茫然自失って言葉がお似合いな帰り道。
くだらないのは自分だってわかってる
けれども、何かのせいにして全部台無しにしてやりたかった。
…往来を眺める。街の光がチラチラとうざったい。
ぞろぞろと混じりあう人と人は当然いずれもどこか未熟で、颯爽と横切るあの人もある一面でしかないんだ。
それが本当に間違いないのであれば、ここに流す涙はない。
ただからっぽで、夜風が心地いい。
まぶたをとじた。
いま自分は大人なんだ。
もう、大人なんだ。
大人なんだから。
仕方ないよね。
とじたまぶたは幻で
こころの裏側をみつめていた。
込み上げる苦味を真っ黒の液体で押し込めた。
【おわり】