食品のカラクリと暮らしの裏側

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食料自給率は2ポイント下げて史上2番目の低さ37.58%・依然低迷続く/食品のカラクリ・食べ物視点

2017年10月24日 | 食べ物視点
Ntpkarakuri

食品のカラクリシリーズ 食料自給率/食べ物視点
食料自給率は2ポイント下げて史上2番目の低さ37.58%・依然低迷続く
自給率の長期低迷は国が食料を国民に保障する責務を放棄している

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■基礎食料の穀物自給率が3割を切るのは人口1億人以上の国では日本だけ
長期に低迷している、日本の「食料自給率」がさらに下がりました。農林水産省が発表した2016年度の食料自給率(カロリーベース)は、15年度から1ポイント下落し38%となりました。小数点以下までの実質数字では37.58%で、前年から2ポイント近く下落したのが実態です。農水省は、下落の理由に北海道の台風被害などをあげます。農業が、天候に左右されることは避けられません。しかし日本の食料自給率は、1965年度には73%ありました。その後、下がり続け2010年度からは39%と低迷してきました。16年度の38%は、1993年度の冷夏による米の凶作で、タイ米を緊急輸入した37%に次ぐ史上2番目の低さです。93年度は異常事態でしたが、その数値が今や長期化・常態化しているのです。 2018.8追記/2017年度は、37.78%

食料自給率は、国内の食料消費が国内の農業生産でどの程度まかなえているかを示す指標です。6割以上が外国頼みというのは、食の安定供給の土台を揺るがす大問題です。日本の農業を弱体化させた、国の責任は重大です。2015年に決めた「45%」の目標には、遠く及びません。問題なのは長期に低迷していることから、日本の食料生産の基盤の弱さは深刻です。各国の食料自給率は、米国130%、ドイツ95%、英国63%など、日本は先進国中でダントツの最低水準です。基礎食料である穀物の日本の自給率を見ると、28%に過ぎません。人口1億人以上の国で、3割を切る国は日本だけです。国が食料を国民に保障する責務を放棄している姿が、浮き彫りになっています。

■食料自給率を上げることは自国のみならず国際社会への責任
人口増、途上国・新興国の経済発展に伴う食料需要の増加、温暖化による異常気象など、世界で食料がひっ迫・不足する危険は現実のものとなっています。日本が自国の農業生産をなおざりにする一方で、外国から大量の食料を買い付けることは、世界へ「飢餓を輸出」することに等しいものです。日本は金の力で、世界の食べ物を奪っていると同じです。日本が食料自給率を上げることは、自国のことだけでなく、国際社会への責任でもあります。日本の農業は、困難な状況に置かれています。農業に中心的に従事する人は約150万人で、前年より約8万人も減りました。農地も、1961年のピーク時から7割に減少しました。

欧米の農業が手厚い価格保障や所得補償などで競争力を保ったのに対し、日本では農産物の輸入自由化政策で、安い外国産との過酷な競争にさらされ続けています。メディアや消費者は、二言目には安い食品が入ることを歓迎します。果たして、それでいいのでしょうか。政府はTPP(環太平洋連携協定)や日欧EPA(経済連携協定)を推進し、農産物のいっそうの輸入拡大をすすめ、国内農業には「外国産と競争できる農業」として画一的な大規模化やコスト削減を迫っています。実態は、農家の願いに逆らい、大多数の農業経営を切り捨て、農村の崩壊を招くやり方では、農家が疲弊し食料自給率がさらに下落することが避けられません。米国はTPPから離脱しましたが、推進していたら日本はとんでもない状況に追い込まれていたと考えます。

■世界的な天候不順・戦争が起これば日本へは輸出されなくなる
食料自給率は、いくつかのマジックがあります。食料自給率はカロリーベースの他に、生産額ベースでも計算され後者だと68%です。カロリーベース計算では、カロリーが低い野菜は実態より数字が少なく捉えられます。例えば鶏肉の大半は国産でも、餌がほぼ外国産なので国内自給率に含まれません。企業・家庭からの900万トンにも及ぶ、食料廃棄分は数字から差し引かれます。この計算方法に賛否が分かれますが、問題は国の考え方が世界からバランスよく輸入すれば支障ないとの楽観的な態度です。気候温暖化などの影響で世界的な天候不順、あるいは大規模な戦争・国際紛争が起これば、生産諸外国は食料(食肉・穀物など)を自国民優先、日本へは輸出されなくなる恐れが大です。当然の成り行きで、日本政府の能天気ぶりに呆れます。

「食料はできる限り国内で作るほうがよい」が世論調査で9割を占めるなど、国民は農業の振興を願っています。農業が衰退すれば、美しい日本の自然も消滅します。若者を中心に、工業優先から“田園回帰”の流れも始まっています。価格保障や所得補償の充実など安心して農業に励める条件を整備し、規模で選別するのでなく大小多様な家族経営が共存できる担い手育成政策が必要です。食料主権を保障する貿易ルールの確立も欠かせません。日本農政の根本的な転換が、いよいよ急がれます。消費者が安さだけを求めれば、食品自給率はますます下がっていくことを知っておきましょう。

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