少数派シリーズ/政治情勢
松尾貴史氏コラム◇安倍元首相の日米核共有論はウクライナ侵攻の災難に便乗した愚劣さ
毎日新聞の日曜版、「松尾貴史のちょっと違和感」というコラムからの記事をご紹介します。
松尾貴史氏はコラムの中で、痛烈な批判をしています。ぜひお読み下さい。
*投稿タイトルは、新聞の原題・原文に基づいて投稿者が行ったものです。
↓ ↓ ▽松尾貴史氏のコラム
■火事場泥棒的な卑劣な言説・愚劣なことを言い出す人物が2度も首相をやった恐ろしさ
「体力が万全でないという苦痛の中、大切な政治判断を誤ること、結果を出せないことがあってはなりません」と述べて、2020年9月に首相を再度辞任した安倍晋三氏が、アメリカの核兵器を日本にも配備して共有すべきだと言い出したのを見ると、本当に辞任してくれていて良かったという感慨しかない。こんな論外なことを言い出したのは、ロシアのウクライナ侵攻という災難に便乗したものであり、ある意味では火事場泥棒的な卑劣な言説である。戦争に突き進んで広島、長崎が核兵器によって壊滅的な被害をもたらされ、今なお心を痛め苦しむ人がいる世界で唯一の国で、こんなに愚劣なことを言い出す人物が首相を2度もやったということの恐ろしさに驚愕する。
2月にテレビ出演した時は「相手の軍事的中枢を狙う反撃力が必要」という内容のことをしゃべっていたが、先日の山口県での講演に至っては「基地に限定する必要はない。向こうの中枢を攻撃することも含むべきだ」と言い出した。これが通るならば、仮に敵対する国が現れた場合、その国も「日本の基地以外の攻撃をしていい」ことになってしまう。日本の中枢とは、国会なのか、首相官邸なのか。もちろん、皇居も含まれてしまうかもしれないし、市民を大きく巻き込むことも考えられるだろう。ロシアは「防衛」という詭弁によって、キーウ(キエフ)、つまり中枢を攻撃した。劇場など軍事とは関係もない施設を「子どもたち」と地面に大きく書いてある場所まで攻撃し「武力を隠していた」「ウクライナの自作自演だ」とうそぶいたが、安倍氏の言う「敵の基地に限定しない中枢」は、民間施設も含むと捉えることができる。そうだとしたらロシアのやっていることに、現職の衆院議員として、お墨付きを与えてしまっていることになる。
■民主主義を長年に渡って破壊し国自体を破壊したいのだろうか・日本の国益にかなわない
憲法順守の義務がある国会議員として、これは進退問題どころではなく、永久に国政の場にいてもらっては困る言動だろう。この発言は、よしんば改憲することを訴えている政治家であろうが、国会議員らは憲法を尊重し擁護する義務を負うことを定めた憲法99条に違反していることになる。こんな好き勝手な放言を、批判もせずに伝えるニュースは、いったいどうしてしまったのだろうか。安倍氏の物言いは、日本の国益にかなわない。というよりも、十二分に不利益を招いているとしか思えない。国内の民主主義を、長年にわたってこれでもかと破壊してきたように見える安倍氏だが、国自体を破壊したいのだろうか。やはりウラジーミルと同じ未来を見ていたということなのか。
北方領土について語らず、次から次へと耳を覆いたくなることを発言する。この安倍氏の発言に関して、記者から問われた松野博一官房長官は「政治家の発言の一つ一つについてコメントは差し控える」と逃げた。コメントを控えるとは、否定すると障りがあるからだろうか。政府に少なからず影響力がある元首相の発言でも「うちは関係ないし」でいいのだろうか。「政府にそういう考えはありません」と言うのもはばかられる空気なのか。岸田文雄首相は「憲法の範囲内で」と言ってはいるが、そうであるならば安倍氏の発言は問題外の妄言ではないか。
