魚を大事にしない日本人シリーズ R5-9
ROUND5 魚を食べる時に思った疑問
魚によってなぜ刺身の切り方が違うのでしょうか?
赤身魚は包丁を立てて厚く切る平造り、白身魚は薄造り
鮪(まぐろ)の刺身と河豚(ふぐ)・鮃(ひらめ)の薄造りでは、刺身の切り方が違います。鮪のような身肉に対して包丁を立てて切る「平造り」、後者は包丁をねかせて削ぎ切る「薄造り」です。食感や食べやすさなど魚それぞれの味を最高に引き出すために、切り方を変えます。
鮪や鰹(かつお)は、ある程度厚みを持たせて歯ごたえやねっとりした食感を保ちます。一方、河豚・鮃などの身が硬い魚は、薄く切らないと旨味やプリプリとした弾力が味わえません。噛んだ時の硬さ・軟らかさの相違は、脂肪含量と筋肉組織の緻密性、コラーゲン含量の違いです。
赤身魚は、白身魚より筋肉中の脂肪が多く軟らかく感じます。白身魚の食感が硬いのは、コラーゲンの量が多いからです。但し白身魚でも鯛(たい)はコラーゲンが少ないため、薄造りではなく美しい皮を残したまま切る「八重造り」にされます。舟盛りや豪華な造りは、眼でも楽しめる“芸術品”です。その素晴らしさは、長く伝承されてきた素材を活かす包丁捌き・切り方の技です。