食品のカラクリと暮らしの裏側

食品の安全・安心が総崩れ、また政治・社会の矛盾や理不尽さも増大
暮らしの裏側の酷さやまやかし、危険性・不健全さに迫る!

そうざい半製品で集団食中毒事故、加熱が不足するとO-157などの恐れ/食品のカラクリ・加工食品11

2016年11月15日 | 麺穀類・加工食品
Ntpkarakuri

食品のカラクリシリーズ そうざい半製品/調理品・加工食品
そうざい半製品で集団食中毒事故、加熱が不足するとO-157などの恐れ
O-157を意識するため逆さ読み!75℃・1分加熱-菌は0(ゼロ)

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事故とは関係ない飲食店のメンチカツ定食

■そうざい半製品の位置付けを認識してしっかり加熱しましょう
神奈川県を中心に冷凍メンチカツなど「そうざい半製品」を食べて、激しい腹痛や下痢など病原性大腸菌O-157の集団食中毒が発生しました。そうざい半製品とは、メンチカツ・コロッケ・餃子など家庭で油で揚げる調理をしてから食する製品です。O-157の食中毒が発生した原因は、例えば「170~175℃の油で6分間揚げてください」の表示にも関わらず、それ以下の温度や短い加熱時間で調理したため、加熱が十分でなかったためです。もちろん全て加熱が足りないと食中毒になる訳ではなく、O-157の菌を付着したまま販売した管理怠慢の杜撰な業者は論外であり、全てメーカーに責任があります。

問題はそうざい半製品には国の衛生基準がなく、業者任せになっていることが50人以上も被害者を拡大させてしまいました。例えば冷凍食品は食品衛生法で、-18℃以下・大腸菌が存在しない状態で販売するなどの基準があります。そうざい半製品は-5℃以下で販売されていますが、専門家は「生肉」と同じ状態と指摘します。生肉なら、経験上、早く食べる・しっかり火を通すなど消費者は注意を払います。つまり製造側の管理が甘く、また調理する側もそうざい半製品の扱いを正しく理解していなかったことが言われます。しかし消費者側を責めるのは酷です。スーパーでは、冷凍食品とそうざい半製品が隣り合わせに並んでいることが多いようです。またパッケージも極似しており、扱いを混同する恐れがあるので注意が必要です。

■挽き肉や成形肉は中まで火を入れないとO-157の菌は死滅しない
製品によっては、パッケージ裏側の調理方法の説明文字が小さく、案内が丁寧でないようです。また説明を見たとしても、一般の揚げ物感覚で“きつね色”になると、どうしてもOKの判断をしてしまいます。これが落とし穴で、実験では例えば8分加熱が必要な場合、“きつね色”になった5分程度では、中心部は55℃にしかなっていません。O-157を死滅させるには、75℃以上+1分以上の加熱が必要です。食中毒になった人は、「中の肉が赤かったが、レアの感覚で食べた」「生っぽかった」「フライパンで両表面を焼いた」と話しています。このように、製品説明通りの温度と調理時間を掛けないと、中まで火が入らないのです。むしろ、そうざい半製品は揚げ過ぎる程度が安全に食べられるということです。

ステーキは、表面しか菌が付かないため肉の外側だけしっかり焼けばレアでも大丈夫です。問題はそうざい半製品とは、メンチカツ・コロッケ・餃子など共通点は「挽き肉」を使っていることです。そうざい半製品の外側は熱が入っても、挽き肉が生状態だとO-157や食中毒を起こす菌が付着していれば一溜まりもありません。「成形肉」を使った有名ステーキチェーンや焼肉店でも、食中毒が起きました。成形肉(リンクページを参照)とは、ステーキのように見えても1枚の肉ではありません。廃牛や端肉など小さな断片を、結着剤でくっ付けて1枚の肉のように見せ掛けたものです。結着の際に菌が付着する場合が多く、成形肉は肉の中までしっかり火を通さないと危険なのです。これも業者が怠慢ですが、食べるほうも成形肉の存在を知らないと酷い目に遭います。

■そうざい半製品の基準策定や表示は今後国が策定予定
1996(H8)年、大阪・堺市などの学校給食でO-157の集団食中毒が発生、死者8人・被害者1万人以上出した事件をご存じでしょう! それほど、O-157は恐ろしいのです。当時、食中毒に罹った小学1年生の女児が、その後19年間もの闘病生活を続けましたが、哀しいことに2015年・25歳で亡くなりました。さぞかし、苦しかったでしょう。当シリーズではいつも同じことを書くのですが、厚労省の行政は業者側に立って行うため、法律自体や指導監督が実に甘いのです。また業者も利益第一ばかりで、食する消費者には眼もくれません。運が悪いと、どこで命を落とすか分からないのです(事実上の殺人)。私達消費者も仕事の厳しさ故に、大事な食生活を蔑ろにしています。それぞれ、もう1度考えて欲しいと思います。

今後は、国としてそうざい半製品の名称使用を禁じることの検討や、基準策定・表示について着手するそうです。今回の被害者には失礼ですが、教訓として皆様がスーパーなどに行った時は、冷凍食品との違い・区分けを認識し、調理する際はしっかり表示された調理方法を守りましょう。たまたま関連のTV番組を見ていたら、そうざい半製品に限らず挽き肉を使う際は、O-157の恐ろしさを知るために「O-157」を逆さ読みすることだと言っていました。『751-O』~「75℃」「1分」加熱すれば、菌は「0(ゼロ)」。家庭では食材の中に、温度計を差し込む訳にはいきません。しかしO-157を死滅させ、安全な家庭料理を保つ意味で覚えておきましょう。

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注射器のような100本の針を射ち込んで作る成形肉の霜降り肉
豚の生レバーもE型肝炎ウイルスや食中毒菌の恐れから食べることを禁止

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