面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

ブラックホールをつくる

2008年04月02日 | ニュースから
「加速器で地球消滅」と提訴 ハワイで米の元政府職員ら(共同通信) - goo ニュース


このニュースを読むと、人工的に「ブラックホール」を作ることができる、ということらしい。
その危険性について提訴したということよりも、そんなことができるのだ!?ということの方が興味深い。
加速器で出来上がった「ブラック・ホール」を見てみたいものである♪

しかし、素朴な疑問もある。
「ブラック・ホール」が生じたら、その“穴”に向かって周りのものが猛烈な勢いで吸い込まれていき、見るも何もないような気もする。
提訴した方々の気持ちが理解できるというものだ。

かつて高校の物理で赤点を取った実力の自分には、加速器で「ブラック・オール」が生成されて危険!ということについての理屈はさっぱりわからないが、SF小説的ミーハー目線から見ると、とても面白いニュースである。


「潜水服は蝶の夢を見る」

2008年04月02日 | 映画
ジャン=ドミニク・ボビー(通称ジャン=ドー,マチュー・アマルリック)は、世界的に有名なファッション雑誌「ELLE」の名編集長として名を馳せていた。
華やかなファッション界の中心に生き、女性関係に忙しく立ち回りながら3人の子供にも恵まれた父親で、幸せでエレガントな毎日を送る彼。
ある日、病院のベッドで目が覚めたジャン=ドーは、自分が何週間も昏睡状態だった事を知る。
そして身体がまったく動かず、唯一動かすことができるのは左目だけだという事も。
「ロックトイン・シンドローム」。
意識はハッキリしていて、今までと何ら変わりなくものを考え、感じることができるのに、それを表現する術がない。
しかし彼は、言語療法士アンリエット(マリー=ジョゼ・クローズ)の導きにより、目の瞬きによって意思を伝える方法を学ぶ。

やがて彼は、その瞬きを使って自伝を著す事に全力を注ぐ。
自分の体は、まるで潜水服を着て水中深く潜行しているように自由がきかないが、記憶と想像力は、まるで蝶のように自由に飛び立つことができるのだ。
人生、まだまだこれからだ!
まだまだ、まだまだ……

「ロックトイン・シンドローム」
主人公は42歳で脳卒中に倒れ、この症状に陥った。
バリバリの働き盛り。
ファッションの最先端に身を置き、正に人生の絶頂期を闊歩していたのだ。
それが一瞬にして世界が変わる…
こんな恐ろしい話は無い。

この左眼しか動かない主人公の目線での映像で、この症状を疑似体験できるところがこの映画のミソ。
ジャン=ドーの脳は、健康体のときと全く変わらない。
それは、我々健康な男と同じ感覚であるということだ。
唯一動く左目で、自分の面倒をみてくれる美人看護師たちの、顔、胸元、太もも、スカートなど、健常な男と同じ目線で画面が動くところで、健常な男はよりいっそう恐怖の疑似体験ができるのである。
主人公と同年代の男には、本当にシャレにならない映画である。

やばいなぁ、コレストロール値が高いんだよなぁ…と普段何気なく思っている不安が、ものすごく具体的な恐怖として目の前に提示される、40、50代以上の男性には中々に切実な作品。
今の健康体に感謝し、健康維持のためにどないかせんといかん!(東国原宮崎県知事風)と思わされる佳作である。

はじめは左目だけからの目線による狭い視野の中を進む物語が、言語療法士との連携によってコミュニケーションを取れるようになり、著作へとつながっていくにつれて、スクリーンの中の世界が広がっていく。
「潜水服」に閉じ込められた男の閉塞感が、「想像力」という自由を得て世界に開放されていく様子を、観客が視覚的に味わうことができるカメラワークはすばらしい。


潜水服は蝶の夢を見る
2007年/フランス・アメリカ  監督:ジュリアン・シュナーベル
出演:マチュー・アマルリック、マリー=ジョゼ・クローズ、マックス・フォン・シドー