安倍氏は、自分の疑惑が追及された時には「無いものを証明するのは悪魔の証明」と言い張っていたが、それは「大量破壊兵器が無いことを証明しなかった」と米国によるイラク攻撃を肯定するに至ったことと同質ではないか。また、安倍氏は27回もプーチン氏に会ったことを疑問視されると「何度も会談するのは当然で、非難の意図が分からない」と言った。つまり、それだけ誰よりも回数多く会ってもらって、3000億円の経済協力と、嘉納治五郎の書を貢いだのに、結果的に何の成果もあげられず現状に至ったという、自らの成果の無さを認めていて、かえって痛烈である。
■投稿者の文章/国民の一人一人が謙虚な気持ちでリベラルな政治に変えていく行動に進むべきだ
冒頭、何度も書くが安倍氏が辞任したのは体調不良が原因ではない。直前まで、高級ステーキ店や料亭などで飲食を続けていた。要は政策失敗によって行き詰まり、2度も政権を投げ出したのだ。それを皆様にご認識頂くことを前提に、文を続ける。引退後も何ら反省もなく、"仮病"を使う必要がなくなるとみるや、「改憲」にまっしぐらだ。質(たち)が悪いのは、大量虐殺・破壊・略奪・強姦が行われているウクライナ侵攻を千載一遇(せんざいいちぐう)の如く、「日米核共有論」持ち出し他国への先制攻撃を声高に言う。
2014年のクリミア戦争時、安倍首相は何らプーチンを批判せず、よりによって戦争直前のソチ(ロシア)冬季五輪には真っ先に会いに行った。千島列島(北方領土)も、歯舞・色丹2島返還で終わらせる考えでいた。投稿者は後付けで言う訳ではなく、当時「安倍はプーチンに騙されている」と思ったが、やはりその通りだった。首相辞任後もこんな人間に牛耳られている自民党、そんな低能な自民党を選ぶ国民の程度が問題である。財政・少子化・社会保障・人権・民主主義など将来へ向けての重大な問題を解決せずに、日本がこのまま進めば大袈裟ではなく崩壊が待っている。生活が苦しくそれどころではないと思う方が多いが、その原因も政府自民党の政策失敗から来ている。ロシアも日本国民も高齢者は、自国を一流国家と思っているが、まずその認識を捨てなければならない。一人一人が謙虚な気持ちで、リベラルな政治に変えていく行動に進むべきだ。
松尾貴史氏コラム◇安倍元首相の日米核共有論はウクライナ侵攻の災難に便乗した愚劣さ
毎日新聞の日曜版、「松尾貴史のちょっと違和感」というコラムからの記事をご紹介します。
松尾貴史氏はコラムの中で、痛烈な批判をしています。ぜひお読み下さい。
*投稿タイトルは、新聞の原題・原文に基づいて投稿者が行ったものです。
↓ ↓ ▽松尾貴史氏のコラム
■火事場泥棒的な卑劣な言説・愚劣なことを言い出す人物が2度も首相をやった恐ろしさ
「体力が万全でないという苦痛の中、大切な政治判断を誤ること、結果を出せないことがあってはなりません」と述べて、2020年9月に首相を再度辞任した安倍晋三氏が、アメリカの核兵器を日本にも配備して共有すべきだと言い出したのを見ると、本当に辞任してくれていて良かったという感慨しかない。こんな論外なことを言い出したのは、ロシアのウクライナ侵攻という災難に便乗したものであり、ある意味では火事場泥棒的な卑劣な言説である。戦争に突き進んで広島、長崎が核兵器によって壊滅的な被害をもたらされ、今なお心を痛め苦しむ人がいる世界で唯一の国で、こんなに愚劣なことを言い出す人物が首相を2度もやったということの恐ろしさに驚愕する。
2月にテレビ出演した時は「相手の軍事的中枢を狙う反撃力が必要」という内容のことをしゃべっていたが、先日の山口県での講演に至っては「基地に限定する必要はない。向こうの中枢を攻撃することも含むべきだ」と言い出した。これが通るならば、仮に敵対する国が現れた場合、その国も「日本の基地以外の攻撃をしていい」ことになってしまう。日本の中枢とは、国会なのか、首相官邸なのか。もちろん、皇居も含まれてしまうかもしれないし、市民を大きく巻き込むことも考えられるだろう。ロシアは「防衛」という詭弁によって、キーウ(キエフ)、つまり中枢を攻撃した。劇場など軍事とは関係もない施設を「子どもたち」と地面に大きく書いてある場所まで攻撃し「武力を隠していた」「ウクライナの自作自演だ」とうそぶいたが、安倍氏の言う「敵の基地に限定しない中枢」は、民間施設も含むと捉えることができる。そうだとしたらロシアのやっていることに、現職の衆院議員として、お墨付きを与えてしまっていることになる。
