私も古稀が近づき、人生の黄昏にさしかかっている。理系バカの私は、文系であれば恐らく基本である漢文や漢詩が大の苦手。50年前、高校一年で登場した段階で早くも脱落したまま「読まず、聞かず、言わず」で来た。しかし、明治初期に時代を開き、国を担った若者たちは、儒学を学んだ江戸時代の下級武士や庄屋名主の類の上層農民出身がほとんどであった。そこで、人生の締めくくり方を学ぶためにも「論語」に接することにした。ゆっくりと。
この書は、論語に熟知した著者が、これから人生を始める子たちへ向けて記されているので、分かり易い! 若い時代にこのような書、あるいは教育に出会ったいたら人生も全く違ったもの、あるいは更なる深みのあるものになっていたかもしれない。と、嘆いていても、始まらない。
そのような事柄は他にも山のようにあるのだから。
もっとも有名な
15にして学を志し、30にして立ち、40にして惑わず、50にして天命を知る。60にして耳したがう。70にして心欲するところ、外れなし。
って、孔子が亡くなる(72歳)前の彼の人生の振り返り。
孔子が生きたのは今から2500年以上も前、日本では弥生時代が始まる頃のこと。日本列島には文字もなく、原日本人の縄文人があちこちにいた時代のことである。その時代に、現代人とほとんど変わらない心を持った人がいたこと、それが巡り巡って今へ伝わっていること、そのことに改めての驚きがある。
この驚きを高校生の時にもっと深く知っておきたかった。でも知らなかったからこそ人生を歩めたという側面もあるかもしれない。論語のいう十年刻みの振り返りで、別途整理し、それを残しておこうとまずは改めて思った次第。