米中貿易戦争は一向に収束する気配を見せません。
大方の日本の報道では、貿易戦争とは言え米中貿易摩擦という程度で見ていた節があり、トランプ大統領が得意とするディールであり、アメリカに有利な条件を引き出せれば解決する、その程度の見方でした。
日本のマスコミも、しっかり米国の有識者や政府高官にアポイントメントして取材するくらいのことすれば、このような単純な見方はしなかったと思いますね。
日本のマスコミは、自分で取材して情報を分析するという、記者として当たり前のことをしていないのではないのでしょうか。
島国日本だけでの井の中の蛙では、世界が劇的変化する大勢を見誤ることになります。
最近になって、米中の関係全般にわたる軋轢が、両国の関係を根本から見直そうとするものだと、日本の報道社も分かってきたようですが、それでも現実の動きについて行っているとはまだまだ思えないです。
そんな中、米国防総省アドバイザーのエドワード・ルトワック氏が来日し、毎日新聞のインタビューで、貿易や知的財産権などを巡る米中対立について「長期間に及ぶことになる。対立は中国共産党政権が崩壊するまで続くだろう」と語った。
ルトワック氏の指摘は、ペンス副大統領の「中国共産党に宣戦布告」やロウ財務長官が述べた「中国を日米欧の自由貿易圏から追放」とかにも連なるものです。
米国政府高官や政策担当者からの激烈な対中国不信と反発は相当なもので、米中冷戦は避けられない状況まで登りつめています。
貿易戦争で中国が折れたり和解する気はまずないでしょう。
貿易戦争と言っていますが、問題の核心は、中国の知財権侵害や先端技術の詐取、サイバー攻撃、スパイ活動、米国内での中国共産党プロパガンダ工作等々、取り上げ切れない米国の不満が渦巻いています。
トランプ氏は北朝鮮の非核化問題をあいまいに塩漬けにしておくことで、中国をけん制しており、中国にとっては孤立感がますます高じていくことになりそうです。
中国は塹壕に身を潜め、米国の言葉の弾丸をやり過ごす算段でしょうが、アメリカが目覚めてしまったいま、もう後戻りは出来ません。
ルトワック氏も語っていまます。
共産党統治体制が崩壊するまで米中の確執は続くと・・
>米国防総省アドバイザー
「体制変革まで米中対立続く」
毎日新聞2018年10月14日 22時21分
米国防総省のアドバイザーなどを務め、戦略論研究で知られるエドワード・ルトワック氏が来日し、毎日新聞のインタビューに応じた。貿易や知的財産権などを巡る米中対立について「長期間に及ぶことになる。対立は中国共産党政権が崩壊するまで続くだろう」と語った。
米政界における親中派はもはや「壊滅状態」と指摘。現在は軍需産業や外交ロビーに加え、シリコンバレーなどのハイテク企業も対中圧力を求めるようになり、米政府の「締め付けが始まっている」と強調した。
トランプ政権の発足直後、ハイテク産業は「自分たちのビジネスに干渉しないでくれという姿勢だった」が、中国による知的財産権の侵害事案が相次ぎ、現在は「ワシントンに来て、助けが必要だと要請するようになっている」という。
米中両国が核兵器保有国であることから「米中が軍事衝突する可能性はない」とも強調。ただ、その結果、かえって対立は長引き、共産党支配が終わる「レジーム・チェンジ(体制変革)」まで収束しないと予測した。一方で「日米ともに中国とビジネスを続ける意欲を持っているという意味で、米ソ冷戦とは異なる」と指摘した。
米政府による「締め付け」の一例として、最近、ワシントンを訪問した中国政権に近い中国人有識者が、出国間際の空港で米連邦捜査局(FBI)の捜査員に呼び止められ、誰とどこで会ったかすべて申告するよう求められた事案があったことを明かした。ルトワック氏は「米ソ冷戦もこうした締め付けから始まった」と指摘した。【古本陽荘】
>潮目が変わった!『アメリカは中共消滅までやり切る!』
米国内で対中コンセンサスがあったことが判明!『中国4.0』『日本4.0』著者ルトワックとの意見交換で...|奥山真司の地政学「アメリカ通信」