去年のうちに試写で観ていたが、劇場に足を運んでもう一度観た。
展開が分かっていて、「ここで来る…」と分かっていても、そこかしこの場面で涙がこぼれてしまう。
映画は、観たときによって感じ方が違ったりするのがまた面白いが、前回よりも心に響いたのは「マリアクリニック」最後の妊婦における甘利みね子(白石美帆)のエピソード。
夫である健司(音尾琢真)は派遣社員として働いているものの“派遣切り”に合って収入が断たれてしまい、断腸の思いで中絶を選択するのだが、そもそも、みね子のお腹に宿っていた胎児は大きな問題を抱えていた…
殺伐とした最近の世相が背景に織り込まれ、しかも胎児が重い障害を持つという過酷な現実に直面しながらも、精一杯最大限の愛情を子供に注ごうとする二人の姿に涙を禁じえない。
また、ラストシーンでの、「マリアクリニック」の院長である三枝茉莉亜(浅丘ルリ子)の言葉も、改めて胸に染みた。
「みんなが思っているより頻繁に奇跡は起こっているのよ。特に赤ちゃんの周りではね。」
次々に問題が発生し、「これでもか!」とばかりに難関が主人公の前に立ちはだかるクライマックスシーンも、この一言で納得してしまう自分は単純ではあるが、新しい生命が持つエネルギーというものは神々しい程のパワーを持つのは確かだろう。
「生命の誕生は、それ自体が、奇跡なのです。」
“史上最強の女医”曽根崎理恵(菅野美穂)が医学生達に投げかける言葉が全てを語っている。
奇跡が紡ぐ命のドラマ。
現役の医師でしか描けない心に響く傑作を見逃すべからず!
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