日々、内外のニュースに接していると、いろいろの感想や疑問が湧きます。それらについて、私なりの答えを探すべく、このブログを開きます。私は経済記者を30年、大学教授を16年勤めました。第一線記者と研究者の経験を生かし、内外の経済情報を立体的に分析します。
韓国、「中韓会談不調」再び対日外交重視「大学生就職」依頼へ
一部省略
場当たり主義の韓国外交
就職難を日本で解決する
韓国は、12月14日に行われる文在寅大統領と習近平国家主席による中韓首脳会談で共同声明を採択せず、共同記者会見も開催しなかった。
例のTHAAD(超高高度ミサイル網)の設置について、中韓の合意ができなかったことが原因だ。
中国は、韓国のTHAADを設置することに反対し続けているが、内政干渉に当たる越権行為である。
韓国は、中韓首脳会談開催にあたり、「3不」という安全保障問題を中国に提示する不手際を演じ、内外から批判の的になっていた。
それだけに、「3不」を事実上、承認するような対中外交は不可能になり、中韓外交は振り出しに戻った。
そこで再び、日韓外交重視という、何とも様にならない格好を余儀なくされている。
「3不」とは、
①THAAD追加配備しない、
②米国のミサイル防衛(MD)参加しない、
③日米韓軍事同盟を推進しない、という「3つのノー」を中国に対して表明したもの。
中国は、これを文書化せよと韓国に迫っていたが、韓国は米韓同盟という太い絆で結ばれている以上、文書化を拒否した。
それが結局、中韓首脳会談を不調にさせた根本理由になった。
場当たり主義の韓国外交
韓国は、中国に対して口頭とはいえ「日本と軍事同盟を結ばない」と言ったのである。
日米韓三カ国首脳会談の際、文大統領は安倍首相の前で7月、「日韓は同盟国でない」と啖呵を切ったのだ。
韓国は、この「失言」に大慌てして、日本側へにじり寄る姿勢を見せていた。
それにも関わらず、先の「3不」で再び、日本と同盟を結ばないと中国側に言って、ご機嫌伺いをしたのだ。
韓国は、このように日本を巡る発言で二度も裏切り行為をしている。
むろん、日本も韓国と同盟を組みたいとは思わないにしても、余りにも失礼な発言である。
実際は、日本へ大学生の就職依頼をしている国である。その頼みの綱の日本に対して、絶対に発言してはならぬ内容である。
韓国外相は、中韓首脳会談が不調に終わったことから、年内に訪日すべく外交日程を立てている。
韓国政府は、特別調査委員会を設けて日韓慰安婦問題の調査をさせている。
その結果が、日本側を怒らせる内容になりそうである。
そこで、調査結果が出ないうちに訪日し、日本側に根回ししようという狙いが透けて見えるのだ。
こういう韓国外交の動きを見ると、韓国は信用ならぬという思いが一段と強くなる。
中国とのTHAAD問題が解決しそうだと見るや、日本へ後ろ足で砂をかけ平気で中国へ馳せ参じる。
その中国へご機嫌伺いして言わなくて良いことまで口走り、今度は中国から「文書」にせよと迫られる。
米国が、これに黙っているはずがなく不満を言うと、大急ぎで文書化を断る。
中国は、「初めの話と違うじゃないか」と激怒して、中韓首脳会談は空中分解した。
そこで、行き場がなくなりまたまた、「日本へUターン」という漫画的な行動を取っている。
韓国外交は子どもだましの振る舞いである。
韓国政府は、内政の最大のテーマが就職問題解決である。
非正規雇用を正規化させる。
公務員を増員する。
最低賃金を大幅に引上げる。
労働時間を短縮させるなど、雇用問題が一番目の課題である。
この中には当然、大学生の就職問題が入っている。
ここで、浮かび上がっているのが、日本企業への就職促進である。
先に韓国外交部第2次官の訪日で、大学生就職問題の協力依頼が出されている。
それによると、「韓国の大学生は3年まで韓国の大学で学び、4年次は日本の大学に留学し、「日本の大学卒業生」の資格で日本企業の就職試験を受けるという案であった。
このときの、日本側の反応は不明だが、韓国外交部第2次官は帰国後、「困った時に日本へ頼み事されても」という反応であったようだ。
当たり前である。
日頃から、日本へ友好姿勢を見せず、慰安婦問題では日本に対して仇敵同様な扱いである。
だが、学生の就職問題になると、途端に態度を変え揉み手してやってくる。
この二重人格的な振る舞いに、日本が良い顔をするわけがない。そのくらいのことが分からないのだろうか。
韓国外交部は、しきりと「来年は日韓関係が重要な時期になる」と発言している。
12月11日には日韓議員連盟が日本で総会を開いたほど。
韓国外交が「日本重視」へと舵を切っている。
だが、二転三転してきた経緯を見ると、日本が韓国に利用されていることは明らかだ。
韓国は、日本の冷めた対応にお構いなく、「お願いします、お願いします」の連発で日本へ迫ってきている。迷惑な話である。
就職難を日本で解決する
『中央日報』(10月20日付)は、「韓日経済界、韓日の求職・求人難、協力して問題を解決する」と題する記事を掲載した。
この記事を読むと、韓国側が日本の求人難に協力するような内容だが、韓国が一方的に日本へ押しかけてきた話だ。
現に、この会議は東京で開催されている。
