風貌が怪しげである(失礼!)が、堀の内を経験した人であるが故に筆は鋭い。自分の読書感想を使いながら人間社会のつながりなしにしか生きられない人と組織を論ずる。組織も結局人で決まる。社会的動物としての性と生存本能に裏打ちされた人間。幼き時から老い、そして世を去るまで苛まれる組織と人間の問題、永遠のテーマである。
私も還暦を過ぎ、定年退職を過ぎ、定年後の研究費の継続を背景とした臨時雇用も終わり、様々な組織も古希を前に終了しようとしている。そのどうしようもない過ぎゆく時間をどのように生きるべきか。おそらく多くの人が抱えているテーマなのだろう。様々に関わってきた組織と自分、何を残して去っていくべきか、そのような動機で本書を手に取った。人間関係を3区分せよ。
それぞれの関わりにおいてA,B.Cという具体例を挙げてのメッセージは印象的であった。これは決して口に出せるような事柄ではないが重要だ。
私は、人間関係を家族を含めたプライベート、研究活動、そして学界を含めたコミュニティーと3区分している。それらの人間関係を更に濃厚に応じて3区分するのが良いということらしい。ポイントはそれらの濃淡は経験を通して流動して行くということである。きちんと整理して粛々と、と勇気をいただいた。