上手く話せない。
肩を落とす。
雑談って難しい。背中で聞く話題。無視されたんじゃないかと小心者は背中も小さくする。お金のためとはいえ、傷ついてないふりは必要なんだ。
帰り道、金木犀が秋の物悲しさを伝えていた。
悲しかった。喉に詰まったままだった。
アルコールで、煙草で、友人で、音楽で、
こんな夜をやり過ごしていたっけ。
それなら、これからどうすればいいんだろう。愛は夜と添い遂げられるのかな。
忙しくて忘れさせてはくれるのかもね。
夕焼けをみたい。久しぶりにみる藍桃色の空は綺麗なんだろうな。
ただひとつわかることは家族を幸せにするのか、不幸にするのかは自分次第なのだという啓示だけだった。
身も心も貧しくなれば、残暑の湿気のような理不尽がいつまでも纏わりつくのだろう。
だからって絶対なんてどこにもないし。
難しいな、簡単だけど。
【おわり】