少数派シリーズ
特設|桜を見る会(桜疑惑) VOL12
松尾貴史コラム◇桜疑惑追及本当の意味は安倍政権の悪癖・特定人優遇の検証
■桜ばかりやらずに重要法案を審議せよ!の声には“もみ消し”意図がある

安倍首相の答弁によると、「募る」と「募集」は違う意味だと解釈していたと思われます(笑い)。投稿者を始め、日本中の方が辞書で調べ直したかもしれません。それにしても「桜を見る会」(桜疑惑)に対し、安倍首相の“言い逃れ” “うそつき発言”は酷いものです。段々と追い込まれているのでしょう。「国会は『桜』ばかりやらずに重要法案を審議せよ」の声を聞きます。それは全く政治を知らない人間、あるいは安倍支援者やネトウヨが意図的にあらぬ方向(もみ消し)へ持っていこうとする誘導です。桜疑惑・モリカケ問題の本当の追及は、松尾貴史氏が本文で言っているように、安倍政権が都合の良い特定の人だけを優遇しているのか否かの検証です。こういう問題を許せば不正や嘘がまかり通って、人々の倫理や真面目に働き・生きる人達に光が当たらなくなるからです。
毎日新聞の日曜版、「松尾貴史のちょっと違和感」というコラムから抜粋した記事をご紹介します。松尾貴史氏はコラムの中で、痛烈な批判をしています。ぜひお読み下さい。
*タイトル付け、文章の省略化、補足は投稿者によるものです。
↓ ↓ ▽松尾貴史氏のコラム
■安倍首相は本当に「募る」と「募集」は違うものと思っていたかもしれない

安倍晋三氏の事務所が、「桜を見る会」の参加者を広く募集していた問題で、共産党の宮本徹衆院議員から「参加者募集をいつから知っていたのか」と質問され、安倍氏は「幅広く募っているという認識で、募集(注1)しているとの認識ではなかった」と、パラドキシカル(注1)な言い回しで、答えになっていない答弁をした。そう、「答えているという認識で、答弁しているという認識ではなかった」とでも言いたくなる恥ずかしさだ。質問に立っていた宮本議員は「48年日本語を使ってきたが、『募る』と『募集する』は同じですよ」と、小学生に諭すようなことを言っていた。衆院予算委員会では嘲笑を含む大笑いになり、これには与党の議員からも失笑が漏れていた。

国会中継の画角で言えば、安倍氏の後ろに座っている高市早苗総務大臣が、首を傾けながら、驚いたような、あきれたような、「いやいやあかんわ、反応せんようにしよ」といった心の動きが錯綜したような面持ちだった。自民党の中でも、「うちの親分、大丈夫か」という空気なのだろう。もはや裸の王様である。これは、自身の疑惑への言い訳として繰り出された「ごはん論法(注3)」(にもなっていない)的なものだろう。きっとこの人は、「広く募る」と「募集する」は違うものだと、本気で「認識」していたのかもしれない。<省略> 妻の昭恵氏の招待枠についての言い訳は、「各界で活躍する人を幅広く把握する観点から妻に聞くこともあり、その意見を事務所へ伝えたこともある」のだそうだ。「私人」と閣議決定までした人物の推薦を受け付ける公私混同は、去年も続いていた。
注1/
パラドキシカルとは、逆説的であるさま
注2/
募る=広く求め集める。募集する。
募集=つのり、あつめること。(広辞苑第七版)
注3/
ごはん論法(既出)とは、意図的な論点ずらし、はぐらかしなどの不誠実な答え方・国会答弁の手法を言います。例えば「朝ご飯は食べたか」という質問に対し、「ご飯」を故意に狭い意味にとらえ「ご飯は食べていない」と答えます。しかし(お米のご飯は食べていなくても)その実、パンやパスタは食べている様を指します。
■桜疑惑・モリカケ問題は全ての国の運営・政権姿勢に関わっているので追及は当然

前回の参院議員選挙の時に、自民党から1億5000万円が河井案里氏に振り込まれていたことで、「河井夫妻(案里氏と夫の克行前法務大臣)が説明責任を果たしているという認識か」を問われた安倍氏は、<省略> 質問者に叱られて、渋々、出た答えが、「責任を果たしたか否かは国民の判断だ」と逃げた。ならば、国民の判断で、8割の人が納得していない自身の説明責任をどう認識しているのか。果たすことができないのであれば、即刻辞任すべきだろう。

「まだ桜をやっているのか」と、安倍氏の応援団やネットサポーターが判で押したように言っているが、追及する側は「桜」などどうでもいいのだ。公私混同し、ウソをつき、選挙違反をし、公金流用し、一部の自分たちに都合の良い人だけを優遇する政権かどうかを検証しようとしているのであって、それは全ての国の運営に関わってくる大問題なのだ。私たちの血税から、大金持ちや大企業や「上級国民」や地元の有権者や反社会的な人物や腹心の学校経営者やトランプ大統領にばかり恩恵を与えるような政権なのか否かを確かめようとしているのである。

何度でもいうが、政権や内閣府などが、隠している資料・データをつまびらかに提示すれば一瞬で終わる話なのに、なぜか応じず、ウソが小出しにバレていく状況をあえて続ける安倍政権にこそ、「喫緊の課題が山積しているのに、いつまで検証や調査を渋っているのか」と要求すべきなのだ。それは、野党からだけでなく、「本心から真っ当に」自民党を支持する人たちからこそ、そう求めるべきではないか。
桜を見る会特集
次号/13・桜疑惑◇桜を見る会前夜祭でANAホテル新証言、安倍首相虚偽答弁が濃厚
前号/11・松尾貴史コラム◇安倍首相年頭から「改憲」意欲示すも「桜疑惑」への発言なし