甘い飲み物が起こす病気

気温の高い日や、汗をかいた後の冷たい飲み物はおいしく感じます。しかし、糖分を多く含んだ清涼飲料水などを多量摂取していると、血糖値が急激に上昇する「ペットボトル症候群」を起こす可能性があります。

◆「ペットボトル症候群」とは、清涼飲料水に含まれる多量の糖が原因で起きる高血糖状態のことです。正式には「清涼飲料水ケトーシス」と呼ばれ、小中学生や30代ぐらいまでの肥満型の男性に多くみられます。

◆清涼飲料水を多量摂取すると、血糖値が急激に上昇します。のどが渇いて、さらに清涼飲料水を飲むことを繰り返していると、常に血糖値が上がった状態になってしまいます。スポーツドリンクも、糖分の入っているものが多いので注意しましょう。

◆清涼飲料水には、約10%前後の糖分が含まれています。市販されている500mLのペットボトル1本あたりで50g。これは1個4g換算として、角砂糖12個半に相当します。ペットボトル症候群になった人は、清涼飲料水を1日に平均2L強摂取していたという報告もあります。その場合、飲料だけで1日200g以上の糖を摂っていたことになるのです。

◆血液中の糖は膵臓で作られるインスリンというホルモンによってコントロールされています。インスリンが欠乏して糖が十分に代謝されなくなると、代わりに脂肪やタンパク質がエネルギー源として使われますが、このときにケトン体という毒性をもった物質が血液中に増えてしまいます。

◆体内にケトン体が蓄積すると身体機能が急激に低下、脱水や意識障害、さらにはこん睡状態に陥ることもあります。「糖尿病性ケトアシドーシス」と呼ばれるもので、「ペットボトル症候群」でも同様の症状が出現します。もともと、1型糖尿病に起こりやすい病態ですが、最近では2型糖尿病や糖尿病予備群の人でもしばしばみられます。

◆糖分の過剰摂取を中止することで症状は回復しますが、重症例では緊急入院が必要になることもあり、この場合はインスリン投与などの治療が行われます。基本的な生活習慣が改善されなければ、症状の再発や2型糖尿病に移行する可能性もあります。

◆普段からのどが渇いたときはなるべく水やお茶にする、清涼飲料水を飲む場合も、がぶ飲みを避けるなどして、糖分の過剰摂取に気をつけましょう。同時に日ごろの食事内容や運動習慣を見直すことが、糖尿病の予防につながります。