少数派シリーズ/環境・海洋プラ
神宮外苑③再開発・3m以下の木を含み3千本超の樹木を伐採し超高層ビル整備
■ユネスコ諮問機関・日本イコモスは「生態系の調査や樹木の保全など虚偽がある」と厳しく指摘
投稿はしんぶん赤旗を活用しております/樹齢100年の美しいイチョウ並木やケヤキ、ヒマラヤスギなどの木々が茂る「都心のオアシス」が再開発の波にのみ込まれようとしています。東京都新宿区と港区にまたがる神宮外苑です。神宮外苑は、全国各地からのお金や樹木の寄付などによってつくられた文化遺産であり、都民がスポーツに親しめる拠点でもありました。ここに神宮球場と秩父宮ラグビー場を入れ替え、190メートル級のビル2棟を含む4棟のビル・ホテルを建設する大開発が進行中です。公共的な役割を投げ捨て、自然や景観を破壊する開発に反対の声がわきあがっています。開発計画にはさまざまな問題点が浮上しています。なにより貴重な木々が失われます。当初伐採等の危機にある樹木は約1000本といわれていました。事業者が先ごろ新宿区に出した許可申請では、3メートル以下の低木も含めるとその数は約3000本にも及ぶことがわかりました。今回の許可申請は一部エリアにとどまります。全体ではさらに増える見込みです。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、日本イコモス国内委員会は「事業者の環境影響評価書には、生態系の調査や樹木の保全など虚偽がある」と厳しく指摘し、都の審議会に再審査を要請しています。しかし、三井不動産や明治神宮などの事業者は指摘にまともに答えないまま、都は2月17日に施行を認可しました。
この地は貴重な自然環境を守る地域の風致地区に指定され、建物の高さ制限などがありました。しかし、都は規制を緩め、容積率を積み増しできる制度を適用し、高層ビルを建てられるようにしました。ゼネコン奉仕ともいえる都の責任は極めて重大です。背景に、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗元会長の関与があることも日本共産党都議団の調査・論戦で明らかになりました。計画は当初から住民に周知されず、事業者の情報開示も説明も不十分で、ビル風の影響や都民のスポーツする場が奪われるなど多くの問題が積み残されています。2月末には、「東京の宝石が壊される」とする周辺住民60人が、都の施行認可手続きは違法とする訴訟を東京地裁に起こしています。建て替えられる球場やラグビー場にも批判の声が上がります。スポーツジャーナリストのロバート・ホワイティングさんは、「『野球の聖地』―伝統ある、緑の神宮球場を守ろう」と提唱し、ラグビー元日本代表の平尾剛さんは競技よりもうけ優先の実態を示して「『ラグビーの聖地』の移転・改悪を止めよう」と呼びかけました。2人はそれぞれオンライン署名を実施しています。現在、「神宮外苑1000本の樹木を切らないで」の署名と合わせ、賛同者は18万人を超えました。施行認可以降も反対の声が高まっています。自然を破壊し、住民合意のない乱暴な再開発はすぐにストップすべきです。
■名物イチョウ並木も水系が絶たれ枯れる恐れ・球場の大声援・鳴り物など近隣への騒音も重大だ
「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」共同代表・大橋智子氏の内容(抜粋)を活用しております/新球場はいまの神宮球場と観戦の環境が一変する。現在、野球場の西側に高く見える日本青年館は72メートルだ。その倍以上の超高層ビルで回りを囲まれる新球場からは、現在のように開けた空はのぞめない。しかも、超高層ビルからは強いビル風が吹き下ろす。のんびりビール片手に観戦できるだろうか。選手のプレーにも影響する。近隣への騒音も重大だ。新球場に近いイチョウ並木の東には都営アパートがあり、住民が暮らす。事業者による環境アセスの調査では、最も近接するアパート住戸の受ける騒音は、アセス基準最大値の55デシベルを大きく超え62デシベルにもなる。