
=葡萄色=
葡萄と書いて<えび>と読み、<エビカズラ>をさす。
<エビカズラ>は山葡萄の古名。
吉岡幸雄氏によれば、葡萄色は王朝の人々に愛された色。
清少納言の枕草子にも記述がある。
枕草子83段「めでたきもの」に葡萄染の織物をあげ、
<六位の宿直(とのい)姿のをかしきも、紫のゆゑなり>
葡萄色の指貫の紫ゆえに6位の縹色(青系)姿が魅力的とある。
又、長崎盛兼氏によれば、染色では、紫根による赤味の淡い紫。
織色は経紅または赤、緯紫で、重ね染め織の色には多少の違いがある。
「源氏物語」の他に、「うつぼ物語」に<えびぞめかさね>、
「紫式部日記」に<葡萄染の織物の小袿>など、この時代の日記物語での所見が多い
=今様色=
紅花で染めた濃い赤色。
今様とは、今流行の色。吉岡氏によれば、当時の人がいかに紅花染の赤系色を好んだ
しかし長崎氏によると、
今様色はゆるし色ゆえ、濃い色は禁制にして、
ゆる(聴る)色と、ためし色(様色、標準色)があると
<源氏物語男女装束抄>に記述されている
<源氏物語男女装束抄>とは、
享保時代に源氏物語の中に記された男女装束・色目を考証した有職故実書。
同じ色でも微妙に違っているのですね~
=青鈍色=
青色に墨系の色となる染料をかけ、鉄分で媒染した薄く墨がかった青色。
平安時代は近親者が亡くなった場合、鈍(にび)色と呼ばれる黒系の色の衣服で
喪に服していることをあらわす。平安時代では喪の色。
葵の上が亡くなった時に、六条御息所から濃き青鈍の紙で弔問の手紙が来たり、
空蝉の尼君に源氏が青鈍色の織物を送っている記述がある。
これでは、おめでたい色といえず、末摘花の感覚を疑いますね^^
=落栗色=
実り落ちた栗の色。暗い赤褐色。
<花情余情>には、<落栗トハ、濃紅ノ黒ミ入タルホドニ染タルヲ云ベシ>
とあります。
この点について吉岡幸雄氏は他の注釈本により、王朝人の落栗色は現代の色と違って
かなり赤味に映ったようだと指摘されていました。