メガリス

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西郷・大久保役は博多華丸・大吉に

2008年11月06日 21時54分28秒 | 幕末維新

 平成22年度NHK大河ドラマ『龍馬伝』の主役に福山雅治氏が決まったそうだ。

 篤姫・小松帯刀・坂本龍馬・勝海舟らを反戦平和・暴力反対・人命第一の”サヨク志士”にでっち上げる一方で、西郷隆盛・大久保利通らを近視眼的・好戦的な愚者に貶め、「西郷・大久保らが造った近代日本は最初から間違いだったのだ」と、明治維新と近代日本誕生にケチをつけるのが目的のNHK大河反日サヨクプロパガンダドラマ『篤姫』の路線を継承し強化するだろうから、内容的には全く期待していない。

 だが世間ではそれなりに注目を集め多くの人が見るわけだから無視もできない。つまり私にとっては「要注意番組」なのだ。

 毎週毎週、呆れたり怒ったり失笑したりと不快な思いをさせられるに決まっているので、せめて配役などで楽しませてもらいたいと思う。 

 で、西郷隆盛と大久保利通役に、お笑いコンビの博多華丸大吉を推薦する。もちろん華丸氏が西郷、大吉氏が大久保である。二人とも長身で顔つきもそれぞれに似ているから適役だ。『篤姫』では同じお笑い芸人のネプチューンの原田泰造氏が大久保を演じているのだから、無理では無いだろう。

 それが叶わない場合は、西郷役に高嶋政宏氏を希望する。高嶋氏は以前何かのドラマで西郷役をやったことがあり、今年公開された鹿児島を舞台にした映画『チェスト!』ではほぼ完璧な鹿児島弁を操り鹿児島のオヤジを見事に演じきった。現在の有名俳優のなかで彼以上に西郷役に適した人物はいないと思う。西郷隆盛を悪人扱いし貶めることに必死の日本テレビ『日本史サスペンス劇場』でも、西郷役に高嶋氏を使って欲しいものだ。そしたらほんの少しだけ許してやる。

 大久保利通役は、いろいろ考えた末、鹿児島出身の沢村一樹氏の起用を思いついた。ただ、彼は”エロキャラ”が定着しつつあるので、どうかな。面白いとは思うけど。


大政奉還は龍馬の発明ではないし「反戦平和主義」だからでもない。

2008年11月06日 21時08分00秒 | 幕末維新

 坂本龍馬は、幕臣大久保一翁(おおくぼ いちおう)や福井藩主松平春嶽(まつだいら しゅんがく)らが発案提唱した大政奉還策を、地元土佐藩浮揚の為の一手として後藤象二郎に示した(とされるが、根拠が有るわけではない)。大政奉還実現に奔走したのは後藤象二郎であり、龍馬は何もしていない。

 テレビで坂本が取り上げられる場合によく出てくる“戦争を避け平和的に政権交代する為の方策として龍馬が大政奉還策を発案し、彼の奔走で実現した”という「大政奉還発明奔走伝説」はフィクションである。 

 平成20年11月5日(水)19:58分より日本テレビ系で放送された『日本史サスペンス劇場 坂本龍馬が愛した女達』(プロヂューサー・総合演出:近澤駿)でも、“坂本龍馬が、内乱を避け新しい日本国を作る為に、大政奉還を提起した”といういい加減な描写をしていた。

 NHK大河ドラマ『翔ぶが如く』『琉球の風』『篤姫』の監修をした鹿児島大学教授:原口泉氏はその著書『龍馬を超えた男 小松帯刀』でこう語っている。(文字強調は私メガリスによる。)

-------------------引用開始

  激動の幕末を考えるうえで、とくに大政奉還についてはいろいろな考え方がありましたが、歴史作家・桐野作人氏は、これを三つに分けて整理しています。

 一つは、最高意思決定機関としての幕府は否定し、行政機関としての幕府存続を認めるという「大政奉還」です。これをA型とするとB型は、行政機関としての幕府も否定するが、徳川家の存続は認めるという形での「大政奉還」です。そしてC型は、王政復古のクーデターを起こして徳川家の存続までをも否定しようという形での「王政復古」です。

