2月25日は梅花祭。天満宮へ出かけよう−俳句歳時記を楽しむ
2018年02月25日
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北野天満宮の梅と宝物殿
東風吹かば匂ひおこせよ梅の花
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太宰府天満宮の梅
しかしその栄進を妬むライバル・藤原時平の中傷によって、道真は大宰府に左遷され、その地で2年後、失意のまま59歳で亡くなりました。配流される際に自宅の梅の木を詠んだ歌が有名です。
「東風(こち)吹かば匂(にほ)ひおこせよ梅の花主(あるじ)なしとて春な忘れそ」
春の東風が吹くようになったら花を咲かせて香りを届けてくれ、梅の花よ、私がいなくても春を忘れないでおくれ。といった意味でしょうか。
道真の死後、京都では天災が続き、また藤原氏一族の変死も重なります。世の人は、これを道真の怨霊によるものと畏れました。そして平安朝から急速に広まった、御霊信仰や雷神信仰と結びつきます。天神信仰として独自に発達しながら、北野天満宮、太宰府天満宮をはじめとする各地の天神社を生んだのです。やがて怨霊への畏怖が静まると、道真を学問の神と崇めるようになり、学業成就の守護神へと変化していきました。
朗々と祝詞清しき梅花御供
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北野天満宮の紅梅
神饌とは玄米を蒸したもので、男女の厄年に因んだ数を丸く盛って備えた後、参拝者に授与されます。これをいただくと病気平癒の伝えがあり、また学問の神様ということで受験生やその家族も含め、たくさんの参拝者が訪れます。
この日、三光門前広場では「梅花祭野点大茶湯」も催されます。豊臣秀吉がこの場所で北野大茶湯を催した故事にちなみ、道真公の没後1050年の、昭和27年から始まった行事です。梅の見頃を迎えた境内での芸妓さん達による野点は華やかで美しく、こちらも大人気です。
一つづつの小さき黄だんご菜種御供
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道明寺天満宮の梅園
俳句の世界では、菜種御供、北野梅花祭、梅花御供、天神御忌、道真忌などが同類の季語となります。初春の清々しさ漂う句をいくつかご紹介しましょう。
朗々と祝詞(のりと)清(すが)しき梅花御供
<高嶋象子>
西陣の帯の売れ行き梅花祭
<星野野風>
本殿に琴運び込む菜種御供
<椹木啓子>
尼宮に風まださむき菜種御供
<高木石子>
一つづつの小さき黄だんご菜種御供
<物種鴻兩>
ともしびの漏れくる菜種御供の森
<加藤三七子>
菅原道真を祀る全国の天満宮の数を考えると、昔の人びとの怨霊への畏れ、学問への希望が改めて思い起こされますね。そんな思いや梅見を兼ねて、天神さんにお参りするのも趣深いのではないでしょうか。