食品のカラクリと暮らしの裏側

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横浜中華街から老舗や異国情緒が消え安い食べ放題の店ばかりになりつつある/食品のカラクリ食べ物視点

2015年03月10日 | 食べ物視点
Ntpkarakuri

食品のカラクリシリーズ 横浜中華街/食べ物視点
横浜中華街から老舗や異国情緒が消え安い食べ放題の店ばかりになりつつある
本格的な中華料理や横浜中華街らしさを出さなければいずれ廃れる

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■テーマパーク化・アミューズメント空間に成り下がってしまった
投稿者の妻の実家が横浜なので、数十年前からご両親に連れられ、横浜中華街の“隠れ家”的な店で美味しい食事をしたものです。最近、相当久しぶりに我が家の家族で中華街に行き、街の変貌ぶりにガッカリしてしまいました。客を誘う派手な看板が目立ち、安い食べ放題と物売りばかりの街になってしまったからです。年間2,000万人が訪れ伝統ある横浜中華街が、これでいいのかと考えさせられました。

中華街は、一見、日本とは思えない“異国情緒”と腕を振う中国人のコックが売りだったはず。しかし昨今は、観光地、テーマパーク化や安易なアミューズメント空間に成り下がった感じがします。私達のような過去の横浜中華街を知っている人間ほど、その落胆は大きいのです。今や中華街を代表する聘珍樓・萬珍樓・重慶飯店など、「まともな料理を出す」老舗は10軒にも満たないと聞きます。

因みに横浜中華街は、500m四方に500以上の店舗がひしめき、中華料理店はその半分近くを占めます。現在の原型は、戦後、在住の中国人が料理店を始めたことによるものです。但し異国情緒と本場の味にスポットが当てられたのは、半世紀前の1960年代後半ぐらいからでした。生活に余裕が出てきたのとグルメ志向が相俟って、食の街としての人気を高めるようになってきました。

そんな中華街が激変した理由は、まず中国人の世代交代が進み若手が店を継がなくなった。また日本の経営者や中国の投資家によるベンチャー企業などの新規参入組が相次ぎ、安さを主体にした経営に変えた。さらには東横線の渋谷から元町・中華街駅まで直通35分が実現、西武・東武線ともつながった。通(つう)な横浜近辺の客より、多数の首都圏の“ど素人客”や若者にターゲットを変えたなどです。

■老舗が消え食べ放題の店が増えれば横浜中華街の意味はない
こうして老舗の衰退とともに、俄然、勢力を増したのが「食べ放題」を掲げる新しい店です。露骨なまでの顧客獲得競争、道に迫り出す派手なメニュー看板は風情を損ない、しつこい客引きに客も逃げていきます。安価なメニュー金額なことから味が悪く、関係者の話では冷凍品の解凍物を出していると言います。これでは日本中のチェーン店のレストラン、飲食店と変わりありません。

昔は中華街を歩く(食べに来る)人は、中高年の方が多いかったですね。でも過日の中華街は、若者ばかりでした。中華料理を食べに来たのではなく、さながら観光客のようです。彼等の懐具合から老舗や一定の店に入る余裕はないので、どこにでもある安価なメニューの店ばかりが並びます。食材が悪い上に、若者の嗜好に合わせるため味が濃いそうです。これではわざわざ中華街に行ってまで、食べる価値はありません。

一大観光地になった故か、寿司チェーンや水族館、占いなど従来なかった店舗が増えてきました。テーマパーク化が進めば、やがて中華街は個性を失います。銀座も高級感が薄れ、横浜中華街も「本格派中華」が食べられない状況が進みつつあります。横浜中華街に限らず、本格店なら本格店だけ、安売りなら安売店だけといったメリハリを付けた街作りをしないと、どちらも共倒れになることでしょう。

とはいえスタイルを変えるのは客次第ですが、中々、難しいですね。経営者は安価や若者に媚びることなく、本格的な中華料理や横浜中華街らしさを出さなければ、いずれは飽きられ廃れる恐れがあります。なお誤解なきように、2つ申し添えておきます。老舗ではなくこじんまりした店でも、本格的な料理を出す店は多く存在します。もう1つ、現在は「中国料理」と言うべきところ、昔懐かしい横浜中華街への思いから、敢えて「中華料理」と表現しました。

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