少数派シリーズ/社会問題
消費税のまやかし4◇ポイント還元は高額所得者に恩恵!低収入層には及ばず
■本当の中小店や高齢者・貧困層は救済されない「天下の愚策」
消費税のまやかし4回目は、「高額所得者に恩恵のポイント還元」です。消費税アップによる消費の落ち込みなどを緩和する、あるいはキャッシュレス決済の普及を兼ねて制度が導入されます。中小店救済や低収入層の支援として、カードを使った際にポイントで還元するものです。対象期間は、2019年10月から2020年6月までの9か月間(注/後述)です。そもそも中小の小売店は予算補助があっても、カード決済レジを導入する金銭的余裕はありません。一方、商店街の主たる購入層である地元の高齢者や低収入者(特に貧困層)は、カード所持が低く・購入額も低額なので、ポイント還元の恩恵はわずかです。カードで買おうにも、対象店がまばらです。△△銀座などは、小額・手際の良さが求められるので、レジを打たずに昔ながらの籠入れ式です。逆に高額所得者はカードの所持率が高く、様々な場所で使い決済も高額なので、ポイントが貯まります。制度の目的とは全く逆で、高額所得者ばかりにメリットが集中する「天下の愚策」なのです。
中小店がポイント5%還元、コンビニは2%、大手デパートやスーパーは対象外です。中小店というと〇〇商店街・△△銀座などの個人店を連想しますが、定義が実態とあまりにもかけ離れているのです。中小企業基本法によると、小売業の場合は資本金5000万円以下か、従業員50人以下とされています。大手コンビニは大企業でも、フランチャイズ制のため個々の店は中小店扱いなのです。ヨドバシカメラは7000億円の売り上げも、資本金は3000万円なので中小店です。還元方法にも不統一が見られ、コンビニはその場で2%分が戻されます。大手クレジット会社も、ポイント分を差し引いて請求されます(どちらも事実上の値引き)。複雑過ぎて、買い物時は混乱すると思われます。本当の意味の商店街などの中小店は、却って不利な立場に置かれているのです。軽減税率やポイント還元は、商売人や庶民のことが全く分かっていない、エリート役人が頭の中だけで考えたシステムなのです。
■恩恵を受ける高額所得者の例 高級紳士服「英國屋」 VS 量販店「アオキ」
不明確さはこれだけに留まらず、高級宝飾店・高級ブティック・高級飲食店も、結構、中小店が多いのです。ある新聞の例を見て、愕然としました。皮肉の例をご紹介すると~
▼安倍首相がスーツを仕立てる有名な銀座英國屋は中小企業なので、仮に50万円(もっと高い?)のスーツをオーダーメードし、カード決済すれば25,000円分のポイントが付きます。一方、“庶民の英國屋?”紳士服量販店アオキは、大企業なのでポイントゼロです。安倍首相のポイント還元分だけで、アオキなら良いスーツが買えます。
▼安倍首相と麻生財務大臣が会食した、高級ステーキ店の銀座ひらやまも中小店です。1人3万円のコースを安倍首相がおごれば、二人前3,000円分のポイント。一方、庶民が通うファミレスのサイゼリアは大企業なので、ポイントゼロ(そもそも同社は現金払いが主なので対象外)。
▼かつてオバマ前大統領と安倍首相が行った、高級寿司店の銀座久兵衛も同様です。しかし庶民が行く大手回転寿司店は、ポイントゼロです。
注/いずれも、対象店がポイント還元に参加しキャッシュレス決済した場合です。
■消費税を上げて3兆円も返すのは政権批判を恐れてのこと
10%に上げることによって、5.6兆円の増収が見込まれます。しかし消費の落ち込みを防ぐために、「手厚い景気対策」として3.4兆円もの予算が使われます。ポイント還元分だけでも、2,798億円です。またプレミアム商品券も発行しています。そもそも国民の多数は消費税アップに反対ですが、アップした以上は戻さずに2兆円は社会保障などに有効に使えという声も多いのです。庶民から取り上げておいて、40%分を返すなんてまともな政策ではありません。景気後退を防ぐとされていますが、真相は増税による不満が起こり安倍政権・自民党への批判を恐れてのことです。税金を“ポケットマネー”のように都合よく扱うのは、道理に反します。消費税を上げるより、既号の通り大企業・富裕層優先をやめ、大幅で恒久的な予算配分の組み替えをすれば済むはずです。そうせずに消費税だけを上げていけば、不況は長引き景気後退が起こります。なおポイント還元の元は税金です。投稿者1人が突っ張ったところで仕方ありませんが、あえてポイントを貰おうとする買い方はしないようにと考えます。
注/ポイント還元が終わったら今度はマイナンバーカード促進の「ポイント還元」が
政府はポイント還元期間が終わったら、今度は「マイナンバーカード」推進のために、新たなポイント還元制度を計画しています。カード取得者が国のポイントサイトへ登録し、スーパー・コンビニなどスマホ決済できる仕組みです。例えば2万円をチャージすると、5000円分(25%)のポイントが付与されます。消費税アップに乗じて、公明党の思惑で「軽減税率の導入」(前号参照)、経産省の「キャッシュレス決済の促進」、総務省の「マイナンバーカードの促進」などを入れ込もうとしています。役人の都合によって税制がごちゃごちゃになり、国民に迷惑が及んでいるのです。本来、税制は公平・中立・簡素が原則ですが、全く逆行しています。マイナンバーカードのポイント還元も、同様に原資は「税金」です。こんなことを続けていれば、ますます高額所得者を優遇することになっていくのです。ポイント還元に喜ぶのではなく、歪んだ制度として認識すべきです。
消費税のまやかし特集
次号/消費税のまやかし5◇消費税10%と米中貿易摩擦・五輪工事終了で経済不況へ
