5月の祈り 2021-05-04 | 物語 (電車で読める程度) 木陰に差す陽そっと組まれたちぃさな両手に閉じられた瞼がまぶしそう久しぶりに出たウッドデッキから静かないのりが捧げられた。すこし前にフキノトウを採ったんだよと楽しそうに話す妻。菖蒲の違いはわからないけれど、まだ散っていない山桜の木はすぐにわかった。地面にはたんぽぽの花が太陽を反射していた。すぐ傍の睡蓮の花も黄色く咲いていた。光があふれていた。光であふれていた。何度だって、何時だって思い出したい情景だった。【おわり】