韓国は「恩を売る」ような形だが、本音は韓国大学生の就職難を日本で解決して貰いたいのだ。
(1)「韓国と日本の経済界が協力を通じて求職難と求人難の解決のために協力することにした。
現在、日本はアベノミクスと東京オリンピック開催にともなう景気回復動向で雇用の需要は大きいが、少子化の長期化で人口が減少して働き手が足りない状況だ。
一方で、韓国は9月、若者の体感失業率が21.5%で、統計以来最も高い数値となった。
このような両国の問題解決のために、韓日経済界は来年春に韓国の若者を対象にソウルで日本企業が望む人材像などに関する公開セミナーを共同主催することにした」
韓国企業は、日本企業が望む人材を日本に送る姿勢である。
これまで韓国は、二言目には、日韓併合時代を持出して、日本批判に余念がなかった。
それがどうだろう。日本の望む人材を就職させたいとまで言っているのだ。
本来は、有為な人材は韓国内で就職させるのが自然なこと。
韓国大企業は、自ら大学生を採用せず、日本企業への就職斡旋とは不思議である。
自ら雇用する責任を放棄しているのだ。韓国経済には将来性がないことを自ら認めたようなものである。
(2)韓国経済界は、文在寅政権から完全に黙殺された形になっている。
文政権は、労組と市民団体が牛耳っている。
それ故、方向を変えて日本企業と手を組みたい気持ちが滲み出ている。
本来は、韓国政府の取り組むべき仕事である。
韓国は今や、大学生の就職問題解決で日本頼みが明らかになっている。
『中央日報』(12月8日付)は、「韓国青年、日本就職、今年の目標をほぼ達成」と題する記事を掲載した。
韓国での若者の就職難は想像を超えている。
11月の青年失業率は9.2%と、同月基準で1999年の統計作成以降、最高値となった。
体感失業率は21.4%にのぼる。
青年5人に1人が失業状態ということだ。
この就職難を日本でカバーしようという話だ。
普段、「反日」に精を出している韓国、と思うと複雑な気持ちにもなる。
立派な口を訊くならば、自国民の就職で日本の世話になるな。
そう言いたくもなるが、そこはぐっと抑えて、有為な人材を日本で就職させることは、日本企業にもプラスの話である。
最近の韓国人の日本における就職状況は、次のようになっている。
8月に韓国の現代経済研究院が発表した『日本の外国人労働者流入の現況と示唆する点』の報告書によると、昨年の日本国内の韓国人労働者数は4万8121人。
2008年(2万661人)と比べて8年間で2.3倍にも増加している。
増加率も2012年の3.8%から2016年の16.1%に急速に上昇している。
特に専門分野や技術・人文知識などにおける優秀な人材の日本での就職が増加した。
技術・人文知識・国際業務分野の韓国人労働者数は2008年6451人から昨年1万7862人に2.8倍増加した。
同期間の専門分野労働者数は1777人から3075人に1.7倍に増加した(『中央日報』(8月11日付)
以上のように、韓国から相当数の専門職が日本で就職していることが分かる。
過去の調査でも、就職後の日本企業のイメージは6割が「良好」としている。
これが、韓国にも伝わって、日本への就職希望を増やす要因になっている。
(3)「今年の韓国人青年の日本就職目標はほぼ達成したことが分かった。
韓国政府が2017年に支援する日本での就職目標は1550人だった。
在日韓国大使館側は『年末までにこの目標値を達成するだろう』と明らかにした。
今年の日本就職者は昨年の1103人に比べて40.5%も多い。
日本の少子高齢化による労働人口減少で深刻化する労働力難の中、韓国の青年が政府の支援を受けてうまく就職したと分析されている」
韓国は、政府が日本への就職を支援しているので驚く。
本来は、韓国国内で就職させるのが政府の務めのはずだが、それを怠っているとはどういうことか。
ここまで、日本へ依存を強めているならば、なぜ「反日」をやるのか。
その矛楯に気づかないところが、日本への甘えであろう。
もはや、こういう民族と思い割り切るしか方法がないのだろうか。
(4)「在日韓国大使館は12月6日、『日本就職支援官民協議会』を開いて就職拡大対策を議論した。
日本への人材流出を招くのだから、やはり韓国経済の活性化を推進するのが本筋である。ここらあたりが、儒教文化圏と日本との根本的な相違点であろう。
日本政府が、仮に日本人大学生の海外就職斡旋をした場合、日本国内の反対論は強いものがあろう。
日本国内に職場を確保するのが、政府の仕事という反対論に見舞われるはずだ。
この伝で言えば、韓国では国内経済の活性化を進めることが先決である。
規制を緩和することだ。とりわけ、労働市場の改革によって流動化を促進する。
年功序列制賃金と終身雇用制の廃止によって転職市場が広がれば、企業も新規雇用を増やせるのだ。
一度、就職した企業に生涯勤めることは、もはや美談でなくなっている。産業構造が激変する現在、労働市場の流動化は不可避になっている。
韓国がこういう根本的な改革を怠って、大学生を日本で就職させて「やれやれ」という感覚でいることは、余りにも無責任と言うほかない。
韓国国内に職場を作ることが、韓国政府の最大の責任である。
(2017年12月19日)