「日本に瑕疵なし」証明した 木村幹・神戸大大学院教授
2017年12月27日
報告書が合意の見直しなどに言及しなかったことは、交渉過程で日本側に瑕疵(かし)がなかったことを証明する形になった。
一方、韓国国民を納得させるために交渉の「非公開部分」を公表し、朴槿恵政権の交渉の問題点を強調したことは、日韓間の合意の範囲が“拡大”したことを意味する。
韓国政府にとっては自らの首を絞める内容が含まれており、今後は難しいかじ取りを迫られるだろう。
本来、韓国側は日韓合意に基づき実施された元慰安婦への現金支給などでの不正を主張したかったが、証拠が見つからなかった。
そのため、交渉の非公開部分を公表し、慰安婦側への内容説明が十分でなかった点を強調した。
しかし、同時に「反日団体の説得」や「在韓大使館前の慰安婦像撤去に向けた具体的な計画策定」など、日本側の要求について韓国政府が議論に応じていたことが明らかになった。
文在寅政権は今後、こうした問題への見解を示す必要が生じたことになり、対日外交での足かせになるだろう。
日本側が警戒すべき点は、報告書が合意を「条約ではなく政治的合意だ」と明記したことだ。
政治情勢を理由に一方的に破棄できるとの見解を示唆しており、今後注意が必要だ。
他方、韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)など韓国の運動団体にとっては反発する以外の選択肢はなく、文政権が説得するのは極めて困難だ。
政権内には団体側と関係が深い派閥と外交を重視する立場が混在しており、路線対立の激化につながると予想される。