児童文学作家を目指す日々 ver2

もう子供じゃない20代が作家を目指します。ちょっとしたお話しと日記をマイペースに更新する予定です。

近畿生存圏日記 10/8

2021-10-08 | 物語 (電車で読める程度)
ねむたい囁きが止まらない。

柔らかい毛布にくるまっても

心がつっかえて、いつまでもこのままだった。

しにたい、しにたい

いつの間にかすり替えられた言葉に、
からめとられたい衝動に駆られた。


環状線の外縁。いつもの哨戒業務は、虚無であることを思い出すにはうってつけであった。

自動小銃が肩に食い込む。鉛を抱えて歩くこと自体が目的であるのだと言い聞かせなければ、今にもそれを道端に捨ててしまいそうだった。

かつて列車が走った枕木のうえに横たわれば、なにもかも終われた旧世界に思いを馳せる。明けない夜空に映る線路が卑しく這う。支給された携帯食を囓る。鬱陶しい食感で味はしなかった。これからどうすればいいんだろう。環状線の外側に蠢く要安眠者と稀に遭遇した。お決まりの定型文にて質問を行い、撃ち抜いた。


いくつも並んだコンクリート製の建物。そのうちのひとつ。4階の角にある四角形の部屋が自宅だった。何もない部屋。備品庫から譲り受けた布団と毛布、僅かな衣類。

希少となりつつあるリラを水道水で1錠服用する。少し眠れそうな気がした。


おやすみなさい。