族全体が支払った医療費の総合計から、「補てん金」の合計を差し引きするのは間違っています。正確には、家族個々の当該の怪我・病気費用の間だけでの差し引きを行ないます。さっそく、具体的な例で説明します
▽正しい補てん金の引き方/〇 B家族 × A家族
←ここが違う!
■補てん金は飽くまでも同一家族・同一病気(入院)間で差し引く
間違いやすい例として、表を基にAの家庭とBの家庭の「医療費控除額」の相違に注目して下さい。同じ医療費30万円、補てん金28万円とした場合、「補てん金」の差し引き方の相違で、差し引き後のAの家庭の補てん金の合計は28万円、一方、Bの家庭は18万円で済んでいます(この場合、補てんされる金額が少ないほうが得する)。結果、Bの家庭は「医療費控除額(*見込み)」が10万円多くなる(A2万円・B12万円)のです。所得税と住民税とで、15,000円も多く還元されます(所得税5%、住民税10%の場合)。
*見込額/「医療費控除額」は他の要因も影響するので、この時点の見込みとします。
損する原因は、Aの家庭は医療費合計額から「補てん金」28万円を、丸々、差し引いているからです。しかしBの家庭は、医療費と「補てん金」は同一家族・同一病気(入院)の間で差し引くことを知っていました。この場合の相違は、夫の入院費と補てん金の扱いです。夫の医療費は10万円にも関わらず、補てん金は20万円が出ました。前述の通り、夫のC病による入院なら、「補てん金」は夫の入院分の医療費との間のみで差し引きします。この結果、引き切れないことから、医療費10万円に対し「補てん金」も10万円と申告(実際は医療費控除の明細書に記入)すればいいのです。これが、正しい補てん金の引き方です。
[そっとアドバイス] 生保会社などが発行する「補てん金」の証明書は、還付申告の際に添付する必要がないため、実質は20万円戻ってきても「補てん金」10万円と記入して問題ないのです。当該の医療費より「補てん金」が上回る場合は、こうした差し引き方を認識しましょう。
■申告対象が1人の場合・補てん金が医療費より多く引き切れない時はどうする?
病院に罹った家族が複数(上の表)なら、正しい補てん金の引き方をしていれば、家族全体の医療費合計より「補てん金」の合計のほうが上回るケースはないでしょう。
でも申告対象が1人の場合に、「補てん金」ほうが多いと還付申告する際は困りますよね。分かりやすく説明するため、上の表の対象を「夫の入院」だけとします。引き切れず実質的に支払った医療費は「0円」になるため、「医療費控除(還付申告)」の対象になりません。
■要は税務署員に分かるように補てん金の表示をすればよい
説明をした内容は、数か所の税務署に問い合わせしました。その結果、2つの見解を得ました。特段、決められた記入方法はないようです。
①家族が複数の場合は、示した図表Bの家族の方法で問題ない。
②夫の対象分の医療費と「補てん金」が相殺されるので、何も書かなくてよい。
*図表の「Bの家庭・夫のC病」で入院の医療費分10万円と、「補てん金」10万円の両方を記載しない。夫の耳鼻科治療分と他の家族分の合計を申告する。
まさか一部ながらも税務署の署員の方から、②の答(チャラにする)が出ると思っていませんでした(笑)。まあ、実務ではそうなりますが。でも①家族全体分を記載したケースのように、全て申告するのが「還付申告制度」と思うのですが・・・
[結論]書き方が決められていない以上、①の例のように要は税務署員に誤解されないよう、「補てん金」との相殺が分かるように記入すればよいと考えます。
[そっとアドバイス] 最終的には、このような趣旨で「医療費控除の明細書」に記入します。「医療費控除の明細書」の書き方全般は、「Part4/医療費控除の明細書作成(手書き)編」でご案内します。
入院給付金など戻ってきた補てん金を確認しましょう
このほかの記事をご覧になりたい方は、タイトル下の「医療費控除(還付申告)」を
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Part3/源泉票と医療費の領収書準備編5 ■ここから還付申告の実務が始まります
引き切れない?正しい補てん金の引き方を知らないと損/補てん金の差し引き②
医療費の合計額から差し引かず各個人の同一病気間で差し引きすること
■家族全体の医療費の総合計から補てん金の合計を差し引きすると「損」しますよ
支払った医療費のうち、生保などから「補てん金」が戻ってきた場合は、差し引くと申し上げました。でも間違った引き方をして、多くの方が損をしています。また「補てん金」のほうが多く、引き切れないで困っている方もいるでしょう。この2つについて、お答えします。まず言えることは、家族全体が支払った医療費の総合計から、「補てん金」の合計を差し引きするのは間違っています。正確には、家族個々の当該の怪我・病気費用の間だけでの差し引きを行ないます。さっそく、具体的な例で説明します
▽正しい補てん金の引き方/〇 B家族 × A家族
←ここが違う!
