皆既月食 2022-11-11 | 物語 (電車で読める程度) とても惨めな気持ちになったとき、どんなに愉快な娯楽も、どんなに良質な睡眠も、どんなに美味な食事も、なにも慰めにはならない。どこか遠くへいって、とても美しい景色のなかに溶けてしまいたい。そうして、なにもない世界になってなにもないものになりたい。そうやって、一切合切とは無縁の本当に必要なものだけをわずかに握りしめて生きていることを思い出したい。【おわり】