夕暮れの殺意 2021-07-26 | 物語 (電車で読める程度) 憎しみが湧きあがった。弾け飛びそうな暴力性を堪えるため、奥歯を噛み締めた。きっと、おかしくなるなるまでほんの僅かなんだろう。いつなにかの拍子に心も身体も裏返って、何もかもを認識できなくなってしまったら、そのまま風に任せて壊れるだけなんだろう。大切な人を幸せにできるのは僕だけだ。けれども、いま危うい橋を渡っているのに変わりはない。【おわり】