源氏物語と共に

源氏物語関連

葡萄色(えびいろ)、今様色、青鈍(あおにび)色、落栗(おちぐり)色(1)

2007-10-12 10:32:28 | 

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行幸(みゆき)


 葡萄染(えびぞめ)の御指貫(おんさしぬき)、桜の下襲(したがさね)、
 いと長く裾(しり)引きて、ゆるゆるとことさらびたる御もてなし、
 あなきらきらしたまえるに、六条殿は、桜の綺の御直衣(おんなほし)、
 今やう色の御衣(おんぞ)ひき重ねて、しどけなきおほきみ姿、
 いよいよたとへむかたなし。
 


光源氏が葵の上の母、大宮の所へお見舞いに行く場面。
太政大臣である光源氏が来て内大臣に話があるという。
てっきり夕霧と雲居雁の結婚話かと思った(内大臣)頭中将は
何人かの息子達を引き連れて、下襲を長く引いて現れます。
内大臣のオシャレした立派な登場~


葡萄染とは山葡萄(やまえび)古くは葡萄(えび)かずらで染める紫の色の事です。
<新潮日本古典集成>には<薄い紫色>と注釈がありましたが、
今回はそれより吉岡幸雄さんの普通の紫色で見ました。
桜色と紫色の衣服はキレイでしょうね~上着は何だったのか?直衣?
ちょっとわかりません。


その内大臣対して、光源氏はちょっとくだけた直衣で<おおきみ姿>
これは、皇子クラスに許された装いです。
ここでも内大臣は光源氏にはおよばないと描かれています。


今様色は私のイメージでは赤の濃い色でしたが、吉岡氏は少し濃いピンク色。
桜と今様色。ピンクと赤でこれまた美しいイメージです。


玉鬘が内大臣の娘であると打ち明け、裳着の腰結(こしゆい)の役を頼みます。
感激する内大臣。
今は政治のライバルとして疎遠になってしまった二人ですが、
会えば昔の須磨などの思い出話にくれるのでした。


そして玉鬘の裳着のお祝にと、あちこちから贈り物が送られます。


あの末摘花からお祝いにと、とんでもない歌と贈り物が届きました!


青鈍色の細長(ほそなが)一襲(ひとそろえ)、落ち栗とかや、・・
紫のしらきりみゆる霰地(あられじ)の御小内袿(おんこうちぎ)・・


青鈍色は青系の色。しかし<鈍(にび)色>という名の色は喪に服した時に使用する墨がかった色です。
落栗色も地味な色で、2月という季節に合わず、
色も名もおめでたい時に贈るものではありません。


もし現代に例えるのなら、お祝いの風呂敷や袱紗に喪用の色を贈るという事でしょうか?


あいかわらず感覚が変な末摘花は笑われます。
(源氏に引きとられてからは、まわりの女房に気の利いた人はいなかったのでしょうか?)


現代でもお祝いの贈り物はおめでたいものをと気を遣いますね^^
色見本は吉岡幸雄氏の<日本の色事典>より。
写真最後は風俗博物館。朱雀院五十の賀試楽より。下襲を欄干にかけて流しています。


装束
http://park17.wakwak.com/~tatihana/onmyou/yougo_folder/isyou.html
山葡萄「やまぶどう。古くは葡萄(えび)かずらといった」
http://plaza.rakuten.co.jp/planthokkaido/diary/200609070003/