ファンは「静かな観戦」を求められよう。だが応援には鳴り物がつきものだし、大声援も送りたい。立地条件はそんな楽しみも奪う。「耐震のため建て替えが必要」との議論も的外れだ。神宮球場は7年前に耐震改修を終えている。名物・イチョウ並木に近接して建築される立地に無理がある。配置図を見ると、ライト側の外野席が不自然に削られている。野球場の外壁から、イチョウ並木の幹まで約6メートルしか離れていない。イチョウの根は広く張っている。工事で深さ40メートルの杭(くい)が打ち込まれるため根は損傷を受け、水系も絶たれるおそれがある。神宮球場より2年前にできた甲子園球場はシーズンオフだけの工事で4年かけて改修を終えた。オフに工事を行えば、現在の位置で改修は十分可能だろう。神宮球場とラグビー場を現地改修すれば大量の樹木伐採も回避できる。今ならまだ間に合う。
投稿者からのひと言/既号で、音楽家の故・坂本龍一氏が死の直前に小池都知事に「計画の見直し」の手紙を送ったが、小池氏が記者会見で”けんもほろろ”だったことをお伝えした。坂本氏に続き、作家の村上春樹氏も再開発について「個人的に強く反対しています」「緑溢れる外苑地区と神宮球場をこのまま残して欲しい」「一度壊したものは、もう元には戻りません」と表明した。投稿者も、ホントにそう思う。東京の貴重な緑を、なぜ超高層のホテルを建てるために伐採するのか気持ちが分からず。それこそ木が育つには数十年、半世紀以上掛かる。後号で説明するが、明治神宮や神宮外苑は100年後の今日を考慮し、全国から様々な樹木を集めて構成されている。だから植え替えるだけでは済まされない。超高層ビルはどこでも建てられるが、あえて神宮のこの場所に建てるのは、東京都の思惑と業者の利権があるからだ。単なる業者の儲けのために、貴重な緑を壊してはならない。利権についても後号で触れる。
次号/神宮外苑④再開発ストップは「小池都知事の英断しかない」知事の力で流れを変えて
前号/神宮外苑②松尾貴史氏コラム◇小池都知事は環境保護に本気じゃなかった!再開発は強気!
神宮外苑③再開発・3m以下の木を含み3千本超の樹木を伐採し超高層ビル整備
■ユネスコ諮問機関・日本イコモスは「生態系の調査や樹木の保全など虚偽がある」と厳しく指摘
投稿はしんぶん赤旗を活用しております/樹齢100年の美しいイチョウ並木やケヤキ、ヒマラヤスギなどの木々が茂る「都心のオアシス」が再開発の波にのみ込まれようとしています。東京都新宿区と港区にまたがる神宮外苑です。神宮外苑は、全国各地からのお金や樹木の寄付などによってつくられた文化遺産であり、都民がスポーツに親しめる拠点でもありました。ここに神宮球場と秩父宮ラグビー場を入れ替え、190メートル級のビル2棟を含む4棟のビル・ホテルを建設する大開発が進行中です。公共的な役割を投げ捨て、自然や景観を破壊する開発に反対の声がわきあがっています。開発計画にはさまざまな問題点が浮上しています。なにより貴重な木々が失われます。当初伐採等の危機にある樹木は約1000本といわれていました。事業者が先ごろ新宿区に出した許可申請では、3メートル以下の低木も含めるとその数は約3000本にも及ぶことがわかりました。今回の許可申請は一部エリアにとどまります。全体ではさらに増える見込みです。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、日本イコモス国内委員会は「事業者の環境影響評価書には、生態系の調査や樹木の保全など虚偽がある」と厳しく指摘し、都の審議会に再審査を要請しています。しかし、三井不動産や明治神宮などの事業者は指摘にまともに答えないまま、都は2月17日に施行を認可しました。