■補てん金は飽くまでも同一家族・同一病気(入院)間で差し引く
間違いやすい例として、表を基にAの家庭とBの家庭の「医療費控除額」の相違に注目して下さい。同じ医療費30万円、補てん金28万円とした場合、「補てん金」の差し引き方の相違で、差し引き後のAの家庭の補てん金の合計は28万円、一方、Bの家庭は18万円で済んでいます(この場合、補てんされる金額が少ないほうが得する)。結果、Bの家庭は「医療費控除額(*見込み)」が10万円多くなる(A2万円・B12万円)のです。所得税と住民税とで、15,000円も多く還元されます(所得税5%、住民税10%の場合)。
*見込額/「医療費控除額」は他の要因も影響するので、この時点の見込みとします。
損する原因は、Aの家庭は医療費合計額から「補てん金」28万円を、丸々、差し引いているからです。しかしBの家庭は、医療費と「補てん金」は同一家族・同一病気(入院)の間で差し引くことを知っていました。この場合の相違は、夫の入院費と補てん金の扱いです。夫の医療費は10万円にも関わらず、補てん金は20万円が出ました。前述の通り、夫のC病による入院なら、「補てん金」は夫の入院分の医療費との間のみで差し引きします。この結果、引き切れないことから、医療費10万円に対し「補てん金」も10万円と申告(実際は医療費控除の明細書に記入)すればいいのです。これが、正しい補てん金の引き方です。
[そっとアドバイス] 生保会社などが発行する「補てん金」の証明書は、還付申告の際に添付する必要がないため、実質は20万円戻ってきても「補てん金」10万円と記入して問題ないのです。当該の医療費より「補てん金」が上回る場合は、こうした差し引き方を認識しましょう。
■申告対象が1人の場合・補てん金が医療費より多く引き切れない時はどうする?
病院に罹った家族が複数(上の表)なら、正しい補てん金の引き方をしていれば、家族全体の医療費合計より「補てん金」の合計のほうが上回るケースはないでしょう。
でも申告対象が1人の場合に、「補てん金」ほうが多いと還付申告する際は困りますよね。分かりやすく説明するため、上の表の対象を「夫の入院」だけとします。引き切れず実質的に支払った医療費は「0円」になるため、「医療費控除(還付申告)」の対象になりません。
■要は税務署員に分かるように補てん金の表示をすればよい
説明をした内容は、数か所の税務署に問い合わせしました。その結果、2つの見解を得ました。特段、決められた記入方法はないようです。
①家族が複数の場合は、示した図表Bの家族の方法で問題ない。
②夫の対象分の医療費と「補てん金」が相殺されるので、何も書かなくてよい。
*図表の「Bの家庭・夫のC病」で入院の医療費分10万円と、「補てん金」10万円の両方を記載しない。夫の耳鼻科治療分と他の家族分の合計を申告する。
まさか一部ながらも税務署の署員の方から、②の答(チャラにする)が出ると思っていませんでした(笑)。まあ、実務ではそうなりますが。でも①家族全体分を記載したケースのように、全て申告するのが「還付申告制度」と思うのですが・・・
[結論]書き方が決められていない以上、①の例のように要は税務署員に誤解されないよう、「補てん金」との相殺が分かるように記入すればよいと考えます。
[そっとアドバイス] 最終的には、このような趣旨で「医療費控除の明細書」に記入します。「医療費控除の明細書」の書き方全般は、「Part4/医療費控除の明細書作成(手書き)編」でご案内します。
入院給付金など戻ってきた補てん金を確認しましょう
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