『アルトネリコ』シリーズで志方あきこさんの声に惚れて、こちらのCDも買って聴き、思いっきりはまったというのに、ゲームは未プレイでした。
暗そうなストーリーで、ハッピーエンドになるんだろうか、という心配と、絵柄が少々苦手なタイプに属するので。
PS2に移植された当時、それでやらなかったのですが、PSPにも移植されているのを見つけ。
こちらは外伝含めて入っている、ということで、初めてプレイしました。
…いやー、いいです。志方さんの声と音楽、切ないけれど読後感の清涼感、不思議なゲームです。
人が人殺しの罪を重ね、それが限界に達した時、玄冬が生まれる。彼が生まれると、世界は永遠の冬になる。いったん生まれてしまえば、玄冬はなにもしなくても、世界は勝手に消滅していく。雪に降り込められたまま。
つまりは、玄冬が望まなくても、彼が存在するだけで、勝手に世界は壊れていくのです。
で、玄冬が生まれると、救世主も生まれる。救世主だけが、玄冬を殺せる。…救世主の意志は関係なく。
「本人には悪意がないのに、悪と呼ばれる」というあたりで、「フェイト/ホロウアトラクシア」を思い出しました。あちらは、悪と呼ばれたものはその通り、悪に染まっていってしまいますが。
この玄冬と、救世主たる春白の友情(友情というよりは、愛情、でしょうか。運命共同体?です。しかし、恋ではない)が繊細に描かれます。
このお話が、二人の恋物語だったら、話は簡単ですが、感動もしなかったでしょう。恋が身勝手な側面を持つのは当たり前なので。
ボリュームは、真面目にプレイすれば1~2日でクリアできるくらいで、ちょうどいいです。長すぎると、これだけ濃い内容の話はきつく、プレイしている側も内容を忘れがちになります。
今どきの大容量のゲームと比べれば短い部類に入ると思いますが、これくらいだと繰り返しプレイしたくなりますね。
個人的には、黒鷹が好きです。井上さん、やっぱりいいお声。キャラクターとしても、ストーリーを進める狂言回しでもあり、エンドによっては主役?という感じでもありました。
「主」と黒鷹や白梟に呼ばれている「彼」は、カトリックの私としては呼び方が馴染まず、また、もともとの私自身の「神」にたいする考え方とも違うので、ちょっと驚きでした。これはこれで、ありだとは思いますが。エンド15か16を見ると、それでも世界に対する愛着のようなものが黒鷹の言葉で表現されるので、ほっとしました。
ひさびさに、いいゲームに出会えました。嬉しいです。
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