この地は貴重な自然環境を守る地域の風致地区に指定され、建物の高さ制限などがありました。しかし、都は規制を緩め、容積率を積み増しできる制度を適用し、高層ビルを建てられるようにしました。ゼネコン奉仕ともいえる都の責任は極めて重大です。背景に、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗元会長の関与があることも日本共産党都議団の調査・論戦で明らかになりました。計画は当初から住民に周知されず、事業者の情報開示も説明も不十分で、ビル風の影響や都民のスポーツする場が奪われるなど多くの問題が積み残されています。2月末には、「東京の宝石が壊される」とする周辺住民60人が、都の施行認可手続きは違法とする訴訟を東京地裁に起こしています。建て替えられる球場やラグビー場にも批判の声が上がります。スポーツジャーナリストのロバート・ホワイティングさんは、「『野球の聖地』―伝統ある、緑の神宮球場を守ろう」と提唱し、ラグビー元日本代表の平尾剛さんは競技よりもうけ優先の実態を示して「『ラグビーの聖地』の移転・改悪を止めよう」と呼びかけました。2人はそれぞれオンライン署名を実施しています。現在、「神宮外苑1000本の樹木を切らないで」の署名と合わせ、賛同者は18万人を超えました。施行認可以降も反対の声が高まっています。自然を破壊し、住民合意のない乱暴な再開発はすぐにストップすべきです。
■名物イチョウ並木も水系が絶たれ枯れる恐れ・球場の大声援・鳴り物など近隣への騒音も重大だ
「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」共同代表・大橋智子氏の内容(抜粋)を活用しております/新球場はいまの神宮球場と観戦の環境が一変する。現在、野球場の西側に高く見える日本青年館は72メートルだ。その倍以上の超高層ビルで回りを囲まれる新球場からは、現在のように開けた空はのぞめない。しかも、超高層ビルからは強いビル風が吹き下ろす。のんびりビール片手に観戦できるだろうか。選手のプレーにも影響する。近隣への騒音も重大だ。新球場に近いイチョウ並木の東には都営アパートがあり、住民が暮らす。事業者による環境アセスの調査では、最も近接するアパート住戸の受ける騒音は、アセス基準最大値の55デシベルを大きく超え62デシベルにもなる。ファンは「静かな観戦」を求められよう。だが応援には鳴り物がつきものだし、大声援も送りたい。立地条件はそんな楽しみも奪う。「耐震のため建て替えが必要」との議論も的外れだ。神宮球場は7年前に耐震改修を終えている。名物・イチョウ並木に近接して建築される立地に無理がある。配置図を見ると、ライト側の外野席が不自然に削られている。野球場の外壁から、イチョウ並木の幹まで約6メートルしか離れていない。イチョウの根は広く張っている。工事で深さ40メートルの杭(くい)が打ち込まれるため根は損傷を受け、水系も絶たれるおそれがある。神宮球場より2年前にできた甲子園球場はシーズンオフだけの工事で4年かけて改修を終えた。オフに工事を行えば、現在の位置で改修は十分可能だろう。神宮球場とラグビー場を現地改修すれば大量の樹木伐採も回避できる。今ならまだ間に合う。
投稿者からのひと言/既号で、音楽家の故・坂本龍一氏が死の直前に小池都知事に「計画の見直し」の手紙を送ったが、小池氏が記者会見で”けんもほろろ”だったことをお伝えした。坂本氏に続き、作家の村上春樹氏も再開発について「個人的に強く反対しています」「緑溢れる外苑地区と神宮球場をこのまま残して欲しい」「一度壊したものは、もう元には戻りません」と表明した。投稿者も、ホントにそう思う。東京の貴重な緑を、なぜ超高層のホテルを建てるために伐採するのか気持ちが分からず。それこそ木が育つには数十年、半世紀以上掛かる。後号で説明するが、明治神宮や神宮外苑は100年後の今日を考慮し、全国から様々な樹木を集めて構成されている。だから植え替えるだけでは済まされない。超高層ビルはどこでも建てられるが、あえて神宮のこの場所に建てるのは、東京都の思惑と業者の利権があるからだ。単なる業者の儲けのために、貴重な緑を壊してはならない。利権についても後号で触れる。
次号/神宮外苑④再開発ストップは「小池都知事の英断しかない」知事の力で流れを変えて
前号/神宮外苑②松尾貴史氏コラム◇小池都知事は環境保護に本気じゃなかった!再開発は強気!