ねむたい囁きが止まらない。
柔らかい毛布にくるまっても
心がつっかえて、いつまでもこのままだった。
しにたい、しにたい
いつの間にかすり替えられた言葉に、
からめとられたい衝動に駆られた。
環状線の外縁。いつもの哨戒業務は、虚無であることを思い出すにはうってつけであった。
自動小銃が肩に食い込む。鉛を抱えて歩くこと自体が目的であるのだと言い聞かせなければ、今にもそれを道端に捨ててしまいそうだった。
かつて列車が走った枕木のうえに横たわれば、なにもかも終われた旧世界に思いを馳せる。明けない夜空に映る線路が卑しく這う。支給された携帯食を囓る。鬱陶しい食感で味はしなかった。これからどうすればいいんだろう。環状線の外側に蠢く要安眠者と稀に遭遇した。お決まりの定型文にて質問を行い、撃ち抜いた。
いくつも並んだコンクリート製の建物。そのうちのひとつ。4階の角にある四角形の部屋が自宅だった。何もない部屋。備品庫から譲り受けた布団と毛布、僅かな衣類。
希少となりつつあるリラを水道水で1錠服用する。少し眠れそうな気がした。
おやすみなさい。