消費税のまやかし4◇ポイント還元は高額所得者に恩恵!低収入層には及ばず
■本当の中小店や高齢者・貧困層は救済されない「天下の愚策」
消費税のまやかし4回目は、「高額所得者に恩恵のポイント還元」です。消費税アップによる消費の落ち込みなどを緩和する、あるいはキャッシュレス決済の普及を兼ねて制度が導入されます。中小店救済や低収入層の支援として、カードを使った際にポイントで還元するものです。対象期間は、2019年10月から2020年6月までの9か月間(注/後述)です。そもそも中小の小売店は予算補助があっても、カード決済レジを導入する金銭的余裕はありません。一方、商店街の主たる購入層である地元の高齢者や低収入者(特に貧困層)は、カード所持が低く・購入額も低額なので、ポイント還元の恩恵はわずかです。カードで買おうにも、対象店がまばらです。△△銀座などは、小額・手際の良さが求められるので、レジを打たずに昔ながらの籠入れ式です。逆に高額所得者はカードの所持率が高く、様々な場所で使い決済も高額なので、ポイントが貯まります。制度の目的とは全く逆で、高額所得者ばかりにメリットが集中する「天下の愚策」なのです。
中小店がポイント5%還元、コンビニは2%、大手デパートやスーパーは対象外です。中小店というと〇〇商店街・△△銀座などの個人店を連想しますが、定義が実態とあまりにもかけ離れているのです。中小企業基本法によると、小売業の場合は資本金5000万円以下か、従業員50人以下とされています。大手コンビニは大企業でも、フランチャイズ制のため個々の店は中小店扱いなのです。ヨドバシカメラは7000億円の売り上げも、資本金は3000万円なので中小店です。還元方法にも不統一が見られ、コンビニはその場で2%分が戻されます。大手クレジット会社も、ポイント分を差し引いて請求されます(どちらも事実上の値引き)。複雑過ぎて、買い物時は混乱すると思われます。本当の意味の商店街などの中小店は、却って不利な立場に置かれているのです。軽減税率やポイント還元は、商売人や庶民のことが全く分かっていない、エリート役人が頭の中だけで考えたシステムなのです。
■恩恵を受ける高額所得者の例 高級紳士服「英國屋」 VS 量販店「アオキ」
不明確さはこれだけに留まらず、高級宝飾店・高級ブティック・高級飲食店も、結構、中小店が多いのです。ある新聞の例を見て、愕然としました。皮肉の例をご紹介すると~
▼安倍首相がスーツを仕立てる有名な銀座英國屋は中小企業なので、仮に50万円(もっと高い?)のスーツをオーダーメードし、カード決済すれば25,000円分のポイントが付きます。一方、“庶民の英國屋?”紳士服量販店アオキは、大企業なのでポイントゼロです。安倍首相のポイント還元分だけで、アオキなら良いスーツが買えます。
▼安倍首相と麻生財務大臣が会食した、高級ステーキ店の銀座ひらやまも中小店です。1人3万円のコースを安倍首相がおごれば、二人前3,000円分のポイント。一方、庶民が通うファミレスのサイゼリアは大企業なので、ポイントゼロ(そもそも同社は現金払いが主なので対象外)。
▼かつてオバマ前大統領と安倍首相が行った、高級寿司店の銀座久兵衛も同様です。しかし庶民が行く大手回転寿司店は、ポイントゼロです。
注/いずれも、対象店がポイント還元に参加しキャッシュレス決済した場合です。
■消費税を上げて3兆円も返すのは政権批判を恐れてのこと
10%に上げることによって、5.6兆円の増収が見込まれます。しかし消費の落ち込みを防ぐために、「手厚い景気対策」として3.4兆円もの予算が使われます。ポイント還元分だけでも、2,798億円です。またプレミアム商品券も発行しています。そもそも国民の多数は消費税アップに反対ですが、アップした以上は戻さずに2兆円は社会保障などに有効に使えという声も多いのです。庶民から取り上げておいて、40%分を返すなんてまともな政策ではありません。景気後退を防ぐとされていますが、真相は増税による不満が起こり安倍政権・自民党への批判を恐れてのことです。税金を“ポケットマネー”のように都合よく扱うのは、道理に反します。消費税を上げるより、既号の通り大企業・富裕層優先をやめ、大幅で恒久的な予算配分の組み替えをすれば済むはずです。そうせずに消費税だけを上げていけば、不況は長引き景気後退が起こります。なおポイント還元の元は税金です。投稿者1人が突っ張ったところで仕方ありませんが、あえてポイントを貰おうとする買い方はしないようにと考えます。
注/ポイント還元が終わったら今度はマイナンバーカード促進の「ポイント還元」が
政府はポイント還元期間が終わったら、今度は「マイナンバーカード」推進のために、新たなポイント還元制度を計画しています。カード取得者が国のポイントサイトへ登録し、スーパー・コンビニなどスマホ決済できる仕組みです。例えば2万円をチャージすると、5000円分(25%)のポイントが付与されます。消費税アップに乗じて、公明党の思惑で「軽減税率の導入」(前号参照)、経産省の「キャッシュレス決済の促進」、総務省の「マイナンバーカードの促進」などを入れ込もうとしています。役人の都合によって税制がごちゃごちゃになり、国民に迷惑が及んでいるのです。本来、税制は公平・中立・簡素が原則ですが、全く逆行しています。マイナンバーカードのポイント還元も、同様に原資は「税金」です。こんなことを続けていれば、ますます高額所得者を優遇することになっていくのです。ポイント還元に喜ぶのではなく、歪んだ制度として認識すべきです。
消費税のまやかし特集
次号/消費税のまやかし5◇消費税10%と米中貿易摩擦・五輪工事終了で経済不況へ