 最終的に、龍馬はA型、帯刀はB型、西郷、大久保はC型だったというのが桐野氏の見方ですが、私も同感です。そういう意味で、帯刀は、龍馬ともすこしずれていっていたのかもしれません。

引用終了-------------------

 坂本龍馬はすっかり反日サヨクマスコミ好みの「反戦平和主義者」に仕立て上げられてしまっている。お気の毒に。坂本龍馬ファンの方々は少しは怒ったらどうかと思う。坂本は「反戦平和主義者」ではない。「反戦平和主義者」がピストルなんか持ち歩くもんか。捕縛を逃れる為とはいえ伏見奉行所の捕り方2名を射殺したりしないだろう。自分の身を守る為に武装し、議論による説得に応じない相手は計略や実力で言うことを聞かせることも厭わないという、あの時代のごく普通の武士だ。

 私の予想に反して、今回の『日本史サスペンス劇場』では龍馬暗殺犯について「薩摩藩陰謀説」を明示的に紹介することはなく、“何者かによって暗殺された”という説明しか無かった。

 だが、明らかに、視聴者に「西郷が怪しい」という印象を抱かせようという意図のこもった演出だった。大政奉還を提案したのが坂本龍馬であることを知った西郷は激怒し「坂本どん、行く道が違うてしもうたな」とつぶやき、その直後に龍馬暗殺の場面が続く。平均的な思考能力の有る者なら誰でも「西郷が龍馬暗殺を命じたということだな」と理解する。
 歴史学者の間では“京都守護職を勤めていた会津藩主松平容保(まつだいら かたもり)〔或いは、正式な命令系統からは外れるが、容保の実弟で京都所司代の任にあった桑名藩主松平定敬(まつだいら さだあき)〕の命令により彼の配下にあった京都見廻組(きょうとみまわりぐみ)が殺害した”というのが定説となっており、其れに対する反証反論は殆ど無い。にもかかわらず其の定説を解説することすらしない。
 理屈もへったくれも無く、何が何でも西郷隆盛を悪者にしなければ気がすまないらしい。

  諸大名から天皇へ領地・領民を返還する「版籍奉還」が明治2年(西暦1869年)、藩を県とし知藩事(旧藩主)を東京へ移住させ各県に県令を派遣する「廃藩置県」が明治4年(西暦1871年)に実施されている。慶応3年(西暦1867年)の大政奉還から僅か2年目と4年目に行われた、幕藩体制を完全に終結させる為の特筆すべき大改革なのだが、一般的にはさほど馴染みがある出来事とは言えない。反対者による実力行使を伴う抵抗などの大事件が起こることなく、ほぼ平穏無事に実施されたからだ。
 それは一体誰のお陰なのか。
『日本史サスペンス劇場』が目のカタキにしている、反日サヨクの天敵西郷隆盛と大久保利通らが、徳川家・譜代大名ら旧幕府側の軍事的経済的政治的実力を奪う“実質倒幕”を断行したからではないか。

 保守的な坂本龍馬が企図したように徳川家ら旧支配勢力を温存したままだったら、あのような早い時期に「版籍奉還」「廃藩置県」は実行できなかったはずだ。そもそも、彼らが勢力を保持したままの新政府では、そのような政策の決定がなされること自体が有り得なかったのではないか。

 西郷・大久保らによる“実質倒幕”が無かったら、近代日本の歩みは間違いなく10年、場合によっては数十年遅れただろう。そして、まごまごしている間に日本は欧米列強の植民地にされてしまったかも知れない。

 坂本龍馬を反戦平和主義の「サヨク志士」にでっちあげ、西郷隆盛を権力奪取の為に平和を乱す単なる戦争好きに貶める『日本史サスペンス劇場』のプロデューサー・総合演出:近澤駿氏は、そうなった方が良かったと思っているのだろうか。