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知的遺産のピラミッド作り

幕末・維新

2006-12-26 23:20:28 | 読書
幕末・維新―シリーズ日本近現代史〈1〉

岩波書店

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この明治維新論はおもしろい!
私が今、明治維新に興味を持っている理由は、なぜ明治維新を外国の干渉なしになし得たか、そして明治初期、なぜああもはやく近代科学を導入し得たか?ということを私なりの納得として知りたいからである。これは当時、中国も、インドも、全てのアジア諸国が米英仏露蘭に蹂躙された中での、世界史的に見ても奇跡的事業であると見える。

地球科学・地質学では東京の中央にナウマン、北海道にライマンという日本の地質学の黎明を特徴づける二人のお雇い外人がいる。その時代の人々の思いを見てみたい。そこの人間ドラマを見てみたい。

まだ読みはじめであるが、この本の冒頭から、当時徳川幕府の方がいかに世界を見ていたか、そして朝廷はいかに世界が見えていなかったか、というところから始まる。おもしろい!我々が昔習った常識と違う!そして孝明天皇は20代という若さであり、朝廷の重鎮、鷹司の重圧にいかに反発して判断を誤っていたかと。だから攘夷攘夷と叫べたのだと。ちょっと前の現代、気楽な野党、反米反米といえた構図に似ている。

 ペリーの来訪にはじまる激動の15年、ここに現代につながる原点がある。戦前皇国史観と戦後の史観においても見落とされて来た新しい歴史への視点、徳川幕府の正確な判断を超えてなぜ歴史は前へすすんだか?岩波新書にふさわしい力作に見える。久々に引き込まれそうである。その後にじっくりと近代科学の成立を考えよう。
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