食品のカラクリシリーズ 板チョコ(チョコレート)/菓子
板チョコの「溝」は割りやすくするためではない!製造時に熱を逃がす・早く均一に固めるため
コートジボワールやガーナのカカオ農園で働く農民はチョコレートを食べたことがない
■溝があることによってチョコレートと型が接する面積が広がり熱を逃げやすくさせている
板チョコの表面には、必ず縦と横の溝があります。昔、子供ながらに、簡単に「割りやすく」するためと思っていました。しかし溝の通りに割れたことは少なく、斜めにパリッと割れたりして、長年、疑問に思っていました。あることで理由を知り、子供の頃からの疑問が解けました。溝は、割るために作ったのではないということです。溝にした理由は2つあり、まず1つ目はチョコレートを早く冷やし均一に固めるためです。溝を入れることにより、チョコレートと型が接する面積が広がり、熱を逃げやすくさせているので早く固まります。冷え方が均一でないと、口溶けが悪くなってしまうそうです。もう1つが、チョコレートを型から取り外しやすくするためです。チョコレートが冷えると体積が減って縮み、溝があることによって取り出しやすくなるからです。
ところで、チョコレートはどうやってできるのでしょうか。チョコレートの原料は、ご存じの通り赤道近くで栽培されるカカオです。主な生産国は、コートジボワールやガーナなどです。カカオの実の中にある「カカオ豆」を、発酵・乾燥させます。カカオ豆を砕き・磨り潰し、ドロドロの状態にしたカカオマスに、ココアバター(カカオ豆から取り出した脂肪分)や砂糖などを混ぜ合わせます。口溶けがよく、つやのあるチョコレートにするには、温度調整をしてココアバターの結晶を安定させます。そうした後に液体状になったチョコレートを、先程のように型に流し冷やして固めるのです。板チョコによっては、1枚の中に細長い形やギザギザ模様など数種類の違いを施し、濃厚感を与えたり香りを際立たせる工夫がされているそうです。
■貧困国のカカオ農園・バングラデシュの衣料品・回転寿司ネタなど厳しい労働搾取で成り立っている
既号(下記リンク)「日本のチョコレートが美味しくないのは本場ヨーロッパとは全くの別物だから」を掲載した頃、ネットを調べたら「日本のチョコのほうが美味しく外国製は濃厚過ぎる」との正反対の声がネットにありました。リンク本文の通り、『日本のチョコレートはカカオの豆から取れるココアバターの割合が少なく、植物油脂(食用油脂)を加えている製品が多いからです』 『ベルギー・オランダなど伝統的なチョコレート生産国は、植物油脂を加えたものはチョコレートとして認められないとしています』。挙句に日本はチョコの国際基準さえ守らず、カカオ分やココアバターの含有限度の割合を決めて、「チョコレート」と「準チョコレート」の区分まで作り出す始末です。たとえその「チョコレート」区分でも、海外のレベルではチョコレートと呼べない製品ばかりが、日本では堂々と売られているのです。つまり日本の安物チョコを食べ過ぎたせいで、海外の本物チョコの濃厚さに着いて行けない人が多いということです。同じ現象(下記リンク)が、キユーピーのマヨネーズと「キユーピーハーフ」の違いです。要はニセモノ(後者)に慣れ、本物は “味が濃厚なので勘弁して”という困ったことが起きているのです。
話を変えて当シリーズ風に言えば、コートジボワールやガーナのカカオ農園では、栽培・収穫に対して毎日10数時間に及ぶ長い農作業が当たり前になっています。にも関わらず、1日、日本円で数円から数十円程度の賃金であることです。現地の方は、言わばチョコレートのような目が飛び出るほどの高級菓子は食べたことがないのです。何とも皮肉なことです。カカオ豆やコーヒー豆を取り仕切る世界的大手企業が貧困現地を仕切る、典型的な「労働搾取」なんです。カカオ農園に限らず、綿花農園など衣料品メーカーも同じです。ユニクロの柳井会長は資産3兆円以上を持っていても、傘下企業のウイグルやバングラデシュの女工さんを、間接的ではあるが極めて長時間労働・低賃金で扱い、厳しい「労働搾取」で成り立つ悪徳企業の最たるものなのです。バングラデシュの企業は工場施設の修理にゆとりがなく、作業場の床が抜ける大惨事で1000人以上の若い女性の命が一瞬に断たれたのです。回転寿司ネタも、東南アジアの女性が魚の骨を1本1本抜いたり、ネタサイズに切り分ける(その後冷凍され日本に送られる)。日本人にとっては身近なユニクロを始め衣料業界やチョコ・回転寿司でも、安いでは済まされない深刻な問題が潜んでいることを知っておいて下さい。
日本のチョコレートが美味しくないのは本場ヨーロッパとは全くの別物だから
◇ココアバターの割合が少なく植物油脂を多用する日本は世界から笑われる
キューピーハーフはカロリーを半分にした結果、無くなった旨みを添加物で誤魔化す
◇マヨネーズと勘違いさせる増粘剤・たんぱく加水分解物多用のフェイク品