確か去年の暮
20センチの小さいフライパンを買い替えた
今度は28センチの大きいフライパンだ
既にテフロンが駄目になってて
使うたびに束子でゴシゴシやらないと
こびりついた汚れが落ちないありさまだった
でも
あなたが最後に使ってたものを
なかなか捨てられなかった
心を鬼にしてゴミに出そう
今日は
26センチのひと回り小さいのを買った
うす紫のシクラメンほど
淋しいものはない
後ろ姿の君のようです
暮れ惑う街の別れ道には
シクラメンのかほりむなしくゆれて
季節が知らん顔して過ぎてゆきました
疲れを知らない子供のように
時が二人を追い越してゆく
呼びもどすことができるなら
僕はなにを惜しむだろう