■民主主義を長年に渡って破壊し国自体を破壊したいのだろうか・日本の国益にかなわない
憲法順守の義務がある国会議員として、これは進退問題どころではなく、永久に国政の場にいてもらっては困る言動だろう。この発言は、よしんば改憲することを訴えている政治家であろうが、国会議員らは憲法を尊重し擁護する義務を負うことを定めた憲法99条に違反していることになる。こんな好き勝手な放言を、批判もせずに伝えるニュースは、いったいどうしてしまったのだろうか。安倍氏の物言いは、日本の国益にかなわない。というよりも、十二分に不利益を招いているとしか思えない。国内の民主主義を、長年にわたってこれでもかと破壊してきたように見える安倍氏だが、国自体を破壊したいのだろうか。やはりウラジーミルと同じ未来を見ていたということなのか。
北方領土について語らず、次から次へと耳を覆いたくなることを発言する。この安倍氏の発言に関して、記者から問われた松野博一官房長官は「政治家の発言の一つ一つについてコメントは差し控える」と逃げた。コメントを控えるとは、否定すると障りがあるからだろうか。政府に少なからず影響力がある元首相の発言でも「うちは関係ないし」でいいのだろうか。「政府にそういう考えはありません」と言うのもはばかられる空気なのか。岸田文雄首相は「憲法の範囲内で」と言ってはいるが、そうであるならば安倍氏の発言は問題外の妄言ではないか。
安倍氏は、自分の疑惑が追及された時には「無いものを証明するのは悪魔の証明」と言い張っていたが、それは「大量破壊兵器が無いことを証明しなかった」と米国によるイラク攻撃を肯定するに至ったことと同質ではないか。また、安倍氏は27回もプーチン氏に会ったことを疑問視されると「何度も会談するのは当然で、非難の意図が分からない」と言った。つまり、それだけ誰よりも回数多く会ってもらって、3000億円の経済協力と、嘉納治五郎の書を貢いだのに、結果的に何の成果もあげられず現状に至ったという、自らの成果の無さを認めていて、かえって痛烈である。
■投稿者の文章/国民の一人一人が謙虚な気持ちでリベラルな政治に変えていく行動に進むべきだ
冒頭、何度も書くが安倍氏が辞任したのは体調不良が原因ではない。直前まで、高級ステーキ店や料亭などで飲食を続けていた。要は政策失敗によって行き詰まり、2度も政権を投げ出したのだ。それを皆様にご認識頂くことを前提に、文を続ける。引退後も何ら反省もなく、"仮病"を使う必要がなくなるとみるや、「改憲」にまっしぐらだ。質(たち)が悪いのは、大量虐殺・破壊・略奪・強姦が行われているウクライナ侵攻を千載一遇(せんざいいちぐう)の如く、「日米核共有論」持ち出し他国への先制攻撃を声高に言う。
2014年のクリミア戦争時、安倍首相は何らプーチンを批判せず、よりによって戦争直前のソチ(ロシア)冬季五輪には真っ先に会いに行った。千島列島(北方領土)も、歯舞・色丹2島返還で終わらせる考えでいた。投稿者は後付けで言う訳ではなく、当時「安倍はプーチンに騙されている」と思ったが、やはりその通りだった。首相辞任後もこんな人間に牛耳られている自民党、そんな低能な自民党を選ぶ国民の程度が問題である。財政・少子化・社会保障・人権・民主主義など将来へ向けての重大な問題を解決せずに、日本がこのまま進めば大袈裟ではなく崩壊が待っている。生活が苦しくそれどころではないと思う方が多いが、その原因も政府自民党の政策失敗から来ている。ロシアも日本国民も高齢者は、自国を一流国家と思っているが、まずその認識を捨てなければならない。一人一人が謙虚な気持ちで、リベラルな政治に変えていく行動に進むべきだ。