嘘の吐き方(うそのつきかた)

人はみんな嘘をついていると思います。僕もそうです。このページが嘘を吐き突き続ける人達のヒントになれば幸いです。

薬指に名付けられた時間

2005年03月07日 17時35分05秒 | 駄文(詩とは呼べない)
指を一本だけ切り取ったら、僕の名前は何になるのだろうか。
帰る場所が無いという正常な不安は
僕をそのような、ありきたりな疑問へと駆り立てる
左手の薬指が無くなりそうな予感を、
歩くときのステップだけで表すとしたら、
万歩計には一体どんな数値が出るのか、
想像するだけでも恐ろしい。

跳躍される、ギリギリの空気の流れは、
その連続性によって保障されるわけではない。

僕の見ている世界は、
あるいは僕たちが住んでいるこの世界は、
じつは驚くほどバラバラで、全てがバラバラの点で出来ていて、
あるいはまた、その点は物質では無くて、
無の中に潜む妄想エネルギーの欠片でしか無いから、
引力によって生じる、別世界からの光の波動によって、
自分という宇宙の意志によって、
その連続性が保障されるから、
だから僕は全てを知りたい、自分を知りたいと思う限りにおいて
この世界の源泉を見失い続ける。

あらゆる事に僕は始まりを求める。
そしてまた、あらゆる出来事から、あらゆる物語を読み取り、
その物語性においてしか、自分が保障されないという不安、
あるいは内部が認めうる、想定された外部から分け与えられた内部という
矛盾製造循環においてしか、自意識の宇宙が認識出来ないという不安、
そういった生まれつきの悩みは、
僕をいつでも1秒後の不安に駆り立てるから

踏み出すその一歩は、いつだって破滅的で恐ろしい。

だから僕は僕の指を切り取り、名前を付けようとする。
名前を付けられる、という事はじつに恐ろしい事である。
名前を知られる、という事の次くらいに、
名前を知られる、という事よりも、
名前を知られる、という事の方が、
名前を知られる、という事と同じくらいに恐ろしい。

これは理屈では無いから、
理屈で説明しようとすれば、
この宇宙は、世界は、物語は、名前によって切り取られるという事である。

僕は多分、そのように切断されるバラバラ死体の自分を好まない、
あるいは恐ろしく好んでいる。

平行宇宙を自分の波動によって繋げる事でしか、
連続性を保障できないということは、
エゴのエネルギーによってしか、
パラドックスから産まれる生命は生たりえず、
諦めの暴力性によって死は発動する。

諦めの暴力性、それは現実に色を塗りたくる行為であり
現実感の植え付けであり、
夢を見る能力の損失であり、
引力の欠損である。

何故なら私が外部によって与えられる情報のほとんどが、
より絶望的な色彩と無味無臭に染められているから。

ならば私は外部を想起するのをやめよう。
現実を想像する、そういう無駄な妄想はやめよう。
あるいはまた、現実という虚構に自分の色を付けよう。

物語は始まる。
生は死に続ける。

切り取った薬指を繋いで、動かそうとしてみる。
薬指は万歩計を解体し、そこにどのような数字も許さない。

僕は頭を抱えてうずくまる
布団の中で真っ暗闇を想像する。
不安を抱えることでしか、僕の生は流れ出さない。
心の臓器に手を当てる
宇宙はまだ、鼓動している。

誰か僕の薬指に、名前を付けてくれ
誰か僕の心臓に、名前を突き刺してくれ
この世界がやわらかいことでさえも、だんだん恐ろしくなってくる

時間が無い、時間が無い。
僕にはいつだって時間が無い。

信号機の赤だけが僕の見た色だった。

2005年03月07日 00時37分32秒 | 駄文(詩とは呼べない)
通りを歩くときに感じる、あのメカニカルな寂しさも
友達の会話の隙間に紛れて
さみしさの香りも雑音の冷たさもビルの機械的な真っ直ぐさも
あらゆるものがその時その場所の風に似た雰囲気の中に飲まれて
あたたかみに似たため息の色が
生きている愚痴と似ているけれど
だけど言葉はいつも、
その言葉の続きはいつも、
本当はもっと違う何かを伝えたがっていて
それが伝えようとしてもなかなか伝えられないから
僕はきっと適当な事ばかりしゃべってしまう

君に会えて、色んな話を聞けて
その一つ一つが、印象としての記憶だけが
僕の中で一つの兆しに変わるように
君はいつも何かを伝えたがっていて
その伝えたがる何かが、意味の変容する正体不明の愛しさのような儚さが
ふわふわ漂って僕を傷つけないように君の海を泳ぐから
だから僕は、君の言葉の色が、話の輪郭を追いかけるのに
まるで精一杯であるかのような君の背伸びが、
きっと好きなのだと思うから

これからも一つ一つ、
大事な何かを一緒に確かめていけたらいいな、と思う。

不思議な時間をありがとう。
現実と現実の繋ぎ目にある、透明な優しさに近い悩ましさに触れたようで
あるいは触れそうで触れなかったようで
痛みの少ない、それでいて印象の強い、
なんの意味も無い、それでいてやわらかい、
大事な風の予感を、君にもらえたような気がしたよ。

明日からたぶん、
君に吹く風は時々冷たくなったり厳しく強くなったりもするんだろう
それでも今日の街を歩いた、あたたかな風の冷たさを忘れないでいて欲しい
それを忘れなければ、僕らはきっと友達で居られるから
そしてそれを誰の秘密にすることもなく、
全てがオープンでいられたら
僕らはよりいっそう不可解な、友達らしい友達で居られるような気がするから

だから大事な事は、
きっといつでも曖昧なままで
君が何かを僕に話そうとしてくれるその事が、
僕にとって、愛想笑いでない、自然な笑みを呼び覚ますから
僕はたぶん、すごく多分、揺ぎ無いたぶん、嬉しいんだと思う。

また会おう。
きっとまた会えるよ。

忘れないで。光が時々